共働き夫婦 共働き夫婦
2024年02月15日 10:31 更新

育休を取得した先輩・しなかった先輩。ともに勧められて一念発起!#男性育休取ったらどうなった?

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は一人目の出産時に育休を取得したパパと、海外出身のパートナーのママにお話を聞きました。

一成さん&リサさん夫婦

今回のパパ
尾畑一成さん/31歳/企画職/ 株式会社ブイキューブ
●ご家族
妻:リサさん/32歳
長女:紗由希ちゃん/2歳 
※ご本人とご家族の名前はともに仮名です。

●尾畑家のパパ育休
2021年3月に長女が誕生。出産直後から男性育休を取得。当初は1カ月の予定だったが、もう1カ月延長した。

一成さんの育休取得中のタイムスケジュール

第一号の先輩に感化されて取得。ほかの男性社員も続々と続く!

――一成さんが育児休業を取得されたのは2021年3月のことですね。きっかけを教えていただけますか?

一成さん 会社の先輩が育休を取得したことに触発されました。実は僕、そもそも男性が育休を取得できることも知らなかったくらいで……。ちゃんと取れるし、お金も補償されることを先輩の事例を通して知ったんです。

――ということは、当時は男性育休の取得者が会社でも珍しい存在だったのでしょうか?

一成さん ええ。その先輩が男性育休の取得者の一号目で、僕と同様に感化された同僚がもう一人いて、その人が2人目、そして僕が3人目でした。ただ、僕自身、育休がとてもいいものだと感じたので、復帰後に育休生活の詳細なリポートをコーポレートサイトに掲載したんです。それもあってか、以降は弊社の中でも当たり前のように男性社員が育児休業を取得するようになりました。今は該当する男性社員の半分以上が育休を取得していますね。

――3年で一気に進んだんですね。一成さんが育休を取得したいと言ったときの会社側の反応はどのような感じだったのですか?

一成さん 上司が理解ある人だったおかげもあり、とてもスムーズでした。僕はもともと1カ月の育休を取得する予定だったのですが、休業中にこの短期間では妻が新生児を抱えながら家事・育児をこなすまでに回復するのは難しいと判断し、延長を申し出たんです。それも嫌な顔をされることは一切ありませんでした。ほかにも自分が知る限り、同じチームの社員からのネガティブな反応はまったくなかったです。

――お仕事の引き継ぎはどのような準備をされましたか?

一成さん まず自分の担当する業務の内容を見える化しました。具体的には僕がプロジェクトでこういった役割をしていて、その役割を果たすためにこういったことをしているといった内容をすべてドキュメントに起こしていきました。またその上で一つ一つ誰に引き継ぐか、引き継がずにペンディングにしておくものはどれかを明確にしましたね。引き継ぐ案件に関しては、各個人に声をかけ、1on1で丁寧に伝えるようにしました。

――すると、育休中はすっかり仕事を離れてという感じでしたか?

一成さん いいえ。準備は万全にしたといっても、想定外の突発的案件がどうしても起きてしまうんです。なので、家の中が落ち着いているタイミングでメールやチャットは確認し、何かあったときはこちらから声をかけていく形にしていました。ただ、関わるといっても家事・育児優先で短時間ですし、業務と完全に離れるよりはそのほうが僕も安心できたので、臨機応変に対応していました。

一成さんが収集するレコードコレクション。「リビングに飾ると『自分がやる!』と言って、娘が手を伸ばすんです。おかげで一部のジャケットがしわしわに(涙)。でも、娘がかわいくて注意しきれません…」(一成さん)

最初は別々に寝ていたが、一転。2人で夜のお世話をすることに…!

――リサさんは海外のご出身だそうですね。

リサさん はい。タイ出身で、2015年に留学生として来日しました。

ーー日本で一成さんと出会って結婚されたんですね。ちなみに日本では男性も育児休業が取得できることをご存知でしたか?

リサさん はい。ニュースなどを見て知ってはいました。ただ、実際はまだ取った男性は少ないし、会社や上司によっては言いづらくて難しいという印象でした。

――では、一成さんに取得したいと伝えられたときには驚きましたか?

リサさん そうですね。でも、とてもうれしかったです。安心しました。娘が生まれる前から、産後は大変だよと聞いてはいたけど、実際本当に大変でしたし。

――長年住んでいるとはいえ、異国の地で出産と育児をするのは心細いですよね。当時の体調やメンタルの状況はいかがでしたか?

リサさん 産後は体力が戻ってないし、睡眠不足のせいか、イライラすることが多かったです。

――家事・育児のことで、リサさんから一成さんにこうしてほしいと何か伝えたことはありますか?

リサさん 途中まで夜は夫が別の部屋で寝ていたんですが、一緒に寝てもらえるようにお願いしました。赤ちゃんにミルクを3時間おきにあげないといけないので私はなかなか寝られないし、疲れもとれないし……。夜中に娘が先に起きちゃって泣くと、ミルクを作る間、すごく焦って悲しくなってきて。だからその間は抱っこしてほしいと言いました。

――抱っこしてもらえるだけで、全然違いますね。

一成さん そのときは「ごめん!」と本当に謝りましたね……。

紗由希ちゃんの大好きな絵本。「いい言葉の使い方を教えてくれる一冊です。ストレートな表現をする妻に対し、『こんな言葉使いをしてほしいな』と伝えたことも……!」(一成さん)

育休未取得の先輩に聞いた産後ケアの重要性

――尾畑家の家事・育児についてさらに詳しくお聞きしたいのですが、一成さんは育休前から家事をしていたのでしょうか?

一成さん そうですね。共働きだったので、結婚当初から家事は分担をしていました。僕は近藤麻理恵さんの『人生がときめく片づけの魔法』を読んで感動したこともあり、身の回りをきれいにすることや整理整頓をすることが昔から好きなんです。そのため、もともとトイレ掃除やお風呂掃除なども含めて片づけや清掃は僕が担当でした。

リサさん それは妊娠前からずっとそう。私は料理とかキッチンとか洗い物担当。とくに話し合ったわけではなく、自然とそうなりました。

一成さん 育休中の家事については、基本僕がやっていましたね。育児はミルクやおむつ替えなど基本的なこと以外だと、沐浴を毎回していました。

リサさん 赤ちゃんが小さくて落ちそうで、怖かったです。なので、毎回お願いしていました。

一成さん ほかにも妻が外国人なので、書類関係のことは基本僕が担当するか、一緒にやるかで進めていました。

――育休を取得したことで産後の夫婦関係に影響はありましたか?

一成さん とくに自覚はないのですが、自分は育休を取得しなかった先輩が「産後のケアは長期的な夫婦関係に響いてくるので、しっかり対応するべし」とアドバイスしてくれていたので、きっと取得してなかったときより良い関係性になっていると思います。

――育休を取得した先輩もしなかった先輩も育休の重要性を教えてくれたんですね! リサさんは夫婦関係の変化について何か感じたことはありますか?

リサさん 子どもが生まれて夫婦二人きりで過ごす楽しい時間がほとんどなくなった寂しさはありますが、夫は仕事がいくら忙しくても育児を最優先してくれたので「育児のパートナー」として、すごくいい関係ができたと思います。

――ちなみに最近、一成さんのように当たり前に家事・育児をする日本人男性が増えていますが、タイでもそうだったりしますか?

リサさん 私の両親は中華系ですが、父親が外で働いて、家事は100%母がやる形でした。ただ、今の若い世代は変わってきているかもしれません。育児については普通の日本人の男性と比べると、タイの男性のほうがもともとよくしていたかも? タイでは男性の育休を聞いたことはないので、制度は日本のほうが整っていると思うけど。日本の男性は仕事が忙しいですね。日本では育休の制度があってもなかなか取得しない人が多いと聞きます。

――確かに。まだまだ仕事が忙しすぎて、男性が育児に関われないケースも多いですよね。

尾畑家で大活躍だというホットクック。「料理が苦手な僕でもいっぱしのものが作れます」(一成さん)「スープ類はとにかくこれで作るのが便利!」(リサさん)

通勤時間が発生しない分、育児にも関わりやすい!

――現在のことについてお聞きします。今日の取材はご自宅にお邪魔しましたが、普段も在宅ワークがメインですか?

一成さん はい。部署によっては在宅の比率を下げているところもありますが、私が所属している企画部門は必要があるとき以外は基本在宅ワークです。会社に出向くのは月に一度くらいでしょうか。

――やはり在宅のほうが育児と両立しやすいですか?

一成さん そうですね。我が家が会社から離れていて通勤時間がかかることもあり、在宅のほうが両立がしやすいです。出社の日はお風呂に入れるのも時間的に難しいし、帰宅すると娘が寝ていることもあるので。

――先ほど沐浴はパパ担当だったという話がありましたが、在宅の日のお風呂はパパ担当ですか?

一成さん 必ずというわけではないですが、できる日は僕が担当していますね。ただ最近、娘の僕に対するあたりがママに比べると厳しくて……。

リサさん ニヤニヤしながらパパをいじめてる(笑)。

――成長ですね!(笑)。でも、お子さんはやはりかわいいのでは?

一成さん かわいいですね。子どもが生まれる前は、育児が始まるとプライベートとか自分の趣味とか我慢しないといけないみたいな話も聞きましたけど、あまり我慢をしている感覚はなくて。もちろん、読書の時間など自分の趣味の時間は確かに減っているんですけど、純粋に子どもと遊ぶのが楽しいです。

(取材・文:江原めぐみ、撮影:福冨ちはる、イラスト:ぺぷり)

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-