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2023年09月04日 08:21 更新

「結局のところ、感染症になって免疫をつけたほうがいいの? かからないほうがいい?」小児科医に聞きました!

たまに「普段から感染症にかかっておいたほうが免疫が高まって安心」という説を見聞きすることがあります。でも、それって本当? 森戸先生に詳しく聞きました。

免疫が高まっても命を失ったら本末転倒です

(※画像はイメージです)

例年、小児科は感染症が少なくなる夏の時期は、冬に比べて暇なものです。でも、今年の夏はまったく違います。

先月の記事でお伝えしたように、新型コロナが5類になって感染対策が緩むと同時に人流が回復したことなどによって、子どもたちの間で、RSウイルス感染症、アデノウイルス感染症、溶連菌感染症、新型コロナウイルス感染症などが大流行したからです。

そのため小児科は夏なのに暇どころか、発熱外来の予約が取れなくなったり、逼迫(ひっぱく)状態になりました。教育機関が夏休みに入ったこともあり、感染者が少し減ってホッとしましたが、あのまま増えていたら医療が受けられない状態になったかもしれません。

そんなとき、一部の人たちから「マスクをしていた期間が長かったせいで免疫がつかなかったからだ」「普段から感染症にかかったほうがいいんだ」という意見が出ました。

確かに感染症は、いつも流行する時期にしないと広く免疫がつかないため、翌年または普段は患者がほとんどいない変な時期に流行したりします。新型コロナの感染対策によって何年も流行しなかったヘルパンギーナ、インフルエンザなどが、最近になって久々に流行したことからもわかります。

では、子どもたちは普段から感染症にかかって免疫をつけておくべきなのでしょうか。

結論を言うと、わざわざ感染症にかかる必要はありません。
どんな感染症にも、なるべくかからないほうがいいのは間違いないのです。

もっとも大きな理由は、感染症にかかると、命を失ったり、後遺症が残ったりするリスクがあるからです。ワクチンについて説明するときも必ずお伝えすることですが、感染によって免疫がついても、命を失ったり、後遺症が残ったりしては本末転倒でしょう。だから「わざわざ」感染症にかかることはすすめられません。

わざわざ感染症にかからないほうがいい理由

他にも、わざわざ感染症にかからないほうがいい理由はたくさんあります。おおよそは、以下の通りです。

<子どもをわざわざ苦しませる必要がないから>
感染症にかかれば、咳が出たり、喉が腫れたり、高熱が出たりします。そういった痛みや苦しみを子どもに押しつける必要はありません。もしもわざと感染させるとしたら、倫理的にも問題のある行為だといえるでしょう。

<感染症には一度しかならないわけではないから>
新型コロナウイルス、RSウイルス、溶連菌、アデノウイルスなどの感染症には、何度でも感染します。ですから、一度かかっておけば安心ということはありません。風邪も病原体となるウイルスなどの種類が多いために繰り返し感染します。

<一生かからないで済むならそのほうがいい感染症があるから>
適切な治療を受けても1000人に1人が亡くなる麻疹、発症すると約30%が亡くなる日本脳炎など、ワクチンで防ぐしかない恐ろしい感染症がたくさんあります。

<気をつけていても風邪などの軽い感染症には必ずなるから>
完璧な感染対策はないので、普通の社会生活を送っていれば、どれだけ気をつけていても風邪などの軽い感染症にかかることはあり、免疫を獲得することが可能です。

私は頻繁に感染症になる小さなお子さんのお母さん、お父さんに「あまり心配しすぎなくても大丈夫ですよ。子供は様々な感染症にかかって、少しずつ強くなっていくものです」と伝えることがあります。

どれだけ気をつけていても感染症にかかることは必ずあるし、結果として免疫がつくというのは確かだからです。けれども「たくさん感染したほうがいい」と伝えることはありません。様々なリスクがあるから、またそんなことをする必要はないからです。

感染対策は「とき」と「場合」に合わせて

では、感染対策はどのようにしたらいいのでしょうか。私は、「常に完璧な感染対策」はしなくてもいいと思います。でも、普段から定期・任意のワクチンをきちんと接種し、手洗いはしましょう。そして、以下のような場合はしっかり対策をしましょう。

<自分や家族に何らかの感染症の症状がある場合>
体調が悪かったり、咳が出たりするときは、なるべくマスクをしましょう(2歳以上)。症状がひどいときは、学校や保育施設などは休んでください。早く治すためにも、感染を広めないためにも大切なことです。

<医療機関や介護施設を訪問する場合>
医療機関や介護施設では、普段からマスクをしましょう。これは体調の悪い人や抵抗力が弱くなっている人がたくさん集まっているためです。厚生労働省や日本医師会なども推奨しています。

<子供の年齢が小さい場合>
RSウイルス感染症、インフルエンザ、百日咳などの感染症は、年齢が小さいと重症化しやすいという特徴があります。また2歳以下の子供には使える薬が非常に少なく、6カ月未満だとさらに少なくなります。3カ月未満の場合は、高熱が出ても解熱鎮痛剤を使うこともできないと知っておきましょう。

<何らかの感染症が流行している場合>
感染症が流行して、感染者の母数が増えると、命を失ったり後遺症が残ったりする子供が増えるため、普段以上に注意してください。手洗いを徹底し、なるべく三密を避け、室内ではマスクをするなどしましょう。

<医療が逼迫しているとき>
本来なら治る病気でも、病院が逼迫していて適切な医療が受けられないと重症化したり、命を失うことにも繋がりかねません。やはり小まめに手洗いをし、なるべく人混みを避け、室内ではマスクをするといいでしょう。

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