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2023年08月28日 08:21 更新

長い夏休みの終わりには、子供の心身の調子が不安定になりがち。保護者が気をつけたいことは?

もうすぐ長い夏休みが終わります。長期休暇の終わりに大事なことを、小児科医の森戸先生に伺いました。

急に早寝早起きの生活リズムに戻すのは難しい

(※画像はイメージです/PhotoAC)

夏休み中に生活リズムが乱れていた場合は、なるべく早い時期から、朝の起床時間を普段通りにし、1日3食を規則正しくとり、早寝するなどして整えていきましょう。ずっと夜更かし・朝寝坊をしたまま、急に新学期になって普段の生活に戻すのは困難だからです。

本来は夏休みであっても冬休みであっても、特別に体調の悪い時や疲れている時を除き、同じリズムで生活したほうがいいのです。夜更かしをしたり、不規則な生活を送っていると、疲れやすくなりますし、体調も崩してしまいがちになります。

また、長かった夏休みが終わりに近づくと、子供によっては精神的に不安定になったり、嫌そうにしたりすることもあるでしょう。それは幼児でも小中高校生でも同じく、よくあること。大人だって、ゆっくりできる休日や休暇を楽しみにしている人が多いでしょうし、その終わりには悲しい気持ちになったり、寂しくなったりすることがよくあります。

まず、新学期がゆううつになるような原因があれば、なくしておきましょう。例えば、早めに課題を終わらせておく、学校の準備を終わらせておく、などです。

それから何か悩みがあるようなら、お子さんの話をよく聞きましょう。もしかしたら、何らかの原因があって、新学期を迎えるのが嫌なのかもしれません。どんな話でも、簡単に否定せず、最後までじっくり耳を傾けてあげてください。

「あなたにも悪いところがあるんじゃないの?」「そんなに弱くてどうするの?」「自分を変えないと」「気にしすぎだよ」などと言うと、二度と話してくれなくなるかもしれませんし、いったん受け入れられたほうが否定されるより元気になることは間違いないからです。

気持ちの問題が身体症状として現れることも

もちろん、学校に行きたくない理由をお子さんが話せるとは限りません。親には恥ずかしいから話したくないと思っている場合もありますし、何が原因か本人にもわからない場合があります。うまく言語化できない場合もあるでしょう。年齢が低いほど、自分で認識したり、言語化したりすることは困難です。

友人関係で悩んでいる、勉強がわからない、いじめられている、集団行動が難しい、先生が苦手、クラスの雰囲気が嫌だ、大きな声を出す人がいて怖い、給食が嫌い、学校ではなく家庭のことで悩んでいる……様々な原因が考えられます。しかも原因は一つとは限らず、様々な要因が複合的に関係していて行きたくないのかもしれません。

学校に行きたくないという気持ちが身体症状として現れ、小児科を受診するお子さんもいます。例えば、新学期が近づくにつれて眠れなくなる、学校に行こうとすると頭痛や腹痛、咳、嘔吐などの症状が出ることがあるのです。

こうした場合、小児科では身体に問題がないかどうか診察します。特に問題が見当たらない時、保護者の方が「嫌なことがあるたびに体調悪くなるんだから」「もうウソばっかりついて! 仮病なんでしょ」などとお子さんを叱責する場合がありますが、それはやめましょう。

気持ちの問題が身体症状として現れるのは仮病ではありませんし、ウソをついているとは限りません。もしウソをついていたとしても、それは助けが必要だというサインなのです。

(※画像はイメージです/PhotoAC)

「学校に行く/行かない」の二択だけじゃない

一方、保護者側も、自身のお子さんが「学校に行きたくない」と言い出した場合、すんなり受け入れるのは難しいかもしれません。自分のせいかもしれないと責任を感じたり、このままだったら将来どうしようと不安になったりするためです。

また、保護者が仕事や介護などで忙しい場合、日中ずっとお子さんに付き添っていてあげたくても難しく、物理的に世話ができないという問題もあるかもしれません。

それでも、もしもお子さんが「学校に行きたくない」と言葉で、もしくは態度で示した場合は、いったん受けとめてあげてください。学校に行けない日があっても大丈夫。追い詰めたりしないで、逃げ道を作ってあげてください。

なかなか登校できなそうであれば、担任の先生やスクールカウンセラー、養護教諭と話し合ったり、子育て支援センターや児童相談所などに相談しましょう。お子さんの心の健康や発達が心配な場合は、児童精神科を受診するという方法もあります。

そのうえで、お子さん本人とも話し合い、午前中または午後だけ学校に行ってもいいし、行ける日だけ学校に行ってもいいし、保健室に登校する手もあります。また自治体や民間のフリースクール、通信教育などで勉強を続けてもいいでしょう。「学校に行く/行かない」以外にも選択肢はあるのです。

このように保護者の側から選択肢を用意してあげることが大事なのは、自分の世界のほとんどを学校と家庭が占める子供は「行くか行かないか」「行けないならおしまいだ」と極論に陥りやすく、自殺のリスクがあるからです。事実、夏休み明けは、子供の自殺が1年間で最も多くなっています。

そこまでではなくても、休み明けはお子さんも調子が戻るまでに時間がかかることもあります。心身の調子が大丈夫かどうか、ぜひ見守ってあげてくださいね。

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