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2023年07月24日 08:11 更新

【小児科医に質問】子どもの間で感染症が爆発的流行中! 旅先で子どもが体調を崩したらどうする?

待ちに待った夏休み! 今年は旅行に行く人も多いのではないでしょうか。でも、今、子供たちの間ではさまざまな感染症が流行中。もしも旅行前に感染したら、もしも旅先で感染したら……と不安になりますよね。そこで森戸先生に対応策を聞きました。

全国の小児科に感染症のお子さんが殺到中!

いよいよ夏の旅行シーズンですね。昨年までは新型コロナウイルス感染症の対策のために自粛ムードだったので、「今年こそ家族旅行を!」と楽しみしている方も多いのではないでしょうか。

ただ、今は特に子供の間で感染症が流行中です。全国の小児科外来には患者さんが殺到し、とても混雑しています。原因は、RSウイルス感染症、アデノウイルス感染症、溶連菌感染症、新型コロナウイルス感染症などです。それぞれの特徴は以下の通り。

<RSウイルス感染症>
本来は冬に乳幼児の間で流行することの多い感染症。咳や鼻水、発熱に加えて、ゼーゼーという喘鳴が起こります。小さな子の場合は入院が必要になることも多く、要注意です。

<アデノウイルス感染症>
多様な型があるのがアデノウイルスの特徴です。主に①風邪に似た呼吸器症状が起こるもの、②嘔吐や下痢などの急性胃腸炎が起こるもの、③喉の痛みと高熱が続くプール熱(咽頭結膜熱)を起こすもの、④目の充血や目やになどを起こすもの(流行性角結膜炎)などがあります。

<溶連菌感染症>
溶連菌(溶血性連鎖球菌)に感染することで起こります。扁桃腺が腫れ、喉が痛くなり、38℃以上の高熱が出ることが多いでしょう。合併症として、リウマチ熱や急性糸球体腎炎という腎臓に影響を及ぼす病気になることもあるので、抗生剤による治療が必要です。

<新型コロナウイルス感染症>
咳や喉の痛み、倦怠感、発熱などが起こることが多いでしょう。多くは軽症で済みますが、基礎疾患のない子供でも亡くなることがあるため、ワクチンを接種しておいたほうが安心です。現在は全数把握ではなくなって定点観測ですが、沖縄県で感染者が大変増えています。

もう一度、家族で感染対策を見直しましょう

どうして今、このようにさまざまな感染症が流行しているかというと、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、急に感染対策が緩められ、人流が回復したからです。

感染症を予防するために大切なのは、「手洗いをする」「マスクをする」「3密を避ける」「ワクチンを接種する」「移動を減らす」こと。これは全てに共通しています。

ここ数年は新型コロナウイルス感染症にかからないようきっちり対策していたのに、現在は急にどこでもマスクをはずしたり、手洗いに熱心でなくなったり、旅行や会食が増えたりしています。このことにより、さまざまな感染症が同時に、例年の同時期に比べて流行しているのです。

ですから、必要なワクチンは接種し、何らかの症状があるときや人混みではマスクをする、手洗いをこまめにする、3密は避けるなどの対策をとることが大切です。もう一度、家族で感染対策の見直しをしてみましょう。

ただ、きちんと感染対策をしていても、旅行前に何らかの感染症にかかってしまうことがあるかもしれません。その場合は、なるべく小児科にかかりましょう。これだけさまざまな感染症が流行していると、原因がわかりづらいからです。

そしてお子さんの体調によっては無理して旅行へ出かけるのではなく、中止したほうがいいと思います。航空会社などは診断書を提出すれば、キャンセル料がかからない場合もありますから、問い合わせてみてください。

旅先で体調不良になった場合も小児科を受診して

さて、無事に旅行に出かけても、滞在中に感染症を発症する場合がありますね。ですから、必ず母子手帳と保険証を持参しましょう。ワクチン歴がわかれば診断に役立ちますし、国内であれば保険証が使えるためです。他の都道府県では乳幼児医療証は使えませんが、後日申請すれば戻ってくると思います。

実際に旅先で体調が悪くなった場合は、速やかにホテルや旅館のフロントに問い合わせ、ホテル内の診療所、または近くのクリニックなどを受診しましょう。必要に応じて薬を出してもらえると思います。

あまりに体調が悪い場合、飛行機などの交通機関を利用できない場合は、すぐに帰宅できないかもしれません。そんなときは宿泊場所を確保し、悪化させないためにも、また他の人にうつさないためにも室内で安静にしてください。完治しないまま帰路につく場合は、できるだけ会話を控え、マスクをして帰宅しましょう。

なお、海外旅行へ行くときには、急な病気やケガの治療費を保障してくれる旅行保険に入っておく必要があります。他国では健康保険が使えませんし、また日本に比べて医療費が高い国が多いためです。

例えばアメリカでは、たった1日の入院で数百万円かかることもめずらしくありません。クレジットカードなどに保険が付帯していることもありますが、家族全員を十分にカバーできるかどうか確認しましょう。

まだ新型コロナウイルス感染症の流行が完全におさまったわけではありません。それに、さまざまな感染症が流行しています。ですから感染には十分に気をつけながら、夏の旅行を楽しんでくださいね!

参照)森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)

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