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2023年07月03日 08:11 更新

「1歳前にMRは接種可能?」「 大人も追加接種すべき?」麻疹が急増する今、知りたいこと

新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、急激に人流が回復するなか、麻疹(ましん)感染者が増えています。「はしか」ともいわれる麻疹は非常にうつりやすく、怖い感染症です。そこで、森戸先生に対応策をうかがいました。

麻疹がとても恐ろしい感染症だといわれる理由

今、麻疹の感染者が急増しています。これまで新型コロナウイルス感染症の対策のために人流が抑えられていたこともあって少なかったのですが、今年はすでに18人の麻疹患者が出ているのです。

4月には茨城県で麻疹感染者が報告され、その移動ルートが公表されました。麻疹は主な感染経路である空気感染(飛沫核感染)のほか、飛沫感染、接触感染と様々な経路で感染します。同じ部屋にいたり、すれ違ったりするだけでうつることがあるほど感染力が高く、長い潜伏期があるため、注意を呼びかけたのです。

その後、実際に東京都において、5月10日に30代女性、11日に40代男性の麻疹感染者が報告されました。前述の茨城県の男性と同じ新幹線を利用し、その時に感染したとみられています【*1】。

麻疹は、昔は「命定めの病」と呼ばれて恐れられていました。感染すると約10日後に発熱や咳や鼻水など風邪のような症状が現れ、いったん熱が下がった後に、今度は39℃以上の高熱と発疹が出現。約30%には合併症が起こり、合併症には1000例中に約70例の割合で中耳炎、約60例の割合で肺炎、0.5〜1例の割合で脳炎などがあります。

さらに非常に稀ですが「亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)」という病気になることもあります。SSPEは、幼い頃に麻疹にかかっていったん完治したように見えたのに、2〜10年くらい経ってから急に性格が変化して知能が低下したり、動作が緩慢になり歩けなくなったりするという病気です。

そして先進国であっても、麻疹にかかると1000人に1人は命を失うのです。

家族全員がワクチンを接種したかどうかチェック

そんな恐ろしい麻疹には現在も特異的な治療法はなく、もしもかかってしまったら対症療法をするのみ。でも、麻疹には感染しないための手立てがあります。それはワクチンです。

現在、定期接種では麻疹単独のワクチンではなく、風疹との混合(MR)ワクチンを接種します。麻疹ワクチンの免疫獲得率は、1回接種で93〜95%以上、2回接種で97〜99%以上と報告されていて、有効性がはっきりしているのです。

ところが、予防接種推進専門協議会がお知らせを出しているように、今はMRワクチンの接種率が低下していて大問題です。麻疹も風疹も感染力が強いため、少なくとも1歳でのワクチン接種(Ⅰ期接種)率を95%以上に保つ必要がありますが、2021年度の接種率は93.5%でした。

現在は満1歳で1回目、小学校入学前の1年間に2回目(Ⅱ期接種)を接種することになっています。定期接種のお知らせが来たら、早めに接種しましょう。

なぜ1回目が満1歳なのかというと、それより前に接種すると母体からもらった免疫との関係で抗体がつきづらい場合があるためです。でも流行期だから早めに接種したいという場合は、自費(1万円程度)で接種することが可能です。その場合も、1歳と就学前に再び接種しましょう。

また、麻疹ワクチンが定期接種になったのは1978年で、当時は1回接種でした。2回接種になったのは2005年から。1回の接種では十分な免疫がついていない可能性がありますから、保護者の方もご自身の母子手帳を見てみましょう。

これまでに麻疹ワクチンを受けていない、もしくは1回しか接種していない場合は、抗体価を調べる必要はありません。ぜひ内科などでMRワクチン、またはトラベルクリニックでMMR(麻疹風疹おたふく風邪)ワクチンを接種しましょう。費用は自費で1万円程度です。

妊娠を希望している女性とその同居者は、風疹の抗体価を検査して低かった場合、あるいは市区町村で第5期の風疹ワクチン接種として受ける場合に、風疹ワクチンかMRワクチンを選択できることがあります。その際の費用は無料です。

そうしてワクチンを接種することは、ご自身を守ることのみならず、周囲の子供やお年寄り、様々な人を守ることにもつながりますよ。

参照)
森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)
国立感染症研究所:麻疹とは

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