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2023年07月17日 07:30 更新

「2人目の壁」感じる夫婦が約8割と過去10年間で最高に、その理由は「経済的」なものがトップ

6月には政府の「異次元の少子化対策」の内容が発表されましたが、実際に現在、子育て世代の夫婦にとって、何が出産のハードルになっているのでしょうか。今回は、特に「2人目」についてどう考えているのかに注目し、公益財団法人1more Baby応援団が実施した「夫婦の出産意識調査2023」をもとに見ていきます。

既婚男女を対象に「2人目の壁」について調査

結婚・妊娠・出産・子育て支援に関する情報提供およびその実現に必要な事業を行っている公益財団法人1more Baby応援団では、2013年から「夫婦の出産意識調査」を行っています。今回はその11回目に当たり、全国の既婚男女2,961人(「子どもがいない」「子どもが1人」「子どもが2人以上」)を対象に実施しました。その結果、「2人目の壁」を感じている夫婦が増加傾向にあることがわかりました。

8割近くが感じている「2人目の壁」

自分の家庭を考えたとき、2人目以降の出産をためらう「2人目の壁」が存在するかという設問に対して、「はい」と回答した人は78.6%でした。この割合は、過去10年間の調査で最も高い数値となり、8割近くの夫婦は、2人以上の子どもを持とうとするには、高いハードルがあるということがわかります。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

「経済的な理由」が「2人目の壁」を感じる理由トップに

では、「2人目の壁」を感じている人に対して、その理由を聞いてみると、「経済的な理由」が圧倒的に多く76.8%でした。次いで「ゆとりのある時間、自由な時間が取りにくくなる」(45.3%)、「第一子の子育てで手いっぱいのとき」(45.2%)、「心理的な理由」(44.3%)、「年齢的な理由」(43.1%)などが同じくらいの割合で続いています。

「2人目の壁」には複数の要因が関係していることがわかりますが、そのなかでも経済的な余裕の感じられないことは要因の筆頭に挙げられるようです。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

負担に感じる費用の中心は教育関連

「2人目の壁」の理由が「経済的な理由」と回答した人を対象に、とくに負担と感じている費用について聞いてみると、63.9%が「大学の教育費」、58.0%が「高校の教育費」を挙げています。多くの人が将来の教育費に対して不安を感じていることがわかりました。

その一方で、「食材・食品費」も57.9%と高く、日々の食費についても負担を感じている人が少なくないようです。おそらく昨今の物価高も影響しているのでしょう。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

物価上昇や増税が「2人目の壁」に影響

では、「2人目の壁」を感じるようになったきっかけとしては、どんなものがあるのでしょうか?

「2人目の壁」が存在すると回答した人の中で現在子どもがいる人に尋ねた結果、「物価上昇や増税で家計の圧迫を感じるとき」(51.2%)が最も高い結果となりました。昨今、生活に直結するようなところでの物価上昇が目立ちますが、それにより経済的負担を感じる人も多くなっていることが想像されます。

次いで「1人目の育児が大変だと感じる時」(45.8%)、「身体的な疲労や、体力の衰えを感じる時」(45.0%)が続いています。

これらの結果には、晩婚化が進んでいることや、仕事と子育ての両立の難しさ、子育ての負担の偏りなど、さまざまな社会課題が影響している可能性があります。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

「物価高」で子育て費用に不安を感じる人が約9割

このように、「2人目の壁」を感じるきっかけとして、物価上昇などによる家計の圧迫が大きく関係するようです。そこで、物価高の影響を他の面からも見てみましょう。

「2人目の壁」を感じている子育て中の人のうち、実に85.5%の人が物価高のために子育て費用に不安を感じていると回答しました。食品の値上げは家計をすぐに直撃します。そうした暮らしでは、とても2人目を考える余裕が持てないであろうことは想像に難くありません。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

まとめ

2022年の日本の出生率は1.26で過去最低の数値となっています。そんななか、2人目以降の出産を考えられない、いわゆる「2人目の壁」が多くの夫婦の前に立ちはだかっていることを示す調査結果となりました。特に経済的な要素が大きく、将来の教育費への不安はもちろん、昨年から続いている物価高騰が日々の生活そのものを圧迫しています。子育ての土台となる暮らしの安定が保障される社会でなければ、少子化を食い止めることは難しいといえそうです。

(マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

調査概要

■公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
地域:全国
調査対象:20~39歳の女性、20歳~49歳の男性(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下の既婚者)
調査時期:(事前調査)2023年4月4日~4月13日 (本調査)2023年4月8日~4月13日
有効回答数:2,961サンプル

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