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2023年08月05日 09:00 更新

日本は子育てしやすい国に近づいていないと思う人が75%超、2017年以降でワーストという結果に。子育て中の女性の本音は?

「子ども家庭庁」が発足し、少子化問題への対策に新たな動きが見られていますが、現在、日本で出産・子育て中の夫婦はどんなことを感じ、政府や行政に対して何を望んでいるのでしょうか? 公益財団法人1more Baby応援団が定期的に行っている「夫婦の出産意識調査」をもとに、子育て世代の本音に迫ります。

既婚男女を対象に「子育てのしやすさ」を調査

結婚・妊娠・出産・子育て支援に関する情報提供およびその実現に必要な事業を行っている公益財団法人1more Baby応援団では、2013年から「夫婦の出産意識調査」を行っています。今回はその11回目に当たり、全国の既婚男女2,961人(「子どもがいない」「子どもが1人」「子どもが2人以上」)を対象に実施しました。その結果、日本の「子育てにやさしくない状況」に関して、リアルな当事者の声が見えてきました。

子育てしやすい国か

8割近くが日本は子育てしやすい国に「近づいていない」と回答

日本は子どもを「産みやすい国」「育てやすい国」に近づいているかに関して、「近づいていない」という回答がどちらの場合も75%以上を占める結果となりました。多くの人が日本の出産・子育て環境に不満を持っていることがうかがわれます。

また、今回の結果は、2017年の調査以来、「生みやすい国」はワースト2位、「育てやすい国」はワースト1位となっています。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

女性が子育てしやすい国に「近づいていない」と感じる理由

続いて、「産みやすい国」「子育てしやすい国」に近づいていないと回答した人を対象に、そう感じる理由を聞いた結果を見てみましょう。

男女ともに多くの人が選んでいるのが、「児童手当の金額が十分ではない」(48.9%)、「児童手当など子育て支援制度が続くか不安だから」(40.4%)といった、国の制度に関するものでした。

一方、男女で違いが表われた点もあります。女性では「女性に子育ての負担が偏ったままだから」が最も多く、6割以上の人が選んでいますが、男性でこの理由を選んだ人は28.1%と、男女での認識に開きが見られます。まだ出産や子育てに関するジェンダーギャップが夫婦間にも存在することが垣間見える結果でしょう。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

「勤務日数の多様化」を求める声多数

子どもを「産みにくい国」「育てにくい国」と感じる理由として、制度に関するものを挙げる人が多い結果でしたが、どういった制度や働き方を望んでいるのでしょうか。

回答を見ると、週休3日制などの「勤務日数の多様化」を求める声が最も多く42.3%、次いで「育児支援制度が利用しやすい職場の雰囲気」(37.8%)、「従業員全体の昇給・ベースアップ」(37.1%)が続いています。

仕事と子育てを両立させるためには、きめが細かく柔軟性のある制度はもちろん、その制度を利用しやすい環境づくりも重要であるということのようです。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

子育て中の女性が非正規雇用を選ぶ理由

これまで見た通り、出産・子育てと仕事の両立の難しさが改善されていないというのが、子育て世代の切実な実感となっています。最後に、子育て中の働き方として、非正規雇用を選んだ女性に、その理由を尋ねた結果をご紹介します。

最も多い回答は「家事・育児と両立しやすいから」で、71.5%を占めました。また、「自分の都合の良い時間に働けるから」(32.0%)、「子どもの成長に合わせて仕事を変えられるから」(25.1%)など、子育てを中心として考え、それに合わせて働いている人が多いことがわかります。

一方、「希望の業務内容だったから」(13.1%)や「希望する収入を得られるから」(3.5%)と回答した人の割合は低くなっています。自分のキャリアや収入よりも子育てとの両立を可能とする職場選びを優先した結果、非正規雇用だったということがうかがえます。

公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より
公益財団法⼈1more Baby応援団「夫婦の出産意識調査2023」より

まとめ

今回の調査結果では、日本は子どもが育てやすいと考える子育て世代が圧倒的に少ないことがわかりました。その理由としては男女ともに制度上の問題を挙げる人が目立ちますが、一方、男女間での子育ての偏りに対する認識には、ギャップも見られました。子育ての負担が女性に偏っていることが、子育て中の女性の働き方にも影響しているとも推察されます。制度の改善とともに、社会全体の意識改革も引き続き重要な課題といえるでしょう。

(マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

調査概要

調査地域:全国
調査対象:20~39歳の女性、20歳~49歳の男性(男性は妻が39歳以下かつ結婚14年以下の既婚者)
調査時期:(事前調査)2023年4月4日~4月13日 (本調査)2023年4月8日~4月13日
有効回答数:2,961サンプル

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