
はちみつの食べ過ぎのリスクを解説!適量は?砂糖との違いやメリットも【管理栄養士監修】
天然の甘味料、はちみつ。特有の風味と甘さがあっておいしいので、たっぷり使っていませんか? 健康や美容にも良いイメージですが、食べ過ぎるとかえってデメリットになるかもしれません。今回は、はちみつのメリットと食べ過ぎのリスクについてご説明します。
はちみつの成分の特徴は?砂糖とどう違う?
はちみつをよく食べる人は、砂糖の代わりに使うことも多いのではないでしょうか。はちみつの成分を確認しながら、砂糖との違いも見ていきましょう。
主成分は果糖とブドウ糖

はちみつは約80%が糖質できています。糖質にもいろいろな種類がありますが、はちみつの糖質のほとんどは果糖とブドウ糖です[*1]。一方、砂糖の主成分となるのはショ糖という糖質。果糖とブドウ糖はショ糖よりも体に吸収されるのが早く、すばやくエネルギーに変換されるという特徴があります。
砂糖よりも低カロリーで甘味は強い
砂糖の代わりに使われることも多いはちみつですが、実は砂糖よりもカロリーが低いのをご存知でしたか?
<100gあたりのカロリー>[*1]
はちみつ…329kcal
砂糖(上白糖)…391kcal
また、カロリーが低いだけでもうれしいですが、もう1つメリットがあります。はちみつは砂糖よりも少量で甘味を感じることができるのです。砂糖の主な成分であるショ糖と比べて、はちみつに含まれる果糖はショ糖の1.2~1.7倍の甘味があるためです[*2]。したがって、はちみつを使うと砂糖よりもカロリーを抑えながら、同程度の甘味を得られます。デザートや飲み物だけでなく、料理でも砂糖の代わりにはちみつを使うとよいかもしれませんね。
ポリフェノールを含む
砂糖と違って、はちみつにはフラボノイドなどのポリフェノールが含まれます[*3]。ポリフェノールには体の老化の原因になる活性酸素の発生や働きを抑える抗酸化作用があります。
なお、どのくらいのポリフェノールが含まれるかは、どの花の蜜から作られるかによって異なります。
ビタミン・ミネラルも含まれている
はちみつの種類によって変化しますが、はちみつにはビタミンB群やカルシウム、鉄、カリウム、亜鉛などのミネラル、アミノ酸も含まれています[*1]。これらは砂糖にはほとんど含まれません。糖質以外の栄養素も摂取できるのはうれしいですね。

これらの栄養の特徴以外に、はちみつには子どもの咳を抑える効果や、口内炎を予防する効果があると考えられています。
なお、子どもにはちみつを与えるのは必ず1歳を過ぎてからにしてください(詳細は後述)。
はちみつを食べ過ぎるとどうなる?
砂糖の代わりとしてメリットが感じられるはちみつですが、食べ過ぎによるデメリットはあるのでしょうか。
カロリー・糖質の摂り過ぎで太る
砂糖よりもカロリーが少ないといっても、糖質が主成分のため、食べ過ぎれば太る原因になります。摂り過ぎた糖質はエネルギーとして使用されず、中性脂肪となって体内に蓄積されるためです。
トーストやパンケーキなどにはちみつをかける際、量をはかることは少ないかもしれませんが、はちみつは大さじ1(21g)でも69kcalあります。たっぷりかけるとはちみつだけで100kcalを超える可能性も。使用量には注意した方がよいでしょう。
はちみつの適量はどのくらい?

はちみつをうまく取り入れるなら、1日にどれくらいだと問題ないのでしょうか。目安量をお伝えします。
適量の目安|大さじ1~2
はちみつの1日の摂取量には特に決まりがありません。カロリーや糖質の摂り過ぎというリスクを考えると、1日大さじ1~2を目安にするのがおすすめです。
はちみつ大さじ2は、ご飯茶碗半分とほぼ同じカロリーです。糖質は主食をはじめ他の食品からも摂取されるので、はちみつはこのくらいに留めておくのがよいでしょう。
食べ過ぎ以外のはちみつのリスク
食べ過ぎ以外にも、はちみつを食べるときに注意したいことがあります。
1歳未満の赤ちゃんには与えないで!
1歳未満の赤ちゃんにははちみつを与えてはいけません。ボツリヌス菌による感染症の危険があるためです。1歳以上であれば摂取してもボツリヌス菌が腸内細菌との競争に負けるためリスクは低いですが、1歳未満の赤ちゃんは消化機能が未熟のため、感染しやすいと考えられます。
ボツリヌス菌は一般的な加熱では死滅しません。はちみつそのものだけでなく、はちみつの入っている食品も同様に避けてください。なお、ボツリヌス菌に感染したときの症状としては、便秘、母乳やミルクを吸う力が弱くなる、元気がない、泣き声が変わる、などがあります[*5]。
ボツリヌス菌については以下の記事でより詳しく解説しているので、こちらもご覧ください。
▶【医師監修】赤ちゃんにハチミツは絶対NG!自然界最強毒素のボツリヌス菌とは
糖尿病の場合は血糖値への影響に注意
消化・吸収の早いブドウ糖や果糖を多く含むはちみつは、血糖値(※)を上げやすい食べ物なので、糖尿病の人の場合には注意が必要です。医師や管理栄養士と相談しながら食事療法を行うようにしてくださいね。
アレルギーを起こすことも

はちみつの加工の過程でほとんどの花粉は取り除かれますが、未加工の生のはちみつには少量の花粉が含まれている可能性があります。そのため、花粉にアレルギーがある人などは、はちみつを食べることでアレルギー反応が起こり得ます[*5]。必ずアレルギーが起こるわけではありませんが、思い当たる人は注意しましょう。口からの摂取だけでなく、スキンケアにはちみつを使うことや、はちみつ入りの化粧品にも気を付けた方がいいかもしれませんね。
まとめ
はちみつは砂糖よりも低カロリーで甘味が強く、ポリフェノールやビタミン、ミネラルといった栄養素も摂れる魅力的な糖質ですが、食べ過ぎのリスクもあります。トーストやパンケーキ、飲み物など万能に使えますが、おいしいからといってもほどほどにしましょう。1匹のみつばちが一生で集める蜜の量はティースプーン1杯とも言われているようです。自然の恵みに感謝しながら大切にいただきたいですね。
(文:二橋佳子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
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[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2] 前島健二,甘味の基礎知識 ,醸協,第106巻12号,2011
[*3]中村純:ハチミツ中の蜜源指標,ミツバチ科学 25(1):41-46(2004)
[*4]厚生労働省:ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。
[*5]食品安全委員会:香港食物環境衛生署食物安全センター、生の蜂蜜の喫食のリスクについて情報提供
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます