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2022年08月25日 17:42 更新

太る?糖尿病になる?甘い物の食べ過ぎのリスク|賢く楽しむための適量の目安とは【管理栄養士監修】

甘い物が好きな方は食べ過ぎによる体への影響が気になるのではないでしょうか。糖分の多い甘い物は体に良くないイメージがありますよね。実際に食べ過ぎるとどんなことが起こるのか、考えられるリスクを見ていきましょう。また、適量の目安もお伝えします。

甘い物にはどんな効果がある?

ケーキやクッキー、和菓子などの甘い物を疲れたときに食べると心が和らいだりする方もいるかと思います。一方で、体に悪いという話も聞いたりすることもあるでしょう。甘い物はついつい食べたくなりますが、どのような効果があるのか見ていきましょう。

(なお、本記事での「甘い物」は人口甘味料ではなく砂糖などの糖類を使用しているものを指します。)

糖質は体に良いの?悪いの?

糖質に悪いイメージを持つ人もいるかもしれません。

しかしながら糖質は体を動かす重要なエネルギー源です。糖質が不足すると疲労感や集中力低下を引き起こす可能性があります。また、不足が著しい場合には脳や神経の活動に影響が出て意識障害に陥る危険もあるなど、ヒトが生きるうえで必要不可欠な栄養素です[*1]。したがって、糖質自体が体に良くないというわけではないことを知っておきましょう。

ただし、このあとで説明するように摂り過ぎには注意が必要になります。糖質はご飯やパンなどの炭水化物のほか、野菜や芋類などにも含まれており、食事の中でさまざまな食品から摂取したいからです。甘い物だけで1日に必要な糖質の量を摂ってしまったりするのはおすすめできません。

甘い物の効果|リラックスに役立つ

甘いもののリラックス効果

ストレスが溜まったときに甘い物が食べたくなる方も多くいるかと思いますが、実際、甘い物に含まれる砂糖には気持ちを安定させる作用があると考えられています。

砂糖には、トリプトファンというアミノ酸が脳内に取り込まれるのを促進する働きがあります。このトリプトファンが精神を安定させる作用をもつセロトニンという神経伝達物質のもとになります[*2]。そのため、砂糖の摂取が精神の安定に関係すると見られるのです。

疲れているときやストレスの溜まったときに、ご褒美として甘い物を少し食べるのは、気持ちのリラックスに良いといえますね。

甘い物を食べ過ぎるとどうなる?

甘くておいしいお菓子はついついつまんでしまいますが、食べ過ぎても大丈夫なのでしょうか。甘い物の食べ過ぎと適量について見ていきましょう。

リスク① カロリーオーバー

甘い物は糖質が多いほか、洋菓子などには脂質も多く含まれるため、カロリーの摂り過ぎに気を付ける必要があります。摂り過ぎたカロリーは脂肪として体に蓄えられるため、太ることにつながります。

また、見落としがちなのが甘い飲み物です。見た目にはわかりにくいですが、甘い飲み物には砂糖が多く含まれています。ジュースや炭酸飲料をたくさん飲むこともカロリーオーバーにつながるので、気を付けたいものです。

体を動かすために必要なカロリーは食事から摂っていくことを基本にしたいので、甘いお菓子や飲み物でカロリーを摂り過ぎないようにしましょう。

リスク② 糖尿病になりやすくなる可能性

甘いパンケーキ

甘い物を食べ過ぎると糖尿病のリスクを上げるのでしょうか? 糖尿病の発症リスクはいくつかありますが、その中に食後の高血糖や肥満があります。

糖質を摂り過ぎると細胞への糖の取り込みが間に合わず、血液中の糖の濃度(血糖値)が高くなりますが、この状態が長く続くと血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなる恐れがあります。そうすると糖尿病のリスクが高まってしまうのです。

また、肥満もインスリンの働きを低下させる要因の1つです[*3]。そのため、甘い物をたくさん食べて食後の血糖値が高くなる食生活を続けたり、カロリーの摂り過ぎで太ってしまったりすると、糖尿病のリスクを高める可能性があるでしょう。

糖尿病の場合は甘い物の食べ過ぎに注意

糖尿病を持っている人は医師の指導のもと血糖値を適正にコントロールしましょう。悪化すると網膜症、神経障害、腎症、動脈硬化、歯周病などの合併症を引き起こす恐れもあります[*4]。普段からバランスの良い食事を意識して、甘い物の食べ過ぎによる糖質や脂質の過剰摂取には気を付けたいですね。

リスク③ むし歯

甘いお菓子や飲み物には砂糖が豊富に含まれていますが、砂糖の摂取量が多いとむし歯を発症するリスクが高まります。というのも、砂糖はむし歯を引き起こす口の中の細菌のエサになるからです。むし歯は糖を取り込んだ細菌が出す酸によって歯を溶かすことで起こります。

むし歯がひどくなると抜歯をしなければならない場合もあります[*5]。歯磨きをすることももちろんですが、甘い物の食べ過ぎにも注意しましょう。

甘い物ってどのくらい食べてもいいの?

甘い物に含まれる糖質はエネルギー源となり、リラックス効果があるといった反面、体重増加や糖尿病のリスクもあります。甘い物は1日にどのくらいなら食べてもいいのか、適量と上手な食べ方について見ていきましょう。

1日の目安|200kcal

お菓子などの甘い物は、1日合計で200kcal程度を目安にしましょう。ケーキなら小さいショートケーキで1個分程度、クッキーなら4枚程度です[*6]。ただし、実際にはものよって違ってくるため、栄養成分表示で確認するとよいですね。

また、ジュースやカフェラテなどの甘い飲み物を摂る場合には、甘い物と合わせて200kcalを目安にし、飲み過ぎないように注意する必要があります。甘い物はおいしいですが、あくまでもバランスの良い食事からカロリーをしっかり確保することが大切です。

妊娠中のお菓子の目安は?

妊婦さんも甘い物の食べ過ぎには注意しましょう。妊娠中は必要なエネルギー量が増えますが[*7]、お菓子からではなく主菜、副菜、主食の揃った食事から摂ることが大切です。妊娠中もお菓子は1日200kcal程度を目安にしましょう。とはいえ、つわりのときなど食欲がなく甘い物なら食べられそうなときには、あまり気にせず食べられるものを食べれば大丈夫ですよ。

甘い物を食べるタイミング|食後がおすすめ

甘い物の食べ過ぎを防ぐという意味でおすすめなのは、食事の後のデザートとして食べることです。時間を決めずにだらだら甘い物を食べると、思ったよりもたくさん食べてしまっていたり、むし歯のリスクも高まってしまいます。また、間食などで空腹時に甘い物を摂るよりも、食後に摂る方が血糖値の急な上昇を抑えることにもつながりますよ。

子どもは甘い物を食べても大丈夫?

子どもにお菓子などの甘い物を食べさせても大丈夫なのか、心配になる方もいると思います。リスクはあるのか見ていきましょう。

甘い物は特別なときだけにする

ケーキを食べる子ども

お伝えしたとおり、砂糖の多い甘い物はむし歯のリスクを高めます。甘いものが好きなお子様もいるかと思いますが、ご褒美のときや特別なときに限定するなど、普段から食べ過ぎないようにすることが大切です。食べた後はしっかり歯磨きも行いましょう。

また、お菓子などを食べ過ぎて食事が食べられなくなってしまうことも考えられます。子どもの時期は、必要なエネルギーは大人より少ないですが、ミネラルは大人と同じくらいに必要です。食事に比べお菓子などはカロリーが高い一方でミネラルが摂れないものが多いので、たまに食べる程度に留め、エネルギーとミネラルが一緒に摂れる食材を基本に考えましょう。

子どものおやつは甘いお菓子よりも、食事のかわりになるおにぎりやスープ、ミネラルの豊富な果物や、ヨーグルトなどの乳製品を選ぶのがおすすめです。

離乳食では基本的に砂糖は不要

離乳食などにあえて砂糖を使う必要はありません。もし煮物など砂糖を使う和食を取り分けるのならば、離乳食の後期くらいからは少量の味付けとして使っても大丈夫です。ただし薄味が基本となるため、ほんの少しにしておくことが重要です。離乳食のはじめのうちは、果物や野菜など食材の持つ自然な甘みを感じてもらうようにできると良いですね。

まとめ

甘い物は疲れたときなどについつい食べたくなってしまいますね。リラックス効果もありますが、食べ過ぎのリスクもあるため注意する必要があります。バランスの良い食事を心がけ、楽しみ程度に甘い物を食べるようにすると良いですね。

(文:山田奈都乃 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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