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2022年04月11日 17:30 更新

チーズの食べ過ぎってどのくらい?リスク回避のための目安量と注意点【管理栄養士監修】

チーズはその風味や食感で料理のアクセントになりますね。種類も豊富でさまざまな味が楽しめるので好きな方は多いでしょう。しかし食べ過ぎてしまうと思わぬリスクも。チーズを食べるときの注意点と適量、栄養の特徴もお伝えします。

チーズは食べ過ぎても大丈夫なの?

チーズは食べ過ぎても大丈夫なのでしょうか。食べ過ぎのリスクと適量も合わせてお伝えします。

リスク① 塩分の摂り過ぎ

種類にもよりますが、チーズには塩分が多く含まれます。たくさん食べると塩分を摂り過ぎてしまう可能性があるので注意が必要です。

塩分の摂り過ぎは高血圧の原因となり、脳卒中や心筋梗塞、慢性腎疾患などの病気につながるリスクがあります[*1]。塩分は成人男性で1日当たり7.5g未満、女性で6.5g未満が目標となっているので[*2]、1食あたり2g程度に抑えられるといいのですが、なかなか難しいですよね。なるべく塩分の摂り過ぎを抑えられるよう、チーズを「調味料」として考え、そのほかの味付けを控えるようにするとよいでしょう。

主なチーズの食塩相当量(100gあたり)[*3]
・プロセスチーズ 2.8g
(1枚=約20gだと約0.6g)
・パルメザンチーズ 3.8g
(大さじ1=約6gだと約0.2g)
・チェダーチーズ 2.0g
・ゴーダチーズ 2.0g
・カマンベールチーズ 2.0g
・エダムチーズ 2.0g
・カッテージチーズ 1.0g
・モッツァレラチーズ 0.2g

リスク② カロリーオーバー

チーズの盛り合わせ

チーズは脂質も豊富に含まれています。脂質は体に欠かせない大切な栄養ですが、たんぱく質や糖質が1g=4kcalなのに対し脂質は1g=9kcalと高エネルギーなので、摂り過ぎるとカロリーオーバーとなり、体重が増えるリスクがあります。

おつまみでチーズをちょこちょことずっと食べてしまうということもあるかもしれませんが、チーズばかり食べ過ぎないように注意しましょう。

主なチーズの脂質量(100gあたり)[*3]
・プロセスチーズ 26.0g
・パルメザンチーズ 30.8g
・チェダーチーズ 33.8g
・ゴーダチーズ 29.0g
・カマンベールチーズ 24.7g
・エダムチーズ 25.0g
・カッテージチーズ 4.5g
・モッツァレラチーズ 19.9g

リスク③ 他のミネラル吸収に影響も

チーズはカルシウムが豊富ですが、カルシウムの過剰摂取によって起こる障害として、泌尿器系結石、ミルクアルカリ症候群、鉄や亜鉛などのミネラルの吸収抑制などあります[*2]。このためカルシウムには「耐容上限量」(※)として成人で2500mgが設定されています。

仮にカルシウムをチーズだけで摂るとするなら、種類にもよりますが、だいたい400g前後のチーズを毎日継続的に食べた場合が想定できます。

プロセスチーズ400g:カルシウム約2520mg
チェダーチーズ350g:カルシウム約2590mg
カマンベーズチーズ500g:カルシウム約2300mg[*3]

そこまでチーズを毎日たくさん食べることはないかと思いますが、カルシウム製剤を処方されている場合には注意するといいでしょう。また、サプリメントでカルシウムを補っている場合にも、食品と合わせたトータルの摂取量を意識することが大切です。

(※)耐容上限量とは、この量を超えて習慣的に摂取した場合には、健康に悪影響をもたらすリスクがゼロではなくなることを表します。耐容上限量を超えたらすぐに健康を害するということではありませんが、習慣的に摂取する食品では、耐容上限量を超えないように注意が必要です。

チーズの適量はどれくらい?

3Pチーズ

塩分やカロリーの摂り過ぎが気になるチーズですが、1日どのくらいであれば食べてもいいのでしょうか?

適量の目安|1日1~2かけ

チーズの種類や商品によって大きさなどにもよってしまいますが、おおよその目安として、1日あたり1~2かけ、スライスチーズなら1~2枚程度にするとよいでしょう[*4]。チーズの種類によって塩分や脂質の量が異なるので、栄養成分表示を見てみるのもいいですね。

チーズの量を意識するだけでなく、あくまでも食事全体でのバランスのよさを意識することが大切です。

チーズにはどんな栄養があるの?

食べ過ぎには注意が必要ですが、乳製品で発酵食品でもあるチーズにはもちろんメリットもあります。チーズにはどのような栄養が含まれているのか見てみましょう。

たんぱく質|体の構成成分

チーズには牛乳由来のたんぱく質が豊富に含まれます。

たんぱく質は体のエネルギー源になるだけではなく、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などを構成する役割を持つ重要な栄養素です。たんぱく質が不足すると体力や免疫力の低下を引き起こす可能性があります[*5]。

たんぱく質を肉や魚や大豆から摂るのはもちろんですが、おやつのように手軽に食べられるチーズも、たんぱく質の摂れる食べ物として大変おすすめです。

主なチーズのたんぱく質量(100gあたり)[*3]
・プロセスチーズ 22.7g
・パルメザンチーズ 44.0g
・チェダーチーズ 25.7g
・ゴーダチーズ 25.8g
・カマンベールチーズ 19.1g
・エダムチーズ 28.9g
・カッテージチーズ 13.3g
・モッツァレラチーズ 18.4g

カルシウム|骨粗しょう症予防

カルシウムの過剰摂取は体への影響がでる可能性がありますが、一般に日本人はカルシウムの摂取が不足しているので[*6]、通常の食事であればしっかり摂ることを考えたい栄養素です。

カルシウムの摂取が不足すると骨に貯蔵されているカルシウムが使われるため、骨密度が減り骨がもろくなってしまいます[*7]。カルシウムを食事からしっかり摂って骨の中のカルシウム量を維持することが、骨粗しょう症を予防することにつながります。

「骨粗しょう症が気になる年齢なってから」とは考えず、早いうちから心がけておくとよいでしょう。カルシウムはチーズだけではなく、牛乳やヨーグルト、小魚、青菜類などにも含まれます。

ビタミンB2|肌を健康に保つ

鏡で肌を見ている女性 肌荒れ

ビタミンB2は体内でのエネルギーの産生にかかわるほか、「成長のビタミン」とも呼ばれ、発育や細胞の再生にもかかわっています。

ビタミンB2が不足すると口内炎や口角炎などの皮膚炎を引き起こす可能性があるので[*2]、皮膚を健康な状態に保つためにも意識して摂れるとよいでしょう。

チーズなら手軽にいつもの食事にビタミンB2をプラスすることができますよ。

おすすめの食べ方

チーズはそのままでも手軽においしく食べられるのがうれしいですね。

料理に少しプラスするのもよいでしょう。風味が加わり料理がおいしくなります。手軽なアイデアとしては、サラダにパルメザンチーズをかけるのは簡単でおすすめです。

また、チーズのカルシウムを上手に摂ることを考えるなら、カルシウムの吸収を促進する働きのあるビタミンDを一緒に摂るのもよいでしょう。ビタミンDは魚やきのこなどに豊富です。

妊娠中はチーズを食べてもいいの?

妊婦 リビング ソファ

妊娠中は何を食べても大丈夫か、何かリスクはないか心配になりますよね。チーズは妊娠中に食べても大丈夫なのか、適量はどのくらいなのかをお伝えします。

輸入品など非加熱のナチュラルチーズは避けて

妊娠中もチーズは食べて問題ありません。ただし輸入品などに時折みられる非加熱のナチュラルチーズは避けましょう。リステリア菌による食中毒の可能性があるためです。そのようなナチュラルチーズを食べたい場合は、しっかりと火を通して加熱する必要があります。

ナチュラルチーズでも一般的に日本で流通している国内産のものは、製造過程で加熱殺菌されているので心配はいりません。また、プロセスチーズも加熱工程があるのでそのまま食べられます。

妊娠中にチーズを選ぶときはパッケージの表示を見て種類や生産国を確認するようにしましょう。また、ピザ用チーズなど加熱を前提とした製品には「要加熱」と書かれているので、その点も確認してくださいね。

なお、妊娠中のチーズの食べ方と食中毒のリスクについては、下記の記事で詳しく解説しています。

妊娠中の目安量|1日1~2かけ

チーズはカルシウムやたんぱく質を手軽に摂ることができるのがよいですね。妊娠中も1~2かけ程度、スライスチーズなら1~2枚程度が目安です。ただし、塩分の摂り過ぎも気になるので、調味料は控えめにし、チーズで味付けをするようなイメージで取り入れましょう。

子どもの場合はどのくらい?離乳食は?

チーズをのせた食パンを食べる子ども

チーズは子どもにとっても良いカルシウムの摂取源となりますが、適量はどのくらいでしょうか。また、離乳食ではいつから食べられるのかも一緒に見ていきましょう。

子どもの目安量|1日1かけ

成長に大切なたんぱく質やカルシウムを一緒に摂れるチーズは子どもにもピッタリの食品です。カルシウムは骨を強くするためにも子どものうちにしっかり摂っておきたいですね。

塩分の摂り過ぎには注意したいので、1日の目安は1かけ、スライスチーズなら1枚くらいにするとよいでしょう。カルシウムやたんぱく質はチーズ以外にもさまざまな食品に含まれています。バランスの良い食事を心がけていくことが大切です。

離乳食では中期(7~8ヶ月)頃から

離乳食でチーズを始める時期に決まりはありませんが、食べられる食材が増えてきた中期(7~8ヶ月頃)から始めるのがおすすめです。離乳食の回数が増えて献立がマンネリになったと感じたときに、パルメザンチーズで味を付けるといった取り入れ方もできます。ただし塩分が多めなので少量にしましょう。

離乳食の初期(5~6ヶ月頃)から始めてはいけないということはありませんが、その場合は脂質や塩分の少ないカッテージチーズにするのをおすすめします。

また、チーズは牛乳アレルギーがでる可能性もあるので、初めての時は赤ちゃんもお母さんも体調が良い日を選び、何かあったときにすぐに受診できるよう午前中にチャレンジできると安心ですね。

まとめ

チーズは手軽に食べやすく、食事に取り入れやすい食品ですが、食べ過ぎると塩分やカロリーの摂り過ぎにつながります。1日1~2かけの適量を心がけましょう。カルシウムやたんぱく質、ビタミンが摂れる栄養豊富な食品なので、塩分に気を付けつつ味付けとしてチーズを使うなど、上手に取り入れていきたいですね。

(文:山田奈都乃 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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