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2022年04月26日 14:30 更新

スイカの食べ過ぎで下痢になる?気になるリスクと適量の目安【管理栄養士監修】

夏は冷やしたスイカがおいしいですよね。カットフルーツとしてもスーパーやコンビニに並んでいて、手軽に食べやすくなりました。水分がたっぷりでのど越しがよく、たくさん食べてしまうこともあるかもしれません。食べ過ぎると体にどんな影響があるのでしょうか。

スイカの食べ過ぎにはどんなリスクがある?

キンキンに冷えたスイカは暑い夏にはとっても魅力的ですね。つい、たくさん食べてしまうこともあるのではないでしょうか。スイカを食べ過ぎるとどのようなリスクがあるのか、確認していきましょう。

下痢や腹痛のリスク

果物は基本的に水分が多い食べ物ですが、そのなかでもスイカの水分量はトップクラスです。皮の部分や皮に近いところ、種などを除いた「可食部(食べられる部分)」のうち、水分が約9割を占めます[*1]。

そのため、スイカを食べ過ぎることで水分の摂り過ぎにつながる可能性があります。その結果、胃酸が薄まってしまい消化不良を起こしたり、下痢や腹痛になることがあるかもしれません。水をごくごく飲み過ぎるとお腹を壊すのと同じ原理です。

夏バテなどで食欲のないときにスイカだけを食べたりすることがあるかもしれませんが、胃腸が弱っている場合もあるので、あまり胃酸を薄めるような食べ方は避けられるといいですね。

糖質やカロリーの摂り過ぎになる?

スイカ 半玉

水分が9割のスイカはほとんどカロリー(エネルギー)がなさそうですが、もちろん、たくさん食べればカロリーの摂り過ぎは心配です。

スイカは水分を除くとほぼ糖質でできており、可食部100gあたり約40kcal、糖質は約9gです[*1]。他の果物と比べて特別にカロリーが高いというわけではありませんが、大きなサイズで売られているので、つい一度に食べる量が多くなりがちかもしれません。

とはいえ、たとえばショートケーキ1カット分のカロリーをスイカに置き換えるとおよそ1kg分になります。スイカを1kgも毎日食べるのはなかなか難しいですよね。スイカを食べたからといってカロリーの摂りすぎになることは考えにくいでしょう。

スイカを食べるときの目安量は?

スイカの1日の摂取目安量は具体的には決まっていません。では、適量としてはどのくらいを考えればいいのでしょうか。

適量の目安|1日100~200g

厚生労働省が発表している食事バランスガイドでは、果物の摂取目安を1日2つ(SV)としています[*2]。重さで言うと200gです。スイカだけを食べるのか、他の果物も食べるのかによって調整しましょう。他の果物も合わせて200gにするならスイカは100gくらいに、スイカだけなら200gになりますね。

スイカ1切れが150~200gなので、100gなら小さめのカット、200gなら大き目のカットをイメージするとよいでしょう。なお、この量は水分に換算するとコップ1杯弱くらいなので、水分摂取としてもほどよい量といえます。

※SVとはサービング(食事の提供量の単位)の略

スイカにはどんな効果がある?

スイカ カット

スイカには利尿作用があるからたくさん食べるという人もいるかもしれません。そこで、スイカの栄養の特徴や利尿作用について解説します。

むくみを解消するカリウムが摂れる

カリウムは塩分(ナトリウム)を体の外に排出する作用があるため、塩分が過剰な場合にその量を調節してくれます。塩分の摂り過ぎはむくみを生じやすくなったり、高血圧のリスクを高めるため、カリウムは積極的に摂りたい栄養素です。

野菜や果物にはカリウムを含むものが多く、スイカにも100gあたり120mg含まれます。ただしこれは特筆するほどの量ではありません。カリウムの摂取という意味では、スイカだけでなく、複数の野菜や果物、芋類やキノコ類などをバランスよく摂る必要があります。

■おもな野菜・果物のカリウム量■
さつまいも(蒸し)…480mg
バナナ…360mg
トマト…210mg
きゅうり…200mg
みかん…150mg 
スイカ…120mg
りんご…120mg [*1]

利尿作用はある?

スイカに利尿作用があるという話は、経験上うなずける方が多いかもしれません。しかしながら証明はなかなか難しいといえます。

スイカに含まれる成分で利尿作用との関係が考えられるのはカリウムです。たしかにカリウムは体内のナトリウム(塩分)の濃度を調整する働きがあるため、塩分の摂り過ぎにより体内で水分がため込まれている場合、余分なナトリウムと水分は尿となって体の外に排出されます。

ただしこれは、あくまでもナトリウムを摂り過ぎてむくんでいた場合の話です。また、カリウムの作用を期待するのであれば、バナナやトマトのほうがカリウムが多いので、より効果が期待できるでしょう。スイカに特に利尿作用があるとするのは難しそうです。

スイカを食べると水分も摂ることになるので、食べた後に尿意を感じやすく、利尿作用があるといわれているのかもしれませんね。

血流を良くする?

スイカにはシトルリンというアミノ酸が含まれることでも知られます。スイカだけでなくその他のウリ科の食べ物にも多く含まれる成分です。

このシトルリンには血管の拡張作用が期待されることから、俗に「血流を良くする」と言われたりします。しかしながら、その効果のほどははっきりとしないのが現状です。

したがって、スイカを食べて血管が広がるかはわかりませんが、ただし、スイカを食べることで水分を摂取できるので、血中の老廃物の排出が促されて血流の改善に結びつくことはあるかもしれませんね[*3]。

カリウム制限がある人は要注意

腎臓に病気のある場合には、スイカの食べ過ぎによる別のリスクが考えられます。特別な注意が必要です。

慢性腎臓病などの場合はスイカは少量に

スイカ カット

カリウムは一般の人が摂る分には特別に注意する必要のない栄養素です。しかし慢性腎臓病(CKD)などで腎臓の疾患がある場合には、カリウムを摂り過ぎると高カリウム血症(血液中のカリウムが多い状態)に発展する心配があります。腎臓機能が落ちているとカリウムの排出がうまくいかないことがあるためです。

カリウムはスイカだけではなく芋類や他の果物類、野菜類など、いろいろなものに含まれています。野菜を食べるときには生野菜ではなく茹でこぼすと、カリウムを減らすことができます。スイカなど生で食べる果物は食べ過ぎないようにしましょう[*4]。

なお、腎臓に疾患がある場合のスイカの摂取可能量については、それ以外に摂取する食べ物との関係やカリウム制限の度合いにもよるため、一概に算出することはできません。スイカは少量を楽しむ程度にしつつ、他の食べ物からのカリウム摂取量に気を付けておくといいでしょう。

まとめ

水分が豊富なスイカは暑い夏に食べたくなる果物ですが、食べ過ぎて体調を崩してしまっては元気に夏を乗り越えることができません。胃が水分でいっぱいになってしまわないようにしたいですね。適量を心がけて夏の季節の味を楽しみましょう。

(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

「カロリー」という表記について
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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