【医師監修】生理の周期が早いのは病気? 考えられる3つの原因と4つの対策

【医師監修】生理の周期が早いのは病気? 考えられる3つの原因と4つの対策

この前生理が来たと思ったら、また来てしまった――。こんな経験ありませんか。生理のサイクルが早いのには何らかの原因があるかもしれません。今回は生理のサイクルが早い原因と対策についてまとめました。


この記事の監修ドクター
産婦人科医・医学博士 宋美玄 先生
大阪大学医学部医学科卒業。丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった「女医が教える本当に気持ちいいセックス」がある。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。

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自分の「生理周期」を知っていますか?

「子どもを産む」という行為は、女性だけに与えられたとても神聖なもの。その備えとして毎月やってくる生理(月経)は、子どもを産む用意をしている大事な証でもあり、女性の健康のバロメータにもなっています。

自身の生理周期を知ることは、自らの健康や将来の妊娠・出産のためにとても大切です。

生理周期(月経周期)とは

赤ちゃんを育む子宮は、毎月、妊娠に備えて赤ちゃんのベッドとなる子宮内膜を厚くしています。妊娠が成立しないときは、不要となった子宮内膜が経血として体外に排出されます。これが生理です。

生理から次の生理までを「生理周期(月経周期)」といいます。

生理が始まった日を1日目とし、次の生理が始まる前日までがひとつのサイクルです。例えば、8月1日に生理が始まり、8月29日に次の生理が始まったとしたら、生理周期は28日と数えます。

生理周期は人によって異なりますが25日~38日[*1]が正常とされ、基本的には毎月ほぼ同じサイクルで繰り返されます。

4つのステージに分かれる生理周期(月経周期)

生理周期は大きく4つのステージに分かれています。

(1)月経期

子宮の環境をリセットする時期で、いわゆる「生理期間」のこと。妊娠が成立しなかったことで役目を終えた子宮内膜がはがれ落ち、経血となって排出されます。生理期間の正常範囲は3~7日間(平均約5日間)[*1]です。

(2)卵胞期(低温期)

妊娠の準備を整えている時期。卵巣にある卵胞(卵子を守る袋)が、脳の下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激ホルモン)の刺激を受けて、成長していきます。同時に、卵胞から作られるエストロゲン(卵胞ホルモン)によって、子宮内膜が厚くなっていきます。

(3)排卵期

成熟した卵胞から卵子が放出される(排卵)時期で、生理からおよそ14日前後に起こるのが一般的です。

排卵の直前にはエストロゲンが急激に増え、下垂体からLH(黄体形成ホルモン)が一気に放出されます。これを「LHサージ」といい、その34~36時間後に排卵が起こります[*2]。もっとも妊娠しやすいのがこの時期です。

(4)黄体期(高温期)

受精した卵子を受け入れられるよう子宮環境を整える時期にあたります。

排卵を終えた卵胞(黄体)から作られたプロゲステロン(黄体ホルモン)によって、子宮内膜は受精卵の受け入れに適した状態に変わります。

受精卵が子宮内膜に入り込み根を下ろしたら(着床)、妊娠が成立です。受精卵ができなかったり、着床しなかったりした場合は、子宮内膜ははがれ落ちて次の生理を迎えます。

早い周期で生理がきてしまう(頻発月経)

生理周期は25~38日が正常とされていますが、何らかの理由で生理周期が早まることもあります。次の生理が25日を待たずに来ることを、「頻発月経」といいます。

頻発月経になりやすいのはどんな人?

生理周期は、体の成長によって徐々に安定し、一定のサイクルを繰り返すようになります。

一方、初潮から間もない思春期や、閉経に向けてエストロゲンの分泌が減少していく更年期では、頻発月経になることがあります

このほか、過度なダイエットやストレス、不規則な生活によるホルモンバランスの乱れによって生理不順が生じ、生理が早く来る人もいます。子宮や卵巣、甲状腺などに病気があることで、頻発月経になることもあります。

頻発月経の症状やその影響は?

頻発月経になると生理の時期が早まりますので、貧血になることもあります。また、生理が頻発する背景には排卵障害などが起こっている場合もあり、注意が必要です。詳しくは次の項でご紹介します。

生理周期が早い頻発月経の原因3つ

頻発月経が起こりやすい原因は、大きく3つにわけられます。

卵巣機能の低下(無排卵周期症)

生理のような出血はあるけれど、排卵が起こっていない状態です。19日以内に次の生理が来る頻発月経の人の約6割が、無排卵といわれています[*3]。

排卵がないため不妊の原因となります。

原因は卵巣の機能低下で、卵巣の機能がまだ成熟していない思春期(初潮~数年)や、授乳期、卵巣機能が低下しはじめた更年期に多く見られます。基礎体温をつけると低温相と高温相に分かれず低いままとなるのが特徴です。

黄体機能不全

エストロゲンやプロゲステロンの作用不足によって、子宮内膜の増殖に問題が生じた状態。黄体期が短くなることで頻発月経になります。

子宮内膜の状態が悪いと受精卵が着床できなかったり、着床できても育たなかったりするため、不妊の原因になります。

原因はよく分かっていませんが、脳(視床下部‐下垂体)や卵巣のホルモン分泌異常などが関わっていると考えられています。

黄体機能不全はホルモン検査(血液検査)のほか、基礎体温の状態からも分かります。高温相が10日以内(正常では14日)、低温相から高温相に移るのに3日以上かかる、低温期と高温期の差が0.3℃ない、高温期中に体温の低下するときがある、といった状態から黄体機能不全が疑われます。

ストレスや極端なダイエット、肥満

詳しくは後述しますが、ストレスや極端なダイエットによる体重減少、太りすぎなどは無排卵周期症や黄体機能不全のリスクとなります。

頻発月経の治療法

頻発月経は生理が早く来るため煩わしさもありますが、それ以上に卵巣の機能低下や無排卵などを原因とするため、放っておくことで不妊につながりかねません。

出血が増えることで貧血などの症状が現れることもありますし、骨密度の低下が生じて将来の骨粗しょう症のリスクも高まります。たまたま生理が早まった場合であれば様子を見てもよいでしょうが、頻発月経が続くようなら、早めに婦人科に受診することをおすすめします。

婦人科では主に次のような治療を行っていきます。

頻発月経の検査と治療方針

まずは基礎体温をつけてもらい、正常な相を示すかどうかを確認します。加えて、ホルモンの値を調べる血液検査(生理中にLH、FSH、エストロゲンなどを測る)や、子宮(内膜)や卵巣に異常がないかを調べる超音波検査などを必要に応じて実施します。

検査の結果、無排卵周期症や黄体機能不全が疑われたケースのうち、赤ちゃんを望む女性に対しては、ホルモン剤や排卵誘発剤を使って、排卵やホルモン分泌などを正常に戻す治療を行っていきます。

一方、年齢的に若い女性や、赤ちゃんを望まない女性に対しては、ホルモン剤で生理周期を整える治療や、貧血などの症状を抑える対症療法を行っていきます。

赤ちゃんを望む場合の治療

無排卵周期症の女性が赤ちゃんを望んでいる場合は、「排卵誘発法(クロミフェン療法、ゴナドトロピン療法)」、「黄体補充療法(黄体賦活療法、黄体ホルモン補充療法)」などを行います。

クロミフェン療法は脳からのホルモン分泌を促して卵胞の発育を促進し、排卵を起こさせる、内服薬による治療です。この方法で治療効果が見られない場合は、ゴナドトロピン療法を行います。

ヒト閉経後ゴナドトロピン(hMG)製剤または卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤を注射し、卵胞が一定の大きさに育ったら、排卵作用のあるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)製剤を注射するという治療法です。

黄体機能不全の女性が赤ちゃんを望んでいる場合は、先の「排卵誘発法」のほか、黄体期に絨毛性ゴナドトロピンを注射する「黄体賦活療法」や、プロゲステロン製剤を服用する「黄体ホルモン補充療法」などを行っていきます。

高プロラクチン血症が原因なら、プロラクチンを抑えるドパミン作動薬を用いた薬物治療を行います。

赤ちゃんを望まない場合の治療

無排卵周期症では、「ホルムストローム療法」や「経口避妊薬(ピル)による治療」を行います。ホルムストローム療法とは、生理周期の後半に黄体ホルモン製剤を服用または注射する治療法です。

頻発月経を予防する4つの対策

生理周期には、エストロゲンやプロゲステロンだけでなく、脳の視床下部や下垂体から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)や卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)など、さまざまなホルモンが関わっています。

私たちができる頻発月経への対策は、「こうしたホルモン分泌に影響を及ぼす原因を、できるだけ作らないこと」につきます。

具体的には以下の4つになります。

基礎体温をつける

基礎体温は、生理周期が規則正しく来ている、毎月しっかり排卵がある、といったことを確かめるための手段です。

基礎体温をつけることが直接的に予防につながるわけではありませんが、頻発月経などの月経の異常や月経不順に気づくきっかけになり、早めの対策につなげやすくなります。

ストレスを溜めない

通常、脳の視床下部や下垂体は、エストロゲンやプロゲステロンの分泌を間接的に促すゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)などのホルモンを、必要に応じて分泌しています。

ところが、強いストレスを受けると、視床下部や下垂体はそのストレスに対抗するため、ストレスホルモンと呼ばれる副腎皮質刺激ホルモン(CRH)の分泌を促します。その結果、女性ホルモン不足が生じて生理周期や排卵に影響を及ぼすとされています。

頻発月経は、受験や就職活動、失恋、離婚、家族の不幸といったストレスがきっかけで始まることもあります。

規則正しい生活をしてストレスを溜めないよう心がけるとともに、軽いストレッチなどの運動やアロマセラピー、入浴など、自分なりのストレス解消法を見つけ、実践していきましょう。

過度なダイエットをしない

過度なダイエットやスポーツによって体重が急に落ちたら、生理周期が狂ってしまった――。こんな経験をした人もいるかもしれません。

急な体重減少や極端なやせ体型では、栄養不足から視床下部や下垂体からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌が抑えられることで、卵巣機能が低下。エストロゲンが作られなくなるため、生理周期に影響が出ます。

加えて、脂肪細胞から分泌されるレプチンというホルモンにもゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を促す働きがありますが、やせているとレプチンは少なくなります。そのため、これが血液中に極端に少ないと無排卵周期症などを引き起こすことがあります。

太りすぎにも注意

太りすぎもよくありません。先に示したとおり、レプチンはゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を促す働きがありますが、極端な肥満(体脂肪の増加)によって分泌が増えすぎるとかえって作用が弱まり、無排卵周期症を引き起こす可能性があると言われています。

肥満度を示すBMI(ボディ・マス・インデックス。体重kg÷身長m÷身長m)の標準範囲は18.5~24.9です。適切な体重を維持することが大切です。

もし頻発月経と診断されたら

飲み薬による治療では、医師の指示に従って、きちんと服用するようにしましょう。

生理の回数が増えると、その分、出血量が増えます。貧血を起こしやすいので、鉄分を意識してとるようにするとよいでしょう。レバーや赤身の肉、大豆製品、小松菜、貝類などに多く含まれています。また、鉄の吸収を高めるビタミンCも一緒にとるとよいでしょう。

一方で、鉄は体の外に排出されないことから、とりすぎによる健康被害の危険性も指摘されています。鉄分はサプリメントではなく、できるだけ食事からとるようにしましょう。

自分の体ときちんと向き合おう

生理は妊娠に関わるだけでなく、女性が自身の健康状態を知る重要なバロメータでもあります。頻発月経に限らず、生理が来なくなった、量が増えた、痛みがひどくなったなど、いつもと違う感じを覚えたら、早めに婦人科を受診するようにしましょう。

(文:山内リカ/監修:宋美玄先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会編: 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版, p59, 2018.
[*2]講義録 産科婦人科学, p26, メジカルビュー社, 2010.
[*3]病気が見える vol.9 婦人科・乳腺外科 第3版, p33, メディックメディア, 2016.

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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