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2021年08月31日 10:40 更新

【医師監修】生理が月2回来る原因は?|頻発月経と不正出血の対処法

生理(月経)は通常、だいたい月1回の頻度で来ることが多いもの。ところが、つい半月前に来たばかりなのに、また来てしまったら……。「これってもしかして病気なのでは?」と不安になりますよね。今回は「生理が同じ月に2回来た場合」に考えられる原因とその対処法についてご紹介します。

「生理が月2回」来る原因は病気?

生理が月2回きて困り顔で調べる女性のイラスト
(イラスト:epico428)

同じ月のなかで2回も生理があると、「もしかして何かの病気?」と心配になりますね。これにはどんな原因が考えられるのでしょうか。

大きく「3つの原因」が考えられる

生理が月に2回来たとき、考えられる原因は大きく3つあります。原因によって、あまり心配ない場合と注意が必要な場合があるので、みていきましょう。

(1)正常範囲内で周期が短い

月に2回生理が来たといっても、あまり心配のいらない場合もあります。
例えば、

同じ月のなかで「1日に1回目」「26日に2回目」が始まった

なら、生理周期は「25日」ですが、これは短いものの正常範囲です。

「生理は1ヶ月に一度来るもの」というイメージがあるかもしれませんが、人によって幅があり、「生理が始まってから次の生理が来るまでの期間(生理周期)」は「25~38日間」の範囲内であれば正常とされています。

ですから、月に2回生理が来たとしても、この範囲内であればとくに問題はありません。最近は、生理周期を手軽に記録できるアプリがたくさんあります。生理が来るたびにそうしたものを利用して記録しておくと、自分の正確な生理周期を簡単に把握できます。

(2)頻発月経

生理周期が「24日以内」と短すぎる場合は、「頻発月経」といって注意が必要な状態です。頻発月経の起こる原因は後程解説します。

生理周期の「変動が激しい」のも要注意

なお、生理周期は一定の人もいれば、毎回変動する人もいますが、生理周期の「変動が7日以上」の場合もなんらかの異常が考えられます。毎回の生理周期が短いだけでなく、長かったり短かったりして変動が激しい場合も要注意なのです。

例えば、前回の生理周期は28日だったのに、次の生理周期は24日だったというような場合です。

一方で、生理周期が「39日以上~3ヶ月未満」と長すぎる場合は「希発月経」、3ヶ月以上生理が来ない状態のことは「続発性無月経」といって、これらも注意が必要な状態です。

このように生理周期や生理の量、生理が続く期間などに異常があることを、「生理(月経)不順」と言います。

生理周期の異常のイメージ
生理周期の異常(イメージ)

(3)不正出血

生理以外で性器から出血することを「不正出血」と言います。生理ではなく実は不正出血が頻発している状態なのに「生理がたびたび来ている」と勘違いすることもあります。

不正出血はさまざまな原因で起こり、なかには心配のないものもありますが、「子宮内膜ポリープ」や「子宮体がん」「子宮頸がん」などの病気が原因で起こることもあるので注意が必要です。

頻発月経になる原因は?

生理が月2回あり、体温計を持って寝込む女性
Lazy dummy

生理周期が通常より短すぎる「頻発月経」は、おもに以下の2つが原因で起こると考えられます。

(1)無排卵周期症

生理のような出血はあるけれど、実際には「排卵」が起こっていない状態のことです。「生理周期20日未満の頻発月経の人の約6割」がこの無排卵周期症であると言われています[*1]。

これは卵巣の機能が低いことで起こり、下記のようなとき、この状態になります。

病気が原因のとき

高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など

生理的な原因があるとき(病気ではない)

卵巣がまだ成熟していない思春期(初経から数年間)、産後の授乳期、卵巣の機能が低下し始めた更年期

生理的無排卵ではない場合は不妊にもつながるため、本来なら早期に対策をとりたいところですが、出血があるため生理と区別がつかず、そのまま放置されていることもあります。

基礎体温に見られるサイン:無排卵周期症の場合

なお、無排卵周期症の場合、基礎体温「低温相と高温相に分かれず、低いままが続く」という特徴を示します。

(2)黄体機能不全

卵胞が育ち排卵して黄体ができるまでの流れ
Lazy dummy
卵胞が育ち排卵して黄体ができるまでの流れ

「黄体」とは、卵子を排出した(排卵した)後の卵胞が変化してできる組織で、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」を分泌しています。

黄体機能不全とは、その名の通り黄体の働きが不十分なために、エストロゲンやプロゲステロンの分泌が不足します。すると、子宮内膜の環境がうまく整わなくなり、黄体期が短くなるため頻発月経になりやすいといわれています。

黄体機能不全のはっきりした原因は不明です。ただ、女性ホルモンの分泌をコントロールする「脳の視床下部や下垂体の異常」、女性ホルモンを分泌する「卵巣の異常」、「子宮内膜の発育異常」などが絡み合って発症すると言われています。

この場合も、受精卵が着床できなかったり、着床できても育たなかったりすることが多く、不妊の原因になります。実際、不妊症の女性の10~30%に黄体機能不全がみられるという報告もあるようです[*2]。

基礎体温に見られるサイン:黄体機能不全の場合

黄体機能不全があると、基礎体温には、

「高温相が10日以内しかない(正常は14日間)」

「低温相から高温相に移るまで3日以上かかる」

「低温相と高温相の差が0.3℃以内」

「高温相中に体温が低下することがある」


といった特徴がみられます。

無理なダイエットやストレスなども原因になる

無排卵周期症や黄体機能不全の原因はさまざまですが、「無理なダイエット」や「ストレス」なども生理周期に影響するとされています。

例えば、食事を抜くダイエットなどで急に体重を落とすと、栄養不足から女性ホルモンの分泌を促すホルモンの産生が抑えられてしまうことがあり、エストロゲンが作られにくくなります。

反対に、極端な肥満でも女性ホルモンが分泌される過程に問題が生じることがあり、作用が弱まることがわかっています。

また、過度なストレスが生じると、女性ホルモンの産生が不足することがあります。

これらのような背景があって女性ホルモンの分泌がうまくいかなくなることでも、頻発月経をはじめとした、さまざまな生理不順は起こることがあります。

生理が月2回来たらどうすればいいの?

基礎体温のイメージ

生理が月2回来たら、まずはどうすれば良いのでしょうか。

基礎体温を測ってみよう

生理周期の異常は、無理なダイエットをしたり、大きなストレスを受けたりしたときなどに一時的に起こることもあります。

生理の間隔がおかしいなと感じたら、毎朝、起床直後に婦人体温計で「基礎体温」を測り、記録してみましょう。基礎体温を日々記録しておくと、その動きに何か異常がないか確認することができます。

生理不順が続くようなら、2、3周期分記録した基礎体温表を持参して婦人科を受診しましょう。

ひどい出血や腹痛などがある場合はすぐに受診

ただし、「いつもの生理時より多い出血」や「ひどい腹痛など出血以外の症状もある」場合は、できるだけ早く受診してください。

とくに妊娠の可能性がある人は「異所性妊娠(子宮外妊娠)」の場合もあるので、こうした症状があったら、夜間・時間外であっても医療機関をすぐに受診してください。

「月2回の生理が続く」場合も受診を

何が原因で月2回生理が来ているのか、自分で正確に知るのは困難ですし、原因によっては治療が必要な場合があるので、生理周期の異常が続く場合も一度、婦人科を受診してください。

とくに「いずれ妊娠したい」と考えている人や、「疲れやすい」「立ちくらみがする」といった貧血が疑われる症状もある人は、早めに、婦人科で診てもらうことをお勧めします。

婦人科で調べること

受診している女性のイメージ
Lazy dummy

婦人科では、最初に基礎体温の記録を確認し、グラフの形から異常の原因を考えます。

あわせて、「女性ホルモンの値を調べる血液検査」や、「子宮や卵巣に異常がないかを調べる超音波検査」などを実施することもあります。

これらの検査で無排卵周期症や黄体機能不全の可能性があったら、妊娠を望む女性に対しては「排卵やホルモン分泌などを正常に戻す治療」を、年齢が若い女性や妊娠を望まない女性には、「生理周期を整える治療や貧血などの症状を抑える対症療法」を行っていきます。

また、不正出血を起こす可能性がある体の異常のうち、治療が必要なものが見つかったら、それへの対処が行われます。

まとめ

晴れ晴れとした女性のイメージ
Lazy dummy

10代で生理不順だった人も、年齢を重ねるとともに通常、生理周期は安定してくるものです。ですから、思春期をだいぶ過ぎてから、月2回の生理が続いているのなら、少し注意が必要です。体が発するSOSサインなのかもしれません。原因がわかれば、薬などで生理周期を安定化させることも可能です。まずは無理なダイエットをしたり、大きなストレスがかかったりなどしていないかライフスタイルの見直しに努め、それでも症状が改善しないようならば、放っておかずに婦人科を受診しましょう。

(文:山内リカ/監修:宋美玄先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]「病気がみえる Vol.9 婦人か・乳腺外科」p.33
[*2]みらいウィメンズクリニック:不妊症外来

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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