【医師監修】いつまで抜け続けるの?産後の抜け毛がひどいときに必要な対策とは

【医師監修】いつまで抜け続けるの?産後の抜け毛がひどいときに必要な対策とは

産後に髪の毛がたくさん抜けるようになって、びっくりする人もいるかもしれません。産後の抜け毛は一時的に起こる自然な現象ですが、では、いつごろ普通の量に落ち着くのでしょうか? 抜け毛が増える原因やおすすめの対策法とともに説明します。


この記事の監修ドクター
日本橋いろどり皮ふ科クリニック院長
石川県金沢市出身2003年秋田大学医学部卒。同皮膚科・形成外科にて広範囲にわたる皮膚科学の診療や研究に従事、2015年助教。2017年藤田医科大学総合アレルギー科講師。2018年〜都内クリニックにて院長を務めた他、複数の皮膚科クリニックにて診療に従事。2021年2月日本橋いろどり皮ふ科クリニックを開院。皮膚科学会認定専門医・医学博士。
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産後に抜け毛が増えたけど異常なの?

出産した後、ふと気づくと毛が抜けるペースが早いような気がして、このまま抜け続けたら毛がなくなってしまう!? と戸惑うママもいるかもしれません。実は産後の抜け毛はよくあること。まずは産後に抜け毛が増える時期や原因について知っておきましょう。

産後2~3ヶ月頃から抜け毛が目立ち始める

妊娠前の通常の抜け毛は、1日あたり平均50本と言われています。ところが、産後2~3ヶ月の時期は1日の抜け毛の量が倍以上になることもあります。

ママによっては、ヘアスタイルが思い通りにならなくなってショックを受けるかもしれません。でもこれは一時的な抜け毛の増加であり、産後に生理的に起こる現象なので、心配しなくても大丈夫です。

ではなぜ、こうした抜け毛の増加が起こるのでしょうか?

産後に抜け毛がひどくなる原因

■髪の毛と女性ホルモンの関係
女性ホルモンと髪の抜け毛には関係があります。

髪の毛は、「成長期(毛が成長する)」→「退行期(毛が成長しなくなる)」→「休止期(毛が抜ける)」というヘアサイクルによって、成長と脱毛を繰り返しています。エストロゲンなどの女性ホルモンはこのヘアサイクルに関与しており、成長期から退行期、休止期への移行を抑制する働きがあるのです。

妊娠していない状態では、女性ホルモンは約1ヶ月の性周期と連動して増えたり減ったりしているので、ヘアサイクルへの影響もそれほど著しいものではありません。しかし、妊娠中は持続的に分泌量が増えているので、髪への影響が大きくなります。

■女性ホルモンの変化が産後の抜け毛の原因に
女性ホルモンの分泌量が持続的に増えていることで、ヘアサイクルが退行期・休止期へ移行しにくくなり、髪の毛が抜けることなく髪が成長し続けていきます。つまり、妊娠中は抜け毛が減っているのです。

出産後には、これらのホルモンの分泌量は一気に減少し、その後、徐々にもとの分泌量・周期に戻っていきます。それとともに、妊娠中には休止期に入らないで成長し続けていた髪が休止期に入り、一気に抜けてしまいます。こうして産後の抜け毛が増えることになるのです。

抜け毛の増加はいつまで続くの?

産後、ホルモンの分泌量の変化によって、抜け毛が増加することはおわかりいただけたと思います。では、この抜け毛はいつまで続くのでしょうか?

半年から1年ほどで抜け毛が落ち着く

産後に増加した抜け毛は、産後から半年が経つころには落ち着いて、もとの抜け毛の量に戻っていきます。ただし個人差があるので、人によっては半年かからなかったり、その反対に、完全にもとに戻るまで、1年以上かかることもあります[*1]。

なお、髪全体が抜けるのではなく、円形脱毛症などの抜け毛の場合は、こうした産後の抜け毛とは異なります。円形脱毛症などの抜け毛が起こった場合は、早めに皮膚科に相談するのがおすすめです。

円形脱毛症の原因としてストレスがよく挙げられますが、円形脱毛症は自己免疫疾患の一種とされており、直接な原因はわかっていません。ストレスを過度に減らそうとすることでよりストレスを感じる人もいますので、あまり日常生活で原因を探そうとせず、皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。

抜け毛のピークは産後4ヶ月ごろ

米国皮膚科学会では、産後の抜け毛は通常産後4ヶ月でピークに達するとしています[*2]。まだまだ赤ちゃんのお世話が大変で、自分のヘアセットなどには時間がかけられない時期に抜け毛がひどいと、ちょっと気が滅入ってしまうこともあるかもしれません。個人差はありますが、このころがピークと考え、次に紹介する対策などを試しながらやり過ごしましょう。

産後の抜け毛が気になるときの対策

産後の抜け毛の増加は一時的なものなので、特に何もしなくても時間が経てば妊娠前と同じような状態に戻っていきます。それでも念のため、何か対策をしたいと思ったら次のような方法がおすすめです。

タンパク質やビタミンの豊富な食事

髪の主成分はタンパク質です。また、ビタミンB群は髪や皮膚、爪などの細胞の再生や健康維持に関わっています。そのため、栄養バランスの取れた食事を心がけるとともに、タンパク質やビタミンなどもしっかりと摂ることが、髪のためにもよいと考えられます。

なお、授乳中は妊娠前よりも350kcal多めにエネルギーを摂るように、厚生労働省から推奨されています[*3]。産後は体に負担のかかる食事制限を伴うようなダイエットはせず、しっかりと栄養を摂るように心がけましょう。

厚生労働省・農林水産省が作成した「妊産婦のための食事バランスガイド」があるので、こちらも参考にしながら食事を見直してみてくださいね。
妊産婦のための食事バランスガイド

抜け毛を苦にしてストレスが増えないように

産後はただでさえ身体がホルモンの変化による大きな影響を受けているうえ、育児の疲れや睡眠不足により心身にストレスがかかりがちです。抜け毛が増えると強い不安やストレスを感じるかもしれませんが、そのように考えることでよりストレスが強くなることもあります。

抜け毛は産後の自然な現象ですのであまり思い詰めないようにしましょう。育児も完璧にこなそうとせず、可能な限り睡眠をとってゆったりと過ごすよう心がけてください。

シャンプーや髪型を見直す

米国皮膚科学会では、産後の抜け毛の増加に対して、次のようにシャンプーやコンディショナーの見直しもすすめています[*2]。製品の違いや人種による髪質の違いはありますが、参考にご紹介します。

■ボリュームを出すシャンプーを使う
ボリュームを出すシャンプーには、髪を覆うタンパク質などの成分を含んでいるものがたくさんあります。こうしたシャンプーを使うと、抜け毛で減った髪がより豊かに見えるようになります。

■細い髪用のコンディショナーを使う
細い髪用のコンディショナーは髪のボリュームを抑えず、髪を軽くふんわりさせる効果が期待できます。

■コンディショナーは主に髪の毛の先に使う
頭皮や髪全体にコンディショナーを使うと、髪がしっとりとしてボリュームが出にくくなります。毛先を中心に使いましょう。

■ダメージヘア用のコンディショナーは避ける
ダメージ補修効果のあるものは髪がしっとりさせる傾向が高く、髪のボリュームが出にくくなります。

■新しいヘアスタイルに変えてみる
髪を豊かに見せるヘアスタイルに変えるのも1つの手です。

なお、シャンプーは産後すぐの時期から使えます。抜け毛で減った髪が目立たないようなヘアケア用品を選んで、髪の抜け毛が落ち着くまでの一時期を乗り切っていきたいですね。

まとめ

産後しばらく経つと、髪の毛がたくさん抜けるようになります。これは髪を成長させる作用を持つ女性ホルモンが妊娠中に増加し、出産とともに一気に減少するためです。

抜け毛のピークは一般に産後4ヶ月ごろですが、女性ホルモンが妊娠前の状態に戻る産後1年ごろには、妊娠前の抜け毛の量に戻っていきます。時間が経てば落ち着いていきますので、焦らず様子を見ていきましょう。

抜け毛が多くて気になる場合は、タンパク質とビタミンの豊富な食事を摂り、ゆったりと過ごすようにしてください。シャンプーやコンディショナーを見直したり、髪型を変えるのもおすすめです。特別、育毛剤や髪によい高級な製品を使う必要はないので、安心してください。

(文:大崎典子/監修:横井彩 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]母子衛生研究会:赤ちゃん&子育てインフォ「産後のからだ」
[*2]American Academy of Dermatology Association(米国皮膚科学会):Hair loss in new moms
[*3]厚生労働省:妊産婦のための食事バランスガイド

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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