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2021年09月09日 16:25 更新

【医師監修】おりものが大量に出る原因は?おりものの異常が出る5つの病気

おりものについては気軽に相談できる話題でもないため、人知れず悩んでいる人もいるでしょう。いつもより量が多いのは、病気のサインなのでしょうか。おりものの量が多い時に考えられる原因を知り、適切に対処できるようにしていきましょう。

正常なおりものの量や状態は?

おりものシートを出す女性

子宮や腟からの分泌物のことをおりものと言います。正常なおりものとはどのような状態なのでしょうか。月経周期によって量や状態が変わることも、知っておきたい情報です。まずはここから説明しましょう。

健康なおりものは乳白色

健康な女性のおりものは、乳白色で、ヨーグルトのような少し酸っぱい匂いがするのが一般的。酸っぱい匂いがするのは、腟の中にいる乳酸桿菌が乳酸を分泌しているためです。そのおかげで、腟内は酸性に保たれ、雑菌が増えないようになっています。

ただし、おりものの色や量には個人差があります。大切なことは、自分のいつもの状態を知っておき、異変が起きたら早めに気づくことです。

月経周期でおりものの量は変わる

おりものの量は、月経周期(生理周期)によっても変化します。自分のおりもののパターンを把握しておけば、おりものの異常にいち早く気づくことができ、排卵日なども予想しやすくなります。

おりものの変化
生理(月経)後:直後の量は少なめで、サラッとした感じ。
排卵前(低温期):最も量が増える時期。半透明の粘り気のあるおりものが2〜3日続きます。匂いは強くありません。
排卵後(高温期):だんだん量が減っていく。
生理(月経)前:生理直前にはとても少なくなります。下着につくと黄色っぽく見えるようなおりものが出ます。比較的においも強くなります。

なお、おりものの量は年齢によっても変化します。女性ホルモンの分泌が安定している20〜30代の性成熟期には量が多く、40代以降になると減っていきます。その後、閉経するとおりものの量はとても少なくなります。それに伴い、腟の浄化作用が低下して、腟炎などを起こしやすくなるため注意が必要です。

おりものの量が多い時に注意したいことと5つの感染症

おりものの量が気になる女性のイメージ
(イラスト:杉井亜希)

生理的な現象で出るものなので、多少のおりものがあるのは自然なことです。
ただし、おりものの量が急に増えた、酒粕のようなおりものが大量に出るなど色や匂いに変化が現れたりした時には、何か病気(感染症など)が隠れている場合があります。いつもとは違うなと感じたら、医療機関を受診するようにしましょう

細菌性腟症|灰色のサラサラしたおりもの

原因
腟感染症のうち、最もよくみられるのがこの「細菌性腟症」。これを起こす特定の菌というものはなく、原因は明らかになっていませんが、腟の自浄作用の要である乳酸桿菌が何らかの原因で減少し、複数の細菌が増加することで発症します。
性的パートナーが多いこと、子宮内避妊具(IUD)の使用などが、リスク要因と言われています。

症状と注意点
特徴的な症状は、灰色のサラサラとしたおりもので、ときに悪臭がすることも。ただ、約半数以上は無症状と言われ[*1]、感染に気づかない人もいます。
細菌性腟症は、子宮内膜炎や卵管炎、骨盤腹膜炎といった病気の原因になることがあり、妊婦さんでは早産などのリスクが高まることがあるので、注意が必要です。

腟トリコモナス症|泡状の黄〜黄緑のおりもの

原因
トリコモナス原虫によって起こる感染症で、セックスで感染することが多いとされています。まれに下着、タオル、浴槽などで感染することもあります。

症状と注意点
典型的な症状は、悪臭、泡状の黄色のおりもの黄緑色をしたおりもの、外陰部のかゆみ。男性は症状が出ないケースが多いため、パートナーも一緒に治療することが大切です。

性器カンジダ症(外陰腟カンジダ症)|酒粕状のおりもの

原因
カンジダというカビの一種によって外陰部や腟に起こる炎症で、多くの女性が一生に一度は経験する言われるくらい頻度の高い病気です。
カンジダは、もともと腟内に存在するのですが、病気などで抵抗力が落ちたときや抗生物質を服用した後や妊娠中などには、異常に増えすぎて不快な症状が出るようになるとされています。

症状と注意点
外陰部の激しいかゆみ・腫れ、カッテージチーズや酒粕状のおりものがあったら、この病気の疑いがあります。パートナーにも検査や治療をしてもらうことが大切です。

関連記事 ▶︎妊娠中にカンジダ症と言われたら|赤ちゃんへの影響は?

細菌性腟炎|膿のようなおりもの

原因
細菌性腟「症」と名前が紛らわしいですが、細菌性腟「炎」では、大腸菌やブドウ球菌、連鎖球菌などの細菌が増えて、腟の自浄作用が低下して起こる炎症です。
疲労や病気で抵抗力が落ちることやホルモンバランスの乱れなども、自浄作用を弱める原因となります。

症状と注意点
膿のようなおりものが増える、腟の腫れや灼熱感(熱くてひりひりするような感覚)などが特徴です。おりものにかぶれ、外陰炎を起こすこともあります。

性器クラミジア感染症|大量の水っぽいおりもの

原因
性交によりクラミジアという細菌に感染して起こります。近年、若者、とくに若い女性に感染者が多く、性感染症のなかで最も多く見られると言われています。

症状と注意点
水っぽいおりものが流れ出るくらい大量に出るようになります。女性では症状が軽く感染しているのに気づかないことも多いのですが、放置すると不妊症や子宮外妊娠(異所性妊娠)の原因になるとされています。

このほか、子宮頸部悪性腺腫、子宮頸がん、子宮体がんでも、おりものが増えることがあります。おりものに血が混じる、変な匂いがするといった変化も見逃さないようにして、異常があったら医療機関を受診するようにしましょう。

また、病気ではありませんが、妊娠すると、妊娠周期が進むごとにおりものが増えていきます。これも予備知識として知っておくと良いですね。

まとめ

おりもの量が多くて股間を気になりトイレットペーパーを持つ女性
Lazy dummy

おりものは、個人差が大きく、排卵期など月経周期によっても変化するものです。まずは自分のおりものの様子やパターンを知っておくことが大切です。いつもと明らかに違う様子のおりものが大量に出たり、不正出血や腹痛、異常な匂いなどを伴うような場合には、自己判断せずに、婦人科を受診し、適切な診断をしてもらうようにしましょう。

(文:及川夕子/監修:中林稔先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本性感染症学会 帯下―症状とその鑑別診断6


※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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