【医師監修】新生児の嘔吐 | 4つの原因と対処法

【医師監修】新生児の嘔吐 | 4つの原因と対処法

新生児が少し吐いてしまうのは珍しいことではありませんが、どんなときに受診すべきかは気になりますね。新生児の嘔吐の原因や対処法を知って、適切な対処ができるようになりましょう。


新生児がよく吐く理由

新生児は、生理的な理由で吐くことがあります。

胃がとても小さいから

新生児の胃の容量はとても小さいものです。生まれた時は5~7mlくらいと「さくらんぼ1個分」ほどの大きさしかありません。その後少しずつ大きくなりますが、それでも生後1週間で45~60ml、1ヶ月で80~150mlくらいです[*1]。

容量が少ししかないので、授乳後はいつも胃がいっぱい。つまり、吐きやすい状態になります。

逆流しやすいから

大人の胃は体の中でおおよそ水平に位置していますが、乳児の胃は垂直方向に縦長になっています。

そして、本来は胃の入り口を閉めているはずの食道と胃の境の筋肉が緩いので、母乳やミルクを飲み過ぎただけで一気に嘔吐してしまいます。

このように新生児の胃はとても小さいうえに逆流しやすいため、授乳後にすぐ寝かせるなど、姿勢を変えただけでも吐いてしまうことがあります。生理的な理由で起こる嘔吐は成長に伴って治まっていきます。

自然に治まる嘔吐

次のような嘔吐も、普通自然に治まると言われるものです。

初期嘔吐

生まれたばかりのごく初期に、原因はよくわかっていませんがおそらく出生時のストレスなどが影響して嘔吐することがあります。この場合、自然に治まり治療の必要はないことが多いです。
ただし、他の嘔吐する病気ではないことを確認する必要があります。

溢乳(いつ乳)

母乳やミルクを飲んだあと、口からよだれのようにダラダラと流れ出ることを「溢乳」といいます。これも月齢が進むと自然に落ち着いていくので、心配ありません。

対処が必要な嘔吐

新生児の嘔吐で対処が必要となるのは、次のような場合です。

げっぷの不足

赤ちゃんは哺乳の際に空気も一緒に飲み込んでいます。その量が多いと、胃が空気で膨らみ吐きやすくなります。赤ちゃんがよく吐くようであれば、「げっぷ」ができているか見直しましょう。

もしできていなければ、時間をかけてきちんと「げっぷ」をさせるようにします。ほ乳瓶の場合は、飲みきったあとも吸わせ続けると、空気をたくさん飲み込んでしまうのでやめましょう。

時間をかけて丁寧にやってみても「げっぷ」が出ないときは、空気をあまり飲み込んでいないことが考えられます。そんなときや、「げっぷ」をさせても吐いてしまうときは次の原因を考えてください。

母乳やミルクの飲みすぎ

母乳は赤ちゃんが飲みたいだけあげていいといわれますが、中には食欲が旺盛すぎる赤ちゃんもいて、飲み過ぎて吐いてしまう場合があります。

飲みすぎに心当たりがあるときは、まずはどれくらい母乳を飲んでいるか「直母量」(赤ちゃんが母乳を飲み取っている量。授乳前後の赤ちゃんの体重の差分)を測ってみましょう。また、赤ちゃんの日々の体重増加具合、一日の哺乳回数も確認し、助産院や保健師さんに相談してみると良いでしょう。

ミルクの場合、生後8日目以降の目安量は、以下のとおりです。

・生後8日~生後半月まで…1回80mlを1日に7~8回(1日の総量はおよそ560~640ml)

・生後半月~生後1ヶ月…1回100~120mlを1日に6~7回(1日の総量はおよそ600~840ml)

上記は、各育児用ミルクの標準使用量(調乳量)をまとめたものです。ミルクの飲みすぎかもと思ったら、製品に記載された量を大幅に超えていないか確認してみましょう。多すぎるようなら、1回の授乳量を1~2割ほど減らしてみましょう。

なお、授乳が終わったらしばらく「縦抱き」にすると吐きにくくなります。新生児はまだ首が座っていないので、縦抱きの際は首をしっかり支えてください。泣いてもっと欲しがっても、しっかり飲めていれば消化され始めると満足感が出てすぐに泣きやむでしょう。

胃食道逆流

胃と食道がつながる部分には、胃からの逆流を防ぐ機能があります。赤ちゃんはこの機能がまだ弱く、逆流防止の機能が働かない赤ちゃんもいて授乳後に嘔吐をしやすくなります。これが「胃食道逆流」です。

胃食道逆流の対処も、基本的には飲みすぎの場合と同じです。1回の授乳量を1~2割ほど減らし、授乳のあとはしばらく縦抱きにします。できれば30分ほど縦抱きしましょう。

飲みすぎの場合と異なるのは、減らした分すぐにお腹が空いてしまうので、授乳回数を1~2回増やし、1日に飲む量を変えないようにすることです。

胃食道逆流は健康な赤ちゃんでも生理的に起こることで、治療をしなくても成長とともに治るものです。ですが、「何度も嘔吐を繰り返す、吐血、喘鳴、哺乳不良、体重増加不良」といった症状や「食道炎、反復性肺炎、貧血など」の合併症が出た場合は「胃食道逆流症」という病気として扱われます。

嘔吐がひどいときや嘔吐以外の症状がでたら受診して、医師に相談しましょう。

病気による嘔吐

病気による嘔吐の中で特徴的なものには、噴水のように勢いのある嘔吐を繰り返す「幽門狭窄」、吐いたものが黄色や緑や濃い色をしている「先天性腸管閉鎖」があります。

このほかにも、消化管の器質的・機能的異常、中枢神経系の異常、感染症、内分泌・代謝異常症、ミルクアレルギーなど、嘔吐を起こす病気はさまざまあります。

いずれにしても、病気が原因であれば専門医を受診して治療を受ける必要があります。新生児は問題のない嘔吐も多いですが、病気が原因でないかどうか、下記も参考によく様子を見てあげることが大切です。

新生児の嘔吐で受診が必要なケースは?

病気による嘔吐の中には、危険な嘔吐や緊急性が高い嘔吐も。そのような嘔吐では、赤ちゃんにいつもとちがう様子が見られることが多いものです。

生まれたばかりの新生児では、様子の変化に気づくのは難しいかもしれませんが、日頃から赤ちゃんの様子をよく見て、異変にできるだけ早く気づけるよう心がけましょう。

すぐに受診が必要な場合

次のうちひとつでも当てはまれば、病気による嘔吐の可能性が高いです。新生児はまだ体力もないので速やかに受診をしましょう。

・噴水のように何度も嘔吐し、体重が増えない

・嘔吐物の色が「黄色や緑色(胆汁性嘔吐)」、または「血が混じっている」

・発熱や下痢、血便など他の症状もある

・お腹が張っている

・ぐったりして元気がない、顔色が悪い、母乳やミルクの飲みが悪い

・授乳後の呼吸がおかしい

・これまでなかったのに急に嘔吐するようになった


嘔吐に伴って発熱しているときや元気がないときは、重症の感染症が疑われます。また、お腹が張っているのは腹水や腫瘤などが考えられ、早急に原因を調べることが必要です[*2]。

発熱やぐったりしているとき、お腹が張っている様子が見られたときは、緊急性が高い嘔吐と考えられるので早急に受診してください。

受診の際に医師に伝えること

受診の際は、次のことを医師に伝えるとスムーズに診察が進みます。できるだけ受診の前にまとめておきましょう。

・いつから・何回吐いているか

・吐いたものの性状、量

・嘔吐以外の症状があるか

・妊娠、出産時に異常があればその内容

様子を見て大丈夫な場合

赤ちゃんが元気で、頻度や量が少なく、吐いたものがミルクや母乳の残りかすのような物なら、生理的嘔吐の可能性が高いので様子を見て大丈夫でしょう。

ただし、吐くことが続いて気になるときはかかりつけの医師に相談しましょう。それ以外の場合は病気による嘔吐の可能性があるため受診をしてください。

まとめ

新生児は生理的な理由で吐きやすいもの。何度か吐くことがあっても、吐いているものが母乳やミルクで、元気があり、日々体重が増えていればそんなに心配しなくて大丈夫。脱水や吐いたものの誤嚥に注意して、げっぷをしっかりさせる、授乳後しばらく縦抱きにする、飲みすぎではないかと思うときは1回の授乳の量を少しだけ減らすなどして様子を見ましょう。ただ、中には病気が原因の嘔吐もあるので、ここで挙げたポイントに当てはまる場合は、速やかに小児科を受診してください。

この記事の監修ドクター
梁 尚弘先生
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

(文:佐藤華奈子/監修:梁 尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]メデラ「新生児の胃の大きさの目安」
[*2]千葉県小児科医会 赤ちゃんの嘔吐

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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