【医師監修】妊婦の「のど」の痛みはこう治す! のど飴・うがい薬のOK・NG
のどが痛いという症状は、比較的よくあることで、普段なら迷わず手軽なケア用品に手が伸びるところですが、妊娠している女性の場合、いつものケアでいいのか、すこし心配になるかもしれません。妊娠中の「のど痛ケア」についてまとめます。
のどが痛くなるのはなぜ?
一般的に、のどの痛みを感じるのは「感染症」「乾燥」「のどの使いすぎ」「のどへの刺激」が原因であることが多く、“いがいが”などと称される違和感から始まり、のどの粘膜の炎症(咽頭炎)に進むと神経が刺激され、痛みを感じます。
この「のど痛対策」は妊婦にOK?NG?
のどが痛いとき、のど飴やうがい薬などの利用を考えますが、妊娠している女性が気をつけたい利用上の注意をまとめます。
なお、のど痛の原因が感染症である場合、基本的にはその疾患ごとに治療が異なりますので、まずは医師に相談しましょう。
のど飴
違和感や痛みがあるとき、まず手に取りやすいのが「のど飴」ではないでしょうか。いくつかの種類があるので、ママは種類によって使い分けをしましょう。
医薬品ののど飴
有効成分による効能・効果が認められているのが「医薬品ののど飴」です。
医薬品の中でさらに「第1類医薬品」「指定第2類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」に分類されていて、のど飴は「指定第2類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の製品があり、いずれも薬局・ドラッグストアで販売されています。
利用したい時は妊娠中も利用できるか医師や薬剤師に相談し、用法用量を守って使いましょう。
指定医薬部外品ののど飴
医薬品に準じて有効成分の効果が認められているのが「指定医薬部外品ののど飴」です。
医薬品に比べて効き目が穏やかで、副作用が少ないので、一般のコンビニやスーパーでも販売されています。
念のため医師や薬剤師に相談の上、用法用量を守って利用してください。
食品ののど飴
効能・効果を認められている有効成分を含んではいませんが、飴をなめると唾液の分泌が増えるので、一時的にのどのスッキリ感やうるおいが感じられることがあります。お菓子のキャンディー(飴)の一種ですから、コンビニやスーパーでも販売されています。
用法用量は示されていないのが一般的ですが、次項を参考にしてください。
種類にかかわらず気をつけること
糖分のとりすぎにならないように注意が必要です。糖分が多い飴や飲料はのど粘液をべたつかせ、かえってのどの違和感につながることもあります[*1]。
虫歯の原因になることもあるので、飴をなめた後は十分に口腔ケアをしましょう。
そしてノンシュガーの飴は、主に体内に吸収されにくい「還元水飴」を原材料として使用しています。還元水飴は、通常の砂糖や水飴に比べ体内に吸収されにくいので「カロリーが低い」ものの、吸収されずにそのまま排出されることで下痢気味になる場合もあります。食べすぎには注意をしましょう。
なお、製品の原材料にハーブが利用されていることもありますが、医薬基盤・健康・栄養研究所は「『健康食品』の安全性・有効性情報」サイトで一部のハーブに子宮の収縮を促す作用があることなどを紹介し、妊娠中のハーブ製品に対する注意喚起をしています。
妊娠中のハーブ製品の自己判断による摂取に注意
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail3009.html
うがい薬やのどスプレー
うがい薬やのどスプレーには「ポビドンヨード」(ヨウ素)という成分を含むものがあり、人によっては続けて使用するとヨウ素過剰症を引き起こすことがあります。
妊娠している女性の場合、ヨウ素過剰症になると赤ちゃんの甲状腺機能の低下につながることもあるため、うがい薬を使いたい場合は「アズレン」が主成分のものがおすすめです[*2]。
「うがいは水やぬるま湯でも十分に効果があります。水を口にふくみ、『ブクブクうがい』で口の中の汚れを吐き出し、続いて水を口にふくんで上を向き、のどの奥で『ガラガラうがい』をして吐き出してください」
確認! 妊娠中の薬利用の基本
妊娠中には、妊娠時期などにより赤ちゃんへの影響などを考慮し、服用を避けたほうがよい薬があるので、必ず利用前に主治医か薬剤師に相談するか、薬は産科で処方してもらいましょう!
のど痛の予防法は?
主にのどのうるおいを保つケアがのど痛予防になります。次のようなことから手軽にできることを試してみてください。
加湿(のどスチームの利用も)
空気が乾燥している冬場やエアコン利用時の室内では特に気をつけましょう。のど痛になりやすいなら、ポータブルののどスチームを常備するのもいいかもしれません。手軽な値段で買える製品もあるので、チェックしてみましょう。
マスク
のど痛の予防として最も手軽なことはマスクをし、自分の呼気に含まれる湿度でのどのうるおいを保つことです。
口呼吸をやめて鼻呼吸
のどに負担の少ない鼻呼吸を習慣に。息を吸う時は口からではなく、口を閉じて鼻から吸いましょう。吐く時は口でも、鼻でもかまいません。
口腔ケアで清潔を保ち、唾液でのどをうるおす
食後の口腔ケアでお口の中の清潔を保って、きれいな唾液が十分に出るようにしましょう。口腔ケアの後、唾液腺をマッサージするのもOK!
「頰と耳の境目(耳下腺)、顎の下(顎下腺・舌下腺)の3ヶ所に唾液腺があります。軽く押すとじゅわっと唾液が出るので、それを感じながら軽くマッサージをしてください」
換気・掃除(ハウスダストを除去)
長く居る部屋の空気をきれいにすることも、のどケアの1つです。換気とハウスダスト(※)のお掃除を心がけましょう。
※ハウスダストとは衣類などの繊維クズ、ペットの毛、花粉、タバコの煙などさまざまなものの総称です。
まとめ
妊娠中の「のど痛ケア」で特に注意が必要なことは、薬(医薬品ののど飴も)は必ず主治医か薬剤師に相談して利用するということです。また、「ポビドンヨード」(ヨウ素)を含むのどケア用品は、続けての使用を控えましょう。そして症状が続くときは念のため、妊娠している旨を告げて内科を受診し、原因を確かめましょう。加湿を中心としたセルフケアも適宜行って、つらい症状をやわらげ、どうぞ健やかにお過ごしください。
(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)
※画像はイメージです
[*1] 渡邊雄介「フケ声がいやなら声筋を鍛えなさい」晶文社,p113,p128
[*2] 全日本民医連 くすりの話 妊娠中の外用薬
日本OTC医薬品協会 おくすりQ&A おくすりの種類で選ぶ「のどスプレー」
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます