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2024年03月10日 06:16 更新

「子どもが喜ぶ食事」って? 給食レシピが大好評! 現役保育園長 kids_coockingingさんインタビュー

「苦手な食べ物が多い」「好きなものばかり食べる」「食べたり食べなかったり気まぐれすぎる」などなど、普段から子どもの食事に関しての悩みは尽きないですね。栄養バランスが気になることはもちろん、できれば子どもに喜んで食べてほしいもの。もうすぐ新学期、入園・進級を控えた子どもに、親としてはどうしていけばいいのでしょうか。

Instagramで保育園の給食やおやつのレシピを公開し「苦手な食材を食べてくれた!」「完食できた!」と大好評の保育園長、kids_coockingingさん。最近では『子どもが喜ぶ! おうちで「給食」ベストレシピ』(宝島社)を刊行し、話題となっています。
今回はkids_cookingingさんに、子どもの食事の考え方やおすすめ園の給食レシピを教えていただきました。

Lazy dummy

お話をしてくださった方
kids_cookinging さん
(小規模保育園を経営する38歳の園長)

子どもが苦手な食材、どうする?

※写真はイメージです

――kids_coockingingさんが紹介されているレシピはどれも大人が見ても美味しそうで、材料も身近なものだけで作ってみよう!という気持ちになれます。

kids_coockingingさん(以下、kids_coocking) たくさんの方に作っていただいて、「食べられなかった食材を食べられるようになった」とか「レパートリーが増えた」という声をいただいています。実際に保育園で提供している給食のレシピなので、味付け・分量の面でも1~2歳のお子さんに安心して作って食べさせていただけます。

――食材も味付けも安心して参考にできるのはありがたいです!それで苦手な食材も食べられるようになったら言うことなしですね。

kids_coocking 苦手な食材に関しては、チャレンジしていただくことも大切ですが、それにこだわる必要はないと思っています。保育園に通うお子さんのお父さん・お母さんたちからよく聞くのが「〇〇が食べられない」という苦手な食材がある、という悩みです。逆に「〇〇しか食べない」ということも。

※写真はイメージです

――身近でもよく聞くお悩みです。苦手な食材が多い、特定のものしか食べない、という偏食にはどう対応すればいいのでしょうか。

kids_coocking 野菜、例えばニンジンを食べない、という悩みは本当に多いです。わたしは「そんなに気にすることはない」とお伝えしています。言い聞かせたら「はい」と言って食べる子はいないと思いますし、無理に食べさせるのは絶対にやめていただきたいです。食べないから怒るのは逆効果で、食事の時間まで嫌になってしまいます。昔の給食で食べられるまで残されて、大人になってもその食材が嫌いなまま、というケースがたくさんあります。4歳以下の小さな子どもに食事で大切なのは好奇心や興味。ほかの食材と混ぜてアレンジしたり、細かく刻んだりといった挑戦はしてもらいたいですが、それで食べなくても親は気にせず、楽しい食卓を心がけてほしいです。残ってしまってもったいなければ、親が食べればいいんです。

――せっかく工夫して作っても食べてくれないと親はイライラしがちですが、子どもが食べなければ自分で食べてしまえばいいと思うと、抑えられそうです。

kids_coocking わたしが紹介したレシピを作ってもらっても、食べないということもあります。そんなときは、お父さん、お母さんが食べてくれればいいと思っています。子ども向けの薄味でヘルシーに食べられるので、そこはプラスに考えてほしいですね。離乳食ではないので、味も意外についています。子どもと同じ味付けで先生方も「おいしい」と言って食べていますよ。子どもが食べなくても、食卓に出して見せて、親が「おいしい」と言って食べていれば、そのうち自分から挑戦することもある。年齢によって変わることもあるから、気楽に考えてほしいです。

※写真はイメージです

kids_coocking それから、「食べられない」食材を気にするよりも、「食べられる」食材に目を向けてほしいです。「〇〇を食べない」という場合、それ以外の食材は食べられているということです。そんな子も成長とともに食べられるものは増えていきますし、今食べられるもので栄養が摂れれば問題ありません。

――食べられない食材を気にするより、食べられるものに注目して楽しい食卓を心掛けることが大切なのですね。保育園では、先生方は食べない子に対してどんな対処をされていますか?

kids_coocking 食べたり食べなかったりとムラがある子には、2歳以上であれば話せるので本人に直接理由を聞きます。今日食べなかった理由を聞いて、「明日は食べられるといいね」と伝えています。どうしても毎日食べないようなときは、食べさせる先生を変えたり、調理師さんと相談したりして、職員みんなで連携して対応していますね。それに先生方はひとりの子が1年間ずっと食べない状況が続くことはないとわかっています。大好きだったものが急に食べられなくなることもあるし、先生たちは慣れているのでそこまで気にしていないですよ。

――子どもは気分や成長で、食欲や食べられるものにもムラがあるものですね。

kids_coocking 好き嫌いが出てきたとしても、成長と思った方がいいかと。自我・個性が出てきたということで。好き嫌いひとつとってもみんなちがうと思うので、そういうところも楽しむのがいいですね。嫌いなものがあっても食べられるものもあるので、そこから好きなものを広げてもらえばいいと思います。

――好き嫌いも成長や個性と捉えて、親はマイナスなイメージを持たないのがいいのですね。

簡単にできる・子どもが喜ぶ・栄養満点のおすすめレシピ

――それでは、書籍の中から特におすすめのレシピを教えてください。

かぼちゃとごまの香りが合う! かぼちゃのごまがらめ

かぼちゃのごまがらめ
『子どもが喜ぶ! おうちで「給食」ベストレシピ』(宝島社)より

kids_coocking 「かぼちゃのごまがらめ」は、園でも特に人気があったレシピです。かぼちゃもやわらかくなるし、味もしっかりめで家族みんなでおいしく食べられるところもおすすめです。

Lazy dummy

かぼちゃのごまがらめ
詳しいレシピはこちら

食べやすくて栄養バランスバッチリ! 栄養満点丼

『子どもが喜ぶ! おうちで「給食」ベストレシピ』(宝島社)より

kids_coocking 「栄養満点丼」は、野菜をみじん切りにして丼にしたものです。これだけで栄養がしっかりとれます。ごはんと混ぜて食べてもいいし、おにぎりにしてもいいですよ。

Lazy dummy

栄養満点丼
詳しいレシピはこちら

びっくりするほど簡単に作れる! レンジで簡単ミートボール

kids_coocking 定番のミートボールですが、「レンジで簡単ミートボール」はレンジで作れるのでお父さん・お母さんからも好評です。豆腐が入っているのでふわふわの食感でお子さんも食べやすくなっています。

Lazy dummy

レンジで簡単ミートボール
詳しいレシピはこちら

――ありがとうございます。どれもすぐ作ってみたくなるレシピです。

kids_coocking 紹介しているレシピは、どれも特別ではなく、シンプルに作れるものです。小さい子どもは煮てつぶすだけの離乳食からの延長で、シンプルなメニューを好みます。一度濃い味付けのものを食べてしまうと、そちらが良くなってしまう子もいますが……。家庭で作るものは、野菜の煮物や魚の煮つけなど、切って煮るだけのシンプルなもので大丈夫。

同じメニューの繰り返しも良いと思います。1日3食食べるなかで、朝はみんなパンやヨーグルトくらいです。昼は給食で、夜は肉か魚で2日に1度同じものになってもかまいません。副菜を変えるなどして、工夫していただければ。好きなメニューがあるのはいいことです。子どもは1回目よりも2回目、2回目より3回目の方が味に慣れてきてよく食べるというデータもあるので、園では15日刻みで反復式給食にしています。日々好きなものを作っていって、残ったものが最終的に家庭の味になるのだと思います。
もちろん、極端なことやまったく挑戦しないのも良くないので、余裕があるときに食卓に新メニューも並べてみてください。たとえ食べなくても、視覚で感じてもらうのは大事なことです。

――作るものは簡単なもので、同じものの繰り返しになってもいいのですね。肩の荷が降りました!

kids_coocking ほかのレシピ本で作るときも同じですが、嫌いな食材は分量を減らしてもらってもかまいません。分量の5分の1前後にして、はじめからハードルを上げ過ぎないことも大切です。たとえば、栄養満点丼はピーマン1個としていますが、苦手なら4分の1個でも。レシピがおいしそうでみんながよく食べるといっても、苦手な食材があれば食べないので。レシピ通りでなくても始めは少なくして、ステップを踏んでいくのがいいと思います。

さまざまな調理法・食材を取り入れて入園準備を

※写真はイメージです

――kids_coockingingさん自身は、食に対してどんなことにこだわっていますか?
 
kids_coocking やはり「楽しんで食べる」ことです。園の子どもたちには、食事の時間を遊びの時間より楽しみにしてもらいたいと考えています。食育もしますし、食べ物のおもちゃや本を見せて、食べるふりをして遊んだりします。「おうちで給食ベストレシピ」も置いてあって、子どもたちは「これ食べた!」と指さしをしています。本はもうボロボロです笑。

――本で見て、実際に食べてみて、また本を見て、と何度も楽しめるのはいいですね。保育園ではよく食べるけれど家ではあまり食べない、というお悩みもよく聞きますが、どうしてなのでしょうか?

kids_coocking はっきりした理由はわかっていませんが、先生に褒められたいから食べるとか、周りでみんなが食べているから食べる、というのが大きいかと。本当に嫌いなものだったら保育園でも食べないはずなので、保育園で食べているなら、そこまで苦手ではないのでしょう。家か保育園、どちらかで食べられていれば、そんなに悩まなくていいと思います。

※写真はイメージです

――家と園との食べムラも、気にしなくていいのですね。ちなみにこれから保育園に入園するお子さんは、給食に備えてどんな準備をすればいいでしょうか?

kids_coocking 保育園の給食では、家で食べたことがないメニューが出てきます。食材にしても調理法にしても、初めて保育園で食べると抵抗がある場合があります。家では調理法も食材も偏りがちなので、煮物ばかりでなく揚げ物も食べてみるなど、調理法、食材ともに入園前にいつもと変えてさまざまなものを試していただけたらと思います。

今は食べなくても大丈夫 楽しんで食べることを目指して

――ありがとうございます。最後に、読者へ一言お願いします。

kids_coocking 今は食べなくても、安心してください。大丈夫です。苦手なものを食べられるようになる一番の近道は、食べられるものを楽しく食べてもらうこと。楽しんで食べることで、食への興味が生まれます。栄養を摂らせてあげたいという想いはあると思いますが、無理に食べさせなくても、大きくなればだいたい食べられるようになります。食事の時間が嫌なものにならないように、楽しい食卓を経験させてあげてください。

――楽しむことが、苦手克服の一番の近道!子どもの「食べない」に悩み過ぎずに、今は親子で楽しい食事の時間を持つことを大切にしたいですね。貴重なお話をありがとうございました!

(解説:kids_coockinging、取材・文:佐藤華奈子)

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