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2023年02月11日 10:11 更新

子どもが知らない人とやり取り!? 親が意外と知らないSNSの利用可能年齢 #親と子のネットリテラシー入門 Vol.16

ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

知ってるようで知らない、SNSの利用可能年齢

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子

子どもにとって、自分専用のスマホは憧れです。動画やゲーム、SNSなど、大人が楽しんでいることは子どもにだって魅力的。特にSNSは、自分のスマホで使いたいもの。自分と友達との世界を思う存分楽しみたいし、LINEは自分の電話番号を持たなければ自分のアカウントを作れませんからね。

でも、SNSにはそれぞれ利用可能年齢が設けられています。保護者の皆さんは聞いたことがありますか? それぞれのプラットフォームが利用規約で定めている利用可能年齢を挙げてみましょう。利用可能年齢とは、自分のアカウントを作ってサービスを利用することを指します。

<SNSにおける利用可能年齢>
LINE……利用推奨年齢12歳以上
Instagram……利用可能年齢13歳以上
TikTok……利用可能年齢13歳以上
YouTube……利用可能年齢13歳以上(それ以下はYouTube Kids利用)

LINEに関しては、「利用推奨年齢」とされており、それ以下のお子さんに関しては保護者の管理の元に利用するように呼び掛けています。

以上のように、SNSを始められるのはほぼ中学生以上です。SNSに年齢制限があることを知らなかったという保護者の方も多いと思います。東京都都民安全推進本部が2020年4月に発表した調査では、年齢制限があることを「知らなかった」と答えた保護者は41.2%と、約半数近くです。私が講演でお会いする人たちも「中学生以上なんて知らなかった」と驚く人が多くいます。

一方で、子どもが自分専用のスマホを持つ年齢は、低年齢化しています。MMD研究所が発表した「2023年1月初めてスマートフォンを持つ子どもと親への意識調査」では、子どもに初めてスマホを持たせた学年は「小学6年生」が最多で14.9%、小中高別では小学生がもっとも多く、51.0%だったそうです。

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子
初めてスマートフォンを所有した子どもの学年(出典:MMD研究所)

また、小学生でもSNSを利用している子どもがいることも明らかとなっています。NTTドコモのモバイル社会研究所が2022年4月に発表した調査を見ると、「LINE」「Twitter」「Instagram」「TikTok」の利用に関して、小学生低学年の34%、小学生高学年の51%が利用していると答えています。アプリ別に見ると、小学生はLINEの利用率が高いことが分かります。また、小学生女子はTikTokの利用率が高く、高学年の女子では39.2%にものぼります。

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子
SNSは女子の利用率が高く、小学生にはTikTokが人気(出典:モバイル社会研究所)

保護者が子どもにスマホを持たせる理由としては、「見守り」が挙げられます。LINEでいつでも連絡が取れるようになれば、親が仕事に出ているときでも安心ですし、習い事の送り迎えにも便利です。LINEがもっとも利用されるのは当然ですし、「利用推奨年齢」が12歳以上なので、それ以下の年齢の子どもにおいては保護者が管理できていれば問題もありません。しかし、そのほかのプラットフォームに関しては「利用可能年齢」が13歳のため、子どもが利用可能年齢を偽って(知らないで)利用していることになります。年齢を偽ることでプラットフォームが提供している安全対策を受けられない可能性も出てきます。

InstagramとTikTokは未成年者保護機能を用意

プラットフォームが年齢制限を設けている理由は、未成年者がトラブルに巻き込まれず、健やかに成長できるようにとの未成年者保護の観点からです。

13歳以上の子どもに関しても、大人と同様に使えるわけではありません。InstagramとTikTokは、DM(ダイレクトメッセージ)に年齢制限を設定しています。TikTokではDMを送受信できるユーザーは16才以上と定めています。Instagramは、DMの利用はできますが、そのアカウントにフォローされていない大人は18才未満のユーザーにDMを送信できません。フォローしている大人でも、若いユーザーに大量にフォローリクエストを出しているような大人の場合は、メッセージ画面に警告を出し、会話を終了できるようにしています。

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子
Instagramで怪しい大人と思われる人とやり取りしている場合は、警告が出る

さらに、InstagramとTikTokはアカウントを新規に作る際に16歳未満は非公開アカウントにするなど、検索から悪い大人に狙われることを防いでいます。また、TikTokは動画をダウンロードされることやデュエット、リミックスなどに関しても年齢制限を設けています。

また、InstagramとTikTokは、ペアレンタルコントロール機能を提供しています。ペアレンタルコントロール機能とは、保護者のアカウントと子どものアカウントを紐づけ、大人のアカウントから子どものアカウントを見守ることができる仕組みです。たとえば、子どもの利用時間が長いとき、時間制限を設定しておき、時間を超えた場合は画面をロックするなどの対処ができます。

13歳以上になり、SNSの使わせ方に迷ったら、以下の保護者向けページを参考にしてください。

Instagram保護者向けガイド(遷移ページ先にダウンロードリンクあり)

TikTok 保護者向けガイド

LINEの注意ポイントは

小学生のLINE利用に関しては、保護者が管理することになります。子どもとよく話し合って、親がいつでも子どものLINEを見られるようにしておくことを約束しましょう。

LINEで注意するポイントは、

(1)LINEのトーク
(2)LINE VOOM
(3)ステータスメッセージ


です。

LINEのトークでは、友だちとのやり取りの様子を見ます。我が子の言葉遣いは大丈夫なのか、LINEグループでいじめを受けていないか、怪しいサイトへのリンクを送受信していないか、などです。知らない「友だち」にも要注意です。LINEで盛んにやり取りをしている人がいたら、相手が誰なのかを確認しておきましょう。

また、ショート動画を視聴できる「LINE VOOM」は、ほかのSNSを使えない年齢の子ども達にとって魅力的な機能です。利用時間が増えているときは、LINE VOOMを見ているのかもしれません。何を見ているのかなどを話し合いましょう。

親と子のネットリテラシー入門,鈴木朋子
ショート動画が見られる「LINE VOOM」は、LINEアプリの画面下部「VOOM」から見ることが可能

最後の「ステータスメッセージ」は、プロフィールに記す「ひと言」です。子どもたちはここに本音を書くことがあります。本人のLINEを開かなくても「友だち」であれば見られますが、子どもの友人のステータスメッセージを見ることで、いじめられているかどうかを把握できるかもしれません。

こうした見守りは、子どものプライバシーを侵害してしまうような気持ちがして、気が進まないかもしれません。その場合は、子どもの様子が不審なときだけ見るだけでも十分だと思います。また、決して子どもを信用していないわけではないと話しておくことも大切です。

まとめ

スマホは子どもにとって宝物です。気になることがあってもすぐに取り上げることはせず、どうしたらうまく付き合っていけるのかを親子で考えながら使うようにしてくださいね。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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