ささづか駅前おはな診療所 松尾有希子先生｜女性が悩みを打ち明けやすいクリニックを目指して

「オハナ」はハワイの現地語で家族を意味します。ささづか駅前おはな診療所は、男性女性に関わらず、患者さんが家族のように頼れるクリニック作りを目指しています。

院内の医師はすべて女性ということもあり、女性の患者さんが悩みを打ち明けやすい環境を整えています。新型コロナが続く中で、子育て中のお母さんや保育園や幼稚園の先生方が本当に大きな不安を抱えています。「誰にも相談できない」という患者さんが、駆け込んで相談できるような医院づくりに努めています。

当院では若い女医さんを積極的に採用しています。女性医師は男性医師ほどキャリアで成功した例が少なく、結婚や出産後に医師の道をあきらめてしまう女性も少なくありません。
一緒に働く中で「いくつになっても頑張れば女医も仕事を続けられる」という見本になれればと願っています。将来、経験豊富な女医による医院がもっと増えてほしいですね。

主婦業を経てから、医師として復帰された松尾先生。自身が子どもとしっかり向き合ってきたからこそ、子育て中の親御さんの苦労や悩み事を深く理解しています。

一人ひとりの患者さんのニーズに合わせた診療を大切にしています。
患者さんが医院へ来られる理由はそれぞれ異なります。「とりあえず薬だけ処方してほしい」という方もいれば、「ちょっと話を聞いてほしい」という方もいます。患者さん一人ひとりに合わせた診療を行うには、ニーズを理解なければなりません。患者さんの気持ちを把握するために、医師の診療だけでなく、受付の時点からきちんと情報収集しています。

少し厳しいかもしれませんが、患者さんには「医師任せにはしないように」と伝えています。病気を治すには、患者さんの理解と協力が必要です。例えば、医師が薬を処方しても、患者さんが指示通りに服用しなければ、正しい効果は得られませんよね。

また、現代はドラッグストアで手軽に市販薬が手に入る便利な時代です。自分の体を理解して適切な薬を購入できれば、病院へ行く頻度を減らすことにもつながるでしょう。受診をきっかけに、患者さんが自分の体や健康のことを一緒に学べればと考えています。

子どもの患者さんにも、1人の人間として接することを大切にしています。お母さんが率先してお話しされることも多いのですが、3歳以上の子であればやんわりと制止してから、お子さん本人に症状の説明をしてもらいます。こうすることで、子ども自身も病気で体に起こっていることに興味が湧きやすくなるのではと考えています。
駄々をこねている子どもの患者さんにも「今日は来てくれてありがとう」とスキンシップと共に伝えることで、スムーズに診療が進むことが多いです。

耳鼻科に訪れる親御さんは、子ども想いの方が非常に多いと感じています。中には子どもの健康状態について、過剰に心配される人も少なくありません。例えば、小さい赤ちゃんでれば、病気の症状ではなく、本能的に泣きたい時もあるものです。子どもの一挙一動に合わせすぎると、親御さんが振り回されてしまいます。
当院では子親御さんの不安を軽減するために、「このくらいの症状なら様子を見ても大丈夫」という目安を伝えています。

子どもの健康を心配することも大切ですが、親だからこそ持っている感覚も信じてみてください。
「鼻水が出ているけど、元気も食欲もあるから、家で様子を見よう」
「いつもと様子が違う……これは病院へ連れて行こう」
などと判断する場面があるかもしれません。このような、普段からお子さんと一緒にいる親御さんならではの冷静な判断は、たいてい正しいものです。

子どもの異変を見逃さず、かといって振り回されすぎず、受診のタイミングを判断してみてくださいね。

（取材・文：株式会社メディコレ）