ワカメの食べ過ぎに注意したい理由!ワカメの効果と1日の目安量も解説【管理栄養士監修】
ワカメは日本で昔から食べられており伝統的な食材の1つといえるでしょう。海外では食べない国もあるようですが、日本ではお味噌汁にも欠かせませんよね。ダイエットに活用する人もいるでしょう。しかし、食べ過ぎるとよくない影響を及ぼすことも。上手な取り入れ方や食べ過ぎによる注意点などを見ていきましょう。
ワカメにはどんなメリットがある?
ワカメは身近な食材ですがどんな栄養があるのでしょうか? ワカメの食べ過ぎについて確認する前に、まずはワカメを食べるメリットをお伝えします。
ワカメの栄養のよさとして
・食物繊維
・低カロリー
・ミネラル
の3つが挙げられます。
食物繊維|便秘改善
食物繊維は腸内環境を整える効果があるため、便秘の改善にも効果が期待できる栄養素です。ワカメにはその食物繊維がたくさん含まれており[*1]、特に水溶性食物繊維が多いという特徴があります。
水溶性食物繊維はヌルヌルとしていて水に溶けやすい食物繊維のこと。腸内の善玉菌を増やしたり便を軟らかくする作用があります。他方、水に溶けない不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して大きくふくらむ作用があり、便のかさを増やして腸の排便運動を刺激します。
ワカメにはこの両方が含まれており、野菜や穀類、豆類などほかの食物繊維を含む食品と比べて水溶性食物繊維もしっかり摂ることができます。食物繊維に関してとても優秀な食品なのです。
低カロリー|ちょい足しで満足感アップ
ワカメは、塩蔵ワカメでもカットワカメでも、水で戻した状態で100gあたり約10~20kcalとエネルギー(カロリー)が低いのも特徴の1つです[*1]。また、噛み応えもあるので、サラダや味噌汁などにちょっと加えると食感のよさが加わり、満足感をアップさせられます。体重調整を考えたりするときにちょい足し食材として取り入れるといいでしょう。
ミネラル|むくみ解消によいカリウム
ワカメは生理機能の維持・調節に必要なミネラルも多く含んでいます。そのなかでもカリウムは体の中のナトリウムを排出する働きがあり、むくみの解消にも効果があります。
ワカメを使うときのポイント|種類と下処理方法
ワカメには保存方法の違いでいくつかのタイプがあります。ワカメをおいしく上手に取り入れるために、それぞれの下処理の方法を紹介します。
■生ワカメ
その名の通り、海から採ってきたそのままのワカメです。日持ちしないので流通は少ないですが、見つけたら食べてみたい食材です。
■塩蔵ワカメ
生ワカメを湯通しした後に塩漬けにしたものです。3~5分ほど水で戻し、ワカメについている塩をしっかり洗い流して食べやすい大きさに切ってから使います。水で戻してもまだ塩を含むことがあるので、しっかり洗いましょう。
■乾燥ワカメ(カットワカメ)
保存性が高く賞味期限も長いため少量ずつ使うことができ、家に常備しておくと大変便利です。3~5分ほど水で戻してから使います。そのまま味噌汁に入れるときなどに便利です。水で戻ると量が増えるので量は調整しましょう。
ワカメを食べ過ぎるとどうなる?
食物繊維が豊富で低カロリーなど魅力の多いワカメですが、食べ方の注意点や食べ過ぎによる危険などはあるのでしょうか。
注意1|乾燥ワカメをそのまま食べる
乾燥したワカメは水を含むと約10倍に膨らむため、乾燥ワカメをそのまま食べると胃の中の水分を吸収して膨張します。膨張したワカメの量に消化が追い付かない場合は、嘔吐や腹痛を起こしたりすることがあり危険です。乾燥ワカメをそのまま食べるのはやめましょう。
注意2|ヨウ素の過剰摂取
ワカメにはミネラルの一種であるヨウ素が含まれています。ヨウ素は生殖、成長、発達などのコントロールやエネルギー代謝の促進などの重要な役割を担う甲状腺ホルモンの合成に必要な栄養素です[*2]。
海産物を摂取する機会の多い日本では欠乏の心配はないといわれており、むしろ気を付けたいのは過剰摂取のほうです。ヨウ素を必要以上に摂り過ぎると甲状腺機能が低下するなどの健康障害が起こる可能性があります。そのため、日本では一般成人の1日の耐容上限量(※)として3,000μgが定められています[*2]。
では、ワカメには具体的にどのくらいのヨウ素が含まれるのかというと、ワカメ100gで1,900μgです(乾燥ワカメを水戻しした状態で)。ヨウ素を含む食品はその他の海藻類や魚介類の一部、ヨードを強化した卵などもあり、ワカメだけではありません。昆布だし(煮出し)は100mlに11,000μgも含まれています。このことからも、ワカメの摂り過ぎには注意が必要といえるでしょう。
(※)耐容上限量とは、この量を超えて習慣的に摂取した場合には、健康に悪影響をもたらすリスクがゼロではなくなることを表します。耐容上限量を超えたらすぐに健康を害するということではありませんが、習慣的に摂取する食品では、耐容上限量を超えないように注意が必要です。注意3|ワカメだけを食べる偏食
ワカメは低カロリーで満足感も得やすい食品ですが、ワカメだけ食べるのはあまりよくありません。ワカメだけでは1日に必要な栄養を摂ることができないからです。また、ワカメだけたくさん食べることによりヨウ素の摂取量も増えてしまいます。ワカメだけでお腹を満たすような食べ方はやめましょう。
食べ過ぎにならないワカメの適量は?
ワカメは栄養的にうれしい効果のある一方、食べ過ぎにも気を付けたいことがわかりました。では、ちょうどよいワカメの量はどのくらいなのでしょうか。
1日に食べるワカメの目安|小鉢1つ分くらい
「野菜を1日350g以上食べましょう」というのを見聞きしたことがある人も多いかと思います。これは生活習慣病の予防や健康な生活を維持するための目標値です[*3] 。食物繊維やミネラルなどを含むワカメは野菜に劣らず体によい食べ物なので、野菜の一部として考えてよいでしょう。
では350gのうち、どのくらいをワカメで摂ればちょうどよいでしょうか。
ワカメには野菜類に含まれるようなビタミン類が多くはないため、あまりワカメの割合を高くするのはよくないでしょう。また、350gのうち約120gは緑黄色野菜から、約230gは淡色野菜から摂取するのが望ましいとされています。ワカメはこの淡色野菜の約1/3の70g程度(戻したもの)にとどめておくのがおすすめです。
70gとは小鉢1皿分(ワカメの酢味噌和えなど)になります。お味噌汁で考えるなら、ワカメがたっぷり入っていて汁がとても少ないと思うくらいの量です。
その他の食品の食べ過ぎについて知りたい方はこちら
▶意外と昆布を食べ過ぎてるかも?
▶海苔を食べ過ぎたらどうなる?
▶豆腐の食べ過ぎはリスクがある?
▶こんにゃくは食べ過ぎても大丈夫?
▶キャベツの食べ過ぎのリスク
▶野菜でも食べ過ぎはよくないの?
妊娠中のワカメの食べ方の注意点は?
ワカメに含まれる栄養は妊娠中にも必要ですが、注意点はあるのでしょうか。
ヨウ素の摂り過ぎ|妊婦は特に注意したい
ヨウ素は妊娠中にも大切な栄養素の一つであることに違いはありません。しかし、妊娠中はヨウ素に対する感受性が高いと考えられることから、ヨウ素の過剰摂取による甲状腺への影響に対して妊娠していないときよりも注意が必要となります。
一般成人のヨウ素の耐容上限量は3,000μg/日ですが、妊婦および授乳婦では2,000μg/日となります[*2]。水で戻した乾燥ワカメ100gでヨウ素1,900μgですが、ワカメ以外の昆布やのりなどから摂取するヨウ素のことも考えると、連日のようにワカメを1日100gを食べるのは心配です。
妊産婦のための食事バランスガイドで示されている副菜の量[*4]を参考に、1日のワカメの量は副菜1つ分の70g(小鉢1~2皿程度)にするとよいでしょう。
なお、妊娠中のワカメの食べ方については、以下の記事でより詳しく解説しています。
▶妊婦はわかめを食べてよい?目安摂取量と妊娠中のヨウ素について
数日食べ過ぎたからといってすぐに症状が現れることはありません。赤ちゃんやママの体に不調が出ないように毎日大量に食べ過ぎないことを頭に入れておくのが大切です。
まとめ
体によい栄養素が含まれているうえに低カロリーなワカメは、便秘予防や体重管理にと魅力も多い食材です。しかしどんな食材も食べ過ぎると体に悪影響を及ぼすことがあります。量に気を付けながら楽しみましょう。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*3]厚生労働省:健康日本21(第二次)
[*4]妊産婦のための食事バランスガイド
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます