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2021年11月28日 08:00 更新

【医師監修】授乳中に市販の湿布は赤ちゃんに悪影響?|選び方のコツと注意点

授乳中で腰痛や肩こり、腱鞘炎の痛みが辛い時、「湿布を使いたい」と思うことはありますよね。でも湿布も薬の一種。母乳を通して赤ちゃんに何か影響しないか不安になるかもしれません。今回は、授乳中でも湿布を貼って良いのかどうか解説します。

授乳中、市販の湿布は母乳に影響する?

授乳する女性のイメージ
Lazy dummy

授乳中に湿布を貼ると、母乳に何か影響はあるのでしょうか。

母乳への影響は少ないと考えられる

湿布も薬の一種なので、薬剤が含まれています。

湿布には頭痛薬や風邪薬などにも含まれる「消炎鎮痛薬」や血行を良くし痛みを和らげる「カンフル」のほか、冷湿布には患部を冷やす「メントール」、温湿布には血行を良くし温める「トウガラシエキス」などが含まれています。

湿布から「母乳に移行する成分の量」はとても少ない

湿布は含んでいる薬剤が皮膚から吸収され、患部に作用することで効果を発揮します。ただ、湿布の場合、「血液中に吸収される量は飲み薬よりずっと少ない」です。

また、血液から母乳に移行する量はさらに少なくなります。ですから、用法・用量をきちんと守れば、授乳中に湿布を使うことで赤ちゃんに何か影響する可能性はかなり低いと考えられます。

成分を選べばさらに安心

腰痛や肩こり、腱鞘炎などの痛みを和らげるために貼る湿布でおもに効果を発揮するのが「消炎鎮痛薬」という成分です。これはいわゆる「痛み止め」でさまざまな種類があり、それぞれ体への吸収のされ方や効き方などが異なります。

多くの湿布薬は授乳中に貼ったとしても通常使用の範囲ならほとんど問題ありませんが、「授乳中にも安全に使用できる種類の痛み止め」が主成分の湿布を選べばさらに安心できますね。授乳中にもおすすめの湿布薬の成分は、このあと解説します。

授乳中に使うなら|市販の湿布薬の選び方

湿布薬

授乳中に湿布薬を選ぶ際のポイントを解説します。

痛み止めの成分をチェック!

授乳中に湿布を使用するなら、含まれる「痛み止め(消炎鎮痛薬)」の種類を確認してみましょう。

湿布薬に含まれることが多い「授乳中にも安心」とされる痛み止めの成分

成分名 代表的な湿布薬
インドメタシン サロンシップインドメタシンなど
ケトプロフェン モーラステープなど
ジクロフェナク ボルタレンなど
ロキソプロフェン ロキソニンテープなど

国立成育医療研究センター「授乳中に安全に使用できると考えられる薬 - 薬効順 - 解熱鎮痛薬(痛み止め・解熱剤)」より湿布薬に含まれることが多い成分を抜粋・同成分を含む代表的な湿布製品名を追加

買うときは薬剤師に確認して

授乳中にも湿布薬はほとんど心配なく使えますが、1日にあまりたくさん貼ると薬の成分が過剰に体に取り込まれることで悪影響が出たり、長時間貼り続けることで皮膚がかぶれたりすることもあります。

また、授乳中に限らず、ぜんそくを起こしたことがある人は、ぜんそく発作を起こす可能性があるので、湿布であっても使えない消炎鎮痛薬があります。

赤ちゃんへの影響を考える必要のある授乳中の薬は、やはり慎重に選び・使いたいものです。

湿布を購入する際も、薬剤師に授乳中であることや持病の有無などを伝え、上手な使い方や注意点などを事前に確認して
おきましょう。

授乳中の湿布使用|こんなときはどうする?

腰に湿布を貼った女性

さて、体のあちこちに無理がかかりがちな授乳中、湿布を使いたいことは多いもの。そんなときよくある状況への対処についても解説します。

家にあった湿布を貼ってしまった!

ママが「飲み薬」を飲んだ場合でも、母乳中には「ママが飲んだ量の1%未満」の薬剤しか出ないと言われています[*1]。湿布の場合、母乳に出る量はさらに少なくなります。そのため、基本的には赤ちゃんへの影響はほとんど心配ないと考えられます。

ただ、湿布をたくさん貼っていた場合は、やはりママの体に取り込まれる薬の量は多くなります。また、飲んでいる母乳の量や月齢、体重など、赤ちゃんの状態によっても影響の可能性は変わってきます。

とくに、予定日よりかなり早く生まれた赤ちゃんの場合は、薬の成分を体の中で処理する力が弱いので、注意が必要なこともあります。

心配な場合は、湿布の使用をいったん中止して、薬剤師や医師に相談しましょう。

かぶれが気になる

湿布には、肌色で薄い「テープ剤(プラスター剤)」と白くて厚めの「パップ剤」の2タイプがあります。パップ剤は水分を含んでいて少し湿った感じがし、はがれやすいですが肌への負担は比較的少ないです。テープ剤ははがれにくい反面、はがすとき痛かったり、肌の弱い人はかぶれることもあります。

テープ剤とパップ剤のうち、自分の肌に合うタイプを選択すると良いですね。また、もともと肌が弱い人は、かぶれ防止のため貼る時間をあまり長くしないほうが良いでしょう。

もし、使用部位に湿疹やかゆみが出てきたら、薬剤に対して皮膚が過敏になったことによるアレルギー症状の可能性もあるので、医師または薬剤師に相談してください。

湿布を貼っているけど痛みが続く

湿布を使用しても痛みが長引いているなら、やはり医療機関を受診してよく診てもらいましょう。自己判断で市販の湿布を使うなら、長くても1ヶ月間をめどにしてください[*2]。

まん然と使い続けると、医療機関での治療が必要なのに治療開始が遅れてしまったり、痛み止めの効果で別の隠れた病気を見逃したりする可能性もあります。

まとめ

赤ちゃんと笑いあうママ
Lazy dummy

授乳中に湿布を使用したときの母乳を通した赤ちゃんへの影響、授乳中に使用する湿布の選び方、湿布を使用しているときに気になることについて解説しました。授乳中の湿布使用は基本的にほとんど問題ありませんが、やはり薬なので使用上の注意を守って正しく使うことが大切です。また、湿布などのセルフケアを試しても痛みが治まらないなら、自分だけでなんとかしようとせず、早めに医療機関を受診してくださいね。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]水野克己:これでナットク母乳育児, へるす出版, 2014
[*2]日本OTC医薬品協会 外用鎮痛・消炎薬

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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