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2021年04月19日 10:42 更新

妊婦にかつおはおすすめの魚介!摂れる栄養素と食べ方の注意点【管理栄養士監修】

春と秋の年に2回も旬があるかつおは、タタキなどで食べるとおいしいですね。かつおにはどのような栄養が含まれているのでしょうか。かつおの良い点と妊婦さんが食べるときに気をつけるポイントなどをご紹介します。

かつおに含まれる、妊婦にうれしい栄養素

栄養豊富な魚介類の中でも、かつおには、タンパク質、鉄分、ビタミンD、ビタミンB群に加え、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、アラキドン酸などの必須脂肪酸など、妊婦さんが特に摂りたい栄養素がたくさん含まれています。

妊娠中の貧血予防に役立つ「鉄分」

新鮮なかつおのイメージ
Lazy dummy

体内にある鉄分のうち、約70%が血液の赤血球中のヘモグロビンに含まれています[*1]。ヘモグロビンには酸素を全身に運ぶ大切な役割がありますが、鉄分が十分に摂れずに不足すると鉄欠乏性貧血になり、体のだるさ、息切れ、疲れやすさ、などの症状が起こります。妊娠中は血液量が増えるため、鉄欠乏性貧血になりやすいのです。

その点、かつおは魚介類の中では鉄分を多く含んでいます。かつおを上手にメニューに取り入れることで、貧血の予防に役立てましょう。

鉄の吸収を助ける「たんぱく質」

かつおには、良質なたんぱく質も豊富です。たんぱく質は、筋肉、皮膚や臓器など私たちの体を作るもととなるほか、酵素やホルモンなど体の機能を調節する働きがある重要な栄養素です。また、かつおに含まれる動物性たんぱく質は、鉄分の吸収を助ける働きもしています。

おなかの赤ちゃんの成長が著しくなる妊娠中期からは、妊娠前よりも多くのたんぱく質が必要になってくるので、たんぱく質の補給源としてもかつおを利用したいですね。

赤ちゃんに好影響の「DHA」

妊婦さんには良質の脂質も必要ですが、体内では作り出せない必須脂肪酸を摂ることがとても大切です。必須脂肪酸は動脈硬化を予防したりLDLコレステロールを減らしたりなどの大切な働きをしています。なかでもn-3系脂肪酸に分類されるDHAは、赤ちゃんの神経組織や目の網膜の材料となるため、それらの発育・発達のために不可欠です。

また、n-3系脂肪酸は、妊娠中にしっかり摂ることで早産や低出生体重児のリスクも減らすことができると言われています。

かつおはまぐろ、さんま、いわし、うなぎに次いでDHAが多く、DHAと同じn-3系脂肪酸であるEPAは、まぐろ、いわし、さんま、うなぎの次に多く含まれています。

妊婦さんが1日に摂りたいn-3系脂肪酸の目安量は1.6g[*2]ですが、脂ののった秋獲りのかつおであれば、一人前約80g食べるとこの目安量の大半を摂ることができます

かつおの水銀は大丈夫?

栄養豊富で体にもいい魚ですが、水銀を含んでいるため赤ちゃんへの影響が心配な種類もあります。かつおはどうなのでしょうか。

妊婦が気をつけたい水銀

考える若い女性のイメージ
Lazy dummy

魚の体には、多い・少ないはあっても自然界に存在する水銀が取り込まれています。水銀の含有量が多い魚を妊娠中にたくさん食べ続けていると、おなかの赤ちゃんに水銀が影響することがあるとわかっています。

たとえば、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)などは、水銀の含有量が多い魚です。厚生労働省は、これらの魚を「妊婦が注意すべき魚介類」とし、妊婦さんが食べる回数や量の目安を示しています[*3]。

かつおは水銀量が少ない安心の魚介

水銀が含まれていても、量がごく少なく赤ちゃんへの影響が心配ない魚もたくさんあります。かつおもその一つで、厚生労働省は鮭、あじ、さば、いわし、ぶり、さんま、などとともに、「特には注意が必要でないもの」として、バランスよく食べるよう呼びかけています。

刺身はNG!かつおの生食には注意

かつおはタタキなど生で食べることも多いですね。でも、妊婦さんが生のかつおを食べるのは、食中毒の心配があります。

生のかつおに潜むアニサキス食中毒のリスク

生のかつおのイメージ
Lazy dummy

生の魚介類には、アニサキス幼虫が寄生していることがあり、生のまま食べてしまうとアニサキス幼虫が胃や腸の壁に入り込んで食中毒を引き起こします。

アニサキスの食中毒を防ぐため、魚を買ってきて内臓がある場合は早めに取り除きます。また、魚をよく見て確認し、白い糸のように細いアニサキス幼虫が見つかったらすぐに除きましょう。

なお、アニサキスは-20度で24時間冷凍するか、70度以上で加熱または60度で1分加熱することで死滅します[*4]。

調理での二次感染にも注意を

かつおをはじめ生魚を食べると、アニサキスだけでなく腸炎ビブリオといった細菌による食中毒の心配もあります。加熱することで菌は死滅しますが、腸炎ビブリオでは、生の魚介類を調理したときに細菌がついた手指でほかの食品をさわることで起こる二次感染の例もあります。

妊娠中は生魚を食べるのを避けるだけでなく、調理するときの扱いにも注意が必要です。

妊娠中のかつおに関するよくある疑問

上手に調理すれば、栄養たっぷりなかつお。食べるときや加工品などについての質問にお答えします。

かつおのたたきは食べても大丈夫?

かつおのたたきのイメージ
Lazy dummy

かつお料理でもっともポピュラーなのが「たたき」ですが、表面をあぶっているだけで中までしっかり火が通っているわけではありません。

生魚には腸炎ビブリオなどの細菌やアニサキス幼虫がいて、食中毒の恐れがあります。特に腸炎ビブリオによる食中毒は、刺身によることが最も多いのです。

食中毒を予防するため、妊娠中は刺身やお寿司などで生魚を食べることは控え、調理する時は手指や調理器具を清潔にして、身の中心部が75度で1分以上[*5]になるようしっかり加熱することがポイントです。

かつおのたたきを買った場合は、さらに家で加熱して食べるといいでしょう。照り焼きにしたり、トマト煮にしてもおいしいです。

かつお節は食べても大丈夫?

かつおぶしのイメージ
Lazy dummy

かつおを加工してあるかつお節やなまり節などは、しっかり加熱処理がしてあるので、食中毒の心配はありません

かつお節はいろいろなものにさっとかけることができるので、摂取しやすい食材です。妊娠中は魚をたくさん摂りたいので、かつお節は積極的に取り入れましょう。

また、なまり節もサラダにちょっと加えたりすることができるのでおすすめです。ただ、かつお節よりも燻製時間の少ないなまり節は日持ちしないため、早めに食べきるようにしてくださいね。

まとめ

かつおは鉄分やたんぱく質など栄養豊富な魚なので、積極的に食べるようにしましょう。ただし、生だと食中毒の心配があるので、しっかり加熱することを心がけてください。調理方法や味付けなどを工夫し、かつお料理を楽しみながら、栄養を摂っていきましょう。

(文:村田弥生/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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