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2022年12月14日 16:30 更新

妊娠8週|胎児の発育・母体の状態、赤ちゃんの大きさやつわりなどの症状【医師監修】

妊娠8週は、妊娠3ヶ月の1週目にあたります。ママは、つわりの症状がピークになる人が増えてくるころで、赤ちゃんは、体の中で大切な器官が形作られている最中です。ママは心身ともに不安定になりがちな時期ですが、妊娠初期のこのころに安心して過ごすためのポイントを紹介します。

妊娠8週ってどんな時期?

妊娠8週の疑問がいっぱいのイメージ

胎芽から胎児になる時期

妊娠8週は、それまで少し魚のようにも見える「胎芽」と呼ばれる状態だった赤ちゃんが、より人間らしい姿に成長し「胎児」と呼ばれるようになる時期です。

また妊娠4~10週ごろまでは赤ちゃんの体の中で神経系、循環器系、消化器系、呼吸器系などの基本的な臓器ができていく大切な時期とされており、「器官形成期」と呼ばれています(器官形成期の時期は明確に定義されておらず、また薬剤や放射線など、赤ちゃんに影響を及ぼす要因によっても変わってきます)。

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妊娠3ヶ月ごろの様子について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠3ヶ月のママと赤ちゃんの様子(妊娠8週、9週、10週、11週)

妊娠8週で体に起きる変化は?

赤ちゃんがどんどんヒトらしい姿になってくるのと同時に、ママの体にも徐々に変化が現れてくるようになります。

赤ちゃんの変化|大きさは13mmほど。目や耳ができてくる

赤ちゃんの大きさ(頭の先からお尻まで)はおよそ13mm前後です。まだ胎動を感じられる大きさではありません。

頭部と胴、四肢が分かるようになり、目や耳もできてきます。手には、指を示す刻みがみられ始めますが、まだ完全に分かれているわけではなく水かきのような状態です。主要な臓器はだいぶできあがってきますが、あごや生殖器などの形成はこれからです。鼻の部分が盛り上がってきますが、鼻の穴はまだふさがっています。

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妊娠8週の赤ちゃんの様子について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠8週のエコー写真を多数掲載!みんなのエピソードつき

ママの変化|つわりのピークを迎える

妊娠8週でつわりが辛くお腹をさする妊婦

妊娠5~6週から始まることの多いつわりですが、このころくらいからピークを迎えます。つわりは妊婦さんの50~80%[*1]が経験すると言われています。吐き気や嘔吐(おうと)、食欲不振でつらい思いをする人は多いのですが、個人差があり、その程度や症状は人それぞれです。

つわりの原因はまだ解明されていませんが、hCG(絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの分泌量が多くなる時期と、妊娠悪阻(つわりの重症化したもの)を発症する時期が一致していたり、hCGの分泌が過剰な状態では妊娠悪阻の症状が強くなることから、hCGが妊娠悪阻を誘発するのではと言われています。。なお、妊娠8~10週はhCGが最も多く分泌される時期で、その後20週ごろまでに減少していきます。

つわりは妊娠12~16週に自然におさまることが多いので、あまり気にしすぎずに、つらいときは食べたいときに食べられる量をとるようにするといいでしょう。

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つわりのピークについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎つわりのピークはいつからいつまで続く?

妊娠悪阻に注意

1日に何度も嘔吐を繰り返したり、食事がとれなくなったりして、それまでの体重の5%以上[*2]が減少してしまうような「妊娠悪阻」と診断された場合は、入院のうえ点滴などの治療が行われます。妊娠悪阻の頻度は全妊婦の0.5~2.0%[*3]で、特に初産婦に多いことが知られています。ただし、重症化するのは経産婦(出産経験のある妊婦さん)とされています。

妊娠悪阻は、ビタミンB1の欠乏によって起こるウェルニッケ脳症を引き起こすことがあります。意識障害や運動障害(歩けなくなる)、眼球障害(寄り目になる)などを起こし、ひどい場合は記憶障害を起こします。そのため、妊娠悪阻で点滴治療が行われる際は、ビタミンB1も補給されます。

妊娠8週に行われること・必要な準備

妊娠がわかったら、必要な手続きや検査を受けましょう。また時期も逃さないようにしてください。

出産予定日の修正|より正確な週数を把握

妊娠5~6週で赤ちゃんの心臓が動いていることが確認できたら、医師から分娩予定日や妊娠週数が伝えられます。この時点での妊娠週数は最終月経が始まった日からを妊娠0週0日として数えますが、排卵が想定された時期とずれてしまっていたりすると、実際の妊娠週数とずれる場合があります。

そこで、妊娠8~10週のころに、赤ちゃんの頭殿長や児頭大横径※を超音波検査で測定し、そこからより正確な分娩予定日や妊娠週数に修正することがあります。この時期の赤ちゃんは発育の個人差が少ないため、妊娠週数ごとの基準値と実際の測定結果と照らし合わせることで、妊娠週数を知ることができます。

※頭殿長:頭からおしりまでの長さ、児頭大横径:胎児の頭で一番幅広い箇所の直径

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出産予定日の自動計算について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎出産予定日を計算

手続き関連|妊娠届の提出、母子手帳の取得

母子手帳は、医療機関で妊娠が確定されたらできるだけ早く、地域の保健センターや市区町村の役所に出向いて妊娠届を提出し、交付してもらいます。その時期は、赤ちゃんの心拍確認直後の妊娠5~6週のこともあれば、それより遅くなることもありますが、だいたい妊娠10週くらいまでのことが多いようです。

自治体によっては、母子手帳とともに健診が無料になったり補助を受けられる券がもらえたり、さまざまな母子保健サービスの案内を受け取れたりもしますので、医師から指示があったら、早めに届を提出して交付してもらいましょう。

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母子手帳の交付について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎母子手帳はいつ・どこでもらう? 必要な手続きと流れ

妊婦健診|安全なお産のため必ず受けよう

最初に産科を受診する、だいたい妊娠5~11週までの間には、およそ3回程度の健診を受けることになります。このころには血液検査、感染症の検査、経腟超音波検査、子宮頸がん検診などが行われます。

その後、母子手帳の交付後からは、いよいよ出産までに全14回程度受けることになる妊婦健診が始まります。妊婦健診の内容は妊娠週数によって少しづつ変わってきますが、毎回行うことは、血圧、尿検査、体重などによるママの健康状態の把握と、お腹の上からの超音波検査による、心拍など、赤ちゃんの状態の確認です。

もともと健康な人であっても、妊娠中に思わぬ病気にかかることもあります。何か異常がある場合は、お腹の赤ちゃんのためにもできるだけ早期に発見してもらい、治療を受けることが大切です。また、できるだけ安全なお産を目指すためにも妊娠中の経過を把握しておくことはとても大切です。妊婦健診はかならず定期的に受けるようにしましょう

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妊婦健診について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊婦健診はいつから、どんな検査を行う?
関連記事 ▶︎妊婦健診ってどんな服装で行けばいいの?

妊娠8週目に気をつけたいこと2つ

妊娠8週に注意を喚起するマークのイメージ

妊娠初期(妊娠15週まで)のちょう中盤の時期である妊娠8週は、ママの心と体の両方が不安定になりがちです。この時期とくに気をつけてほしいことについて説明します。

1. 薬の使用|一部赤ちゃんに影響を及ぼすものも

妊娠8週以降~12週末までは、赤ちゃんの体では大きな器官の形成はほぼ終わっていますが、それまでに比べて限定的な範囲での先天異常を起こす可能性のある薬が、ごくわずかですが存在します。この時期の赤ちゃんに影響を及ぼす薬はあまり多くはありませんが、もし心配なことがあったら、かかりつけ医師に相談してみましょう。

2. つわりの症状|食べられるものを食べられるだけでOK

つわりにより食事ができなかったり、嘔吐したりすると、水分が補給されず脱水が心配です。症状がきついときは、まずは水分だけでもこまめにとるように心がけてください。

なお、この時期は、おなかの赤ちゃんのための栄養は「葉酸」以外は強く意識しなくても大丈夫。通常の食事が食べられないときは、ジュースやゼリー、スープなど口にできるものを食べたいときに食べてください。。体重がどんどん減ってしまったり、何も口に入れられないときや、すべて吐いてしまうようなときはかかりつけ医師に相談しましょう。

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つわりの時の食事について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎つわりでも食べれるものが知りたい!軽減のコツと食べやすい食品

まとめ

妊娠8週の妊婦のお腹の前でハートマークを作るカップル
Lazy dummy

赤ちゃんが「胎児」になり、いよいよ大きく育っていく時期。ママとしては、つわりなどで心身ともに大変であることが多い時期ですが、不安などがあれば小さなことでも、病院、役所、保健所等に相談してみてください。この時期は、ママが安心して過ごしていくことが大事です。

(文:石井悦子/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会:産婦人科研修の必修知識2016-2018, p134, 2016.
[*2]病気が見えるvol.10産科, p84, メディックメディア, 2017.
[*3]公益社団法人日本産科婦人科学会, 産科診療ガイドライン2017, CQ201妊娠悪阻の治療は?

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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