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2024年04月27日 06:16 更新

子供のおねしょや腹痛、もしかしたら“性被害のサイン”かも…そのとき、親が「絶対に言ってはいけない言葉」

子供の性被害のニュースを見聞きするたび、胸が締め付けられます。しかし、それは他人事ではありません。

子供への性犯罪・性暴力って?

子供への性犯罪・性暴力は、被害に遭ったその瞬間だけでなく、子供自身の心身に長く影響を及ぼします。

被害の例としては以下のようなものがあります。
・着替え、トイレ、入浴を覗かれた
・抱きつかれた
・キスをされた
・服を脱がされた
・プライベートゾーンを触られた
・下着姿や裸の写真などを撮られた、送るように指示された

親が気付きにくいのには訳がある

「あぶない場所には近寄らせないから、自分の子供は大丈夫」と思っている保護者もいるでしょう。しかし、子供が性被害に遭っている事実に、親が気付けないのは珍しいことではありません。

加害者は「知らない人」ばかりではない

SNSやオンラインゲームで知り合った人から性被害を受ける可能性は、保護者もある程度認識し、子供が使う通信端末にフィルタリングサービスを活用している家庭も多いでしょう。しかし、加害者は『見知らぬ誰か』だけではありません。

たとえば、
・先生、コーチ、親や親戚などよく知っている身近な大人
・ともだち、きょうだい
・交際相手

など、身近な存在が加害者になっているケースもあるのです。

気付きにくい状況下で行われている

「子供が嫌なことをされたならば、さすがに親に伝えるだろうし、親も異変に気づくはず」と思ってしまいますが、それも難しいケースがあります。

まず、多くの場合は人目につかないところで行われているということ。特に子供と二人になっても不自然でない相手ならば、そのような状況は容易に作れてしまいます。

次に、子供自身が性被害に気づいていないケース。性的な知識に乏しいため、「何をされたのかよく分からない」と、子供が自覚しないままに被害者になっていることがあります。

そして、子供が隠そうとしているケース。「被害者側なのになぜ隠す必要があるの?」と思われるかもしれません。しかし、親きょうだいなどの家族や親しい人が加害者だった場合などは、子供自身が性被害を他の人に知られたくない、と隠してしまうのです。また、「被害に遭ったことを人に話すのが恥ずかしい」「自分が叱られるかもしれない」と思ってしまうこともあります。

また、昨今いっそう注目されている「性的グルーミング」の場合も、保護者が気付きにくい特徴があります。優しい言葉で子供を手懐けて偽りの信頼関係を築き、性交渉に誘い込んだり、性加害を徐々にエスカレートさせたりするのです。この場合は、SNSで新たに知り合った相手のほか、元々近しい関係者が加害者になることもあります。加えて「親に言ったら悲しむかもよ」「人に知られたら大変なことになるよ」などと口外しないよう脅しているパターンも少なくありません。

性被害者は女子だけではない

「うちは男の子だから、被害には遭わないでしょ」と思い込んでいる保護者もいるようです。しかし、男の子の性被害の方が、かえって保護者が気付きにくい可能性もあります。

というのは、女の子に比べ男の子は、性的な遊びやイタズラが軽視される傾向にあります。「ふざけてズボンを下げられた」「同性だからいいだろ、とキスされた」と、その場のノリを装ったり、拒絶できない雰囲気を作ったりして、被害に遭っているのです。

性被害に遭っている子供が出す「サイン」とは?

性被害を受けた子供は、必ずしもそのことを言葉で伝えられるわけではありません。一方で、こころの傷=トラウマがいつもとは違った様子で現れることがあります。それは、心身の不調や、問題行動の形で表出しますが、その変化を見逃してはいけません。

からだのサイン|おねしょ、頭痛、眠れない

例:トイレが近い、おねしょをする、頭がいたい、お腹が痛い、吐き気がする、食欲がない、異常に食べる、だるい、一人で眠れない、怖い夢を見る、夜遅くまで起きている、朝起きられない、寝ている最中に叫び声を上げる、性器が痛い・かゆい など

こころのサイン|元気がない、甘えてくる

例:ふさぎこむ、元気がない、気力がわかない、過剰に甘えてくる、集中できない、情緒が不安定、人が信じられない など

行動のサイン|ものを壊す、リストカットする

例:落ち着きがない、ものを壊す、勉強に打ち込めない、成績が落ちる、飲酒、喫煙、家出、自傷行為、リストカット、人との距離が異常に近い、性的なことを極端に避ける・嫌悪感を持つ、繰り返す奔放な性行動、性的な言動や遊び、自分の性器いじり、他人の性器に触れる など


特にこの「行動のサイン」について、大人は単なる問題行動と捉えてしまい、背景にあるトラウマに気づかないこともあります。こころの傷の表出である可能性を考え、適切にサインをキャッチする必要があります。

子供に性被害を打ち明けられたら、親はどうすればいい?

もし、子供が勇気を出して私たちに性被害を打ち明けてくれたら……そのとき、大人としてどう対応すればいいのでしょうか。

① 寄り添って受け止める

子供の性被害を知り、焦ってしまったり、なぜこんなことが起きてしまったのかと混乱するかもしれません。「SNSなんかするからだ!」と叱ったり、衝撃のあまり「まさか、うそでしょ?」と否定したくなったり、逆に親としての責任感から無理にでも聞き出そうとしてしまったりするかもしれません。

しかし、責めたり、疑ったり、無理に聞き出したりしてはいけません

子供のこころとからだに寄り添い、
「よく話してくれたね、ありがとう」
「あなたは悪くない」
「気持ちが悪くなったり、疲れたりしたら、話すのを休んでいいからね」

と伝えて、子供のペースに合わせて話を聞きましょう。

このとき、気をつけることがあります。それは“聞きすぎ”はNGということ。
子供の認知機能はまだ未熟なため、聞きすぎることが子供の記憶に影響を及ぼします。これは「記憶の汚染」と呼ばれ、注意が必要です。親が詳しく聞き取ろうとするのではなく、なるべく早く専門機関(『性被害の相談先』は後述)などに相談してください。

② 専門家のケアを受ける

その次に、子供が必要なケアを受けられるようにします。

子供の安全を確保したのち、同意を得てからからだに傷などがないか確認してください。また、被害直後であれば、医療機関で傷の手当てや緊急避妊薬の処方、感染症検査、証拠採取等が必要になる場合があります。速やかに相談機関(下記)に連絡しましょう。

性被害の相談先

<電話で相談>
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
 #8891(はやくワンストップ)
性犯罪被害相談電話(警察)
 #8103(ハートさん)
児童相談所
 #189(いちはやく)

<SNSで相談>
■性暴力に関するSNS相談 Cure time
(毎日17〜21時にチャットで相談、匿名可、メール可)
親子のための相談LINE
(LINE上で相談員とやりとり、匿名可)

子供を守るため、普段から親ができること

知らぬ間に忍び寄る性犯罪・性暴力の危険。子供のこころとからだの安全を守るためにも、普段から伝え続けてほしいことがあります。

プライベートゾーン(水着で隠れる部分)は見せない(相手のも見ない)・触らせない(相手のも触らない)こと
✅ イヤなことをされそうになったら「イヤだ」「やめて」と言う、イヤなことをされたらすぐに大人に相談すること
✅ 自分は大切に扱われるべき存在、ほかの人も同様に大切に扱われるべき存在であること


これは、幼児期から伝えてほしいことです。これらを子供に理解してもらうことが、性犯罪・性暴力から守り、いざ被害に遭った場合でも信頼できる大人に打ち明けられることにつながります。

子供が何らかの危険を告げるサインを出したとき、それに気づくためには、普段からの良好なコミュニケーションが必須です。自分と人を大切にできる価値観を親子で共有していきましょう。

(文:マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

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