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2022年12月14日 16:26 更新

【医師監修】妊娠12週の壁!ママのおなかや胎動の変化とは?

妊娠12週は、妊娠4ヶ月にあたります。ママは、つわりのピークといわれる妊娠3カ月を過ぎ、ゆったりした気分で過ごせる日が多くなってくるでしょう。流産の確率も、妊娠12週以降はぐっと低くなります。そんな妊娠12週のママの体の変化や、おなかの赤ちゃんの様子についてまとめました。

妊娠12週に突入!! 赤ちゃんの状態は?

妊娠12週
Lazy dummy

妊娠12週は、だんだんとおなかのふくらみも感じ始めるころです。「おなかの中で、赤ちゃんはどんなふうに育っているの?」とママも気になるのではないでしょうか。妊娠12週ごろのおなかの赤ちゃんの状態を解説します。

赤ちゃんはどれぐらい育っているの?胎動は??

外見は、人間らしい体つきになっており、手指には爪が見られます。心臓、肺、消化器など内臓の形態がほぼ完成し、腎臓では尿が作られています 。超音波検査では、おしっこをしている様子が観察できることがあります。性器も発達してきて、男女の差があらわれてきます。

おなかの中で、赤ちゃんは元気に体を曲げ伸ばししたり、キックをしたりしていますが、ママがおなかの赤ちゃんの動きを胎動として感じ始めるのは、もう少し先のこと。妊娠20週ごろになれば、ほとんどの妊婦さんが胎動を実感できるようになるでしょう。

流産の可能性は減ってくる

産婦人科で確認された妊娠のうち、約15%は流産になるといわれており、そのうち妊娠12週未満の流産を「早期流産」、12週以降22週未満の流産を「後期流産」といいます。流産の約8割が、妊娠12週未満に起こる早期流産で、主な原因は赤ちゃん自身の染色体異常などによるものです[*1]。

妊娠12週まで赤ちゃんが成長できたということは、染色体異常などによる流産の可能性がかなり低くなったといえます。とはいえ、残りの2割は妊娠12週以降に起こっており、まだまだ油断はできません。

妊娠12週のママの状態、どんな感じ??

おなかのなかで、すくすくと成長する赤ちゃん。ママの体にも、さまざまな変化があらわれるようになります。

つわりが楽になり始めるころ

妊娠初期には、大半の妊婦さんが吐き気や嘔吐、食欲不振といった、つわりの症状に悩まされます。つらさのピークは妊娠8~10週ごろが多いと言われていますが、12週ごろには楽になっている人が多いでしょう。つわりの期間には個人差があるため、少し長引く人もいますが、多くの人が妊娠16週ごろまでには治まります。あと、もう一息ですね。

この時期に起こりやすい症状は??

頻尿や腰痛もよくある症状!!

子宮が大きくなると、すぐ前にある膀胱が圧迫されて頻尿になる人もいます。妊娠によって体内の水分量が増えていることも一因です。女性ホルモン(プロゲステロン)の働きで尿管や膀胱など尿路系の筋肉がゆるんでいるため細菌がとどまりやすくなり、膀胱炎や腎盂腎炎も起こりやすくなっています。尿意を感じたら我慢せず、トイレに行くことが大切です。

腰痛は、おなかが大きくなる妊娠中期以降に多いトラブルの一つですが、関節をゆるめる働きのあるリラキシンや、エストロゲン、プロゲステロンの分泌が増え始める妊娠初期から痛みを感じる人もいるでしょう。妊娠による骨盤内のうっ血も、腰痛の原因になります。腰痛は、同じ姿勢を取り続けたり冷えたりすると悪化しやすいため、「適度に動く」「体を冷やさない」などを心がけましょう。

出血の自己判断は禁物

妊娠初期には、しばしば少量の出血が見られることがあります。ごく少量の出血も含めると妊婦さんの10~30%[*2]が経験するといわれています。

また、妊娠中の子宮はうっ血状態にあり、組織も軟らかくなっています。子宮口付近に「びらん」(粘膜のただれ)や「頸管ポリープ」があった場合は、そこからの出血も起こりやすくなります。

こうした出血のほとんどは、妊娠の継続には影響がないものの、流産や切迫流産との区別はつけにくく、自己判断は禁物です。出血があったら、念のため、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。

その際は、いつからの出血か/量/色/におい/固形物の有無/腹痛や張りの有無/その他の症状の有無(吐き気や貧血など)を伝えてください。

妊娠初期の夜間、休日等に少量の出血や軽い腹痛があった場合は、すぐに救急外来を受診する必要はなく、翌日の受診でも大丈夫とされています。

ただし、生理の時より出血量が多い場合や、腹痛がひどい場合は子宮外妊娠(異所性妊娠)や進行流産の可能性もありますから、夜間・時間外であっても医療機関に受診が必要か相談しましょう。

その他の症状

子宮が大きくなるにしたがって、足の付け根が痛くなったり、つったりする人もいるでしょう。また、女性ホルモンの分泌増加により口腔内の環境が変わり、細菌が繁殖しやすくなって歯肉炎が起こりやすくなります。歯茎が腫れたり、歯磨きのときに出血したりする人がいるかもしれません。

どんなことに注意して妊娠12週ごろを過ごせばいいの??

それまでつわりで気分がすぐれなかったママも、つわりが軽くなることによって行動的になるころです。寝ていることが多かったママも、気分転換をかねて、外出する機会が増えるでしょう。ここでは、普段の生活で気をつけたほうがいいことについて解説します。

体を締め付けない、ゆったりした服装を

妊娠12週ごろの子宮は握りこぶし大になっており、骨盤腔 を超えて大きくなろうとしています。

外から見ると、おなかはそれほど膨らんでいるようには見えませんが、中には、おなかが出てきたと感じるママもいるでしょう。普段、身に着けているスカートやパンツが、少しきつくなってきたと感じる人もいるかもしれません。

おなかの赤ちゃんを育むために、ママの血液の量は徐々に増え始めています。血流を妨げないためにも、体を締め付ける服装はやめるようにしましょう。

マタニティ用ではまだ大き過ぎて、服選びに迷う時期ですが、まずは手持ちの服を見直して、適度にゆったりしたものを身に着けるようにしてください。


つわりが治まった人は体重増加に気を付けて

つわりの症状が落ち着くと食欲が増し、「いくら食べてもおなかがすく!」と感じるママもいるかもしれません。赤ちゃんの成長のためにも、栄養バランスのよい食事を3食しっかり取ることは大切ですが、「おなかの赤ちゃんの分まで!」と食べ過ぎると、体重が増え過ぎてしまいます。

つわりが終わったあとは、急激に体重が増加しないよう、体重管理にも注意するようにしましょう。

適度な運動を始めよう

妊娠中の運動は体重管理に役立つほか、ストレス解消にもなるなど、さまざまな効果があります。また、血行がよくなることから、むくみや腰痛の予防にもつながります。運動で体力をつけ、体を柔軟にしておくと、お産の疲れや筋肉痛を軽減することもできます。

このころから、身体の調子と相談しつつ、ウオーキングや体操、ストレッチなどを始めてみても良いでしょう。妊婦さん向けのヨガやスイミングなどもおすすめです。

妊娠中、NGなスポーツは?

調子がいいからといっても、妊娠前と全く同じように運動してよいというわけではありません。心臓や肺に負担のかかる激しい運動や、おなかに力を入れたり圧迫したりする運動、競技性の高い運動、転倒の危険性がある運動は避けましょう。妊娠16週以降は、仰向けになる運動も控えるようにしてください(静脈が圧迫されるため)。

なお、運動をすることができるのは、妊娠経過に問題がない場合に限ります。念のため、事前に、運動を始めることについて、かかりつけの産婦人科医に相談しておくと安心でしょう。

この時期に受ける妊婦健診の内容は?

お母さんの健康状態や赤ちゃんの発育状態を調べる妊婦健診は、妊娠初期からお産まで計14回前後 、行われることになっています。感染症や子宮頸がんの有無などを調べる初期の詳しい検査は、妊娠13週ごろまで に済ませることになる妊婦さんがほとんどでしょう。その後の定期健診では、体重・血圧測定や尿検査などの基本的な検査と、超音波検査などが行われます。

妊婦健診は4週間に1回に

当初、2週間に1回程度だった妊婦健診も、早期 流産のリスクが低くなる妊娠12週以降は、4週間に1回となります。健診の間隔があくことで不安になるママもいるかもしれませんが、気がかりなことがある場合は、遠慮せず医師に相談してみましょう。

超音波(エコー)検査が経腟ではなくなる

超音波検査には、プローブと呼ばれる器具を腟から挿入する「経腟超音波検査」と、おなかの上にプローブをあてる「経腹超音波検査」の2種類があります。おなかが大きくなってくる妊娠12週以降は、より広い範囲が観察できる経腹超音波検査が主に行われるようになります。経腹超音波検査では、赤ちゃんの大きさや発育の状態、胎盤の位置、羊水量などを確認します。

まとめ

流産の可能性が低くなり、つわりも落ち着き始めるのが妊娠12週ごろ。ママも妊娠している体に慣れてきて、心身ともにアクティブになれる時期ですね。妊婦健診の間隔が少しあくようになるため、つい気がゆるんで食べ過ぎたり、動き過ぎたりしがちなので注意してください。健康に十分気を配りつつ、毎日を楽しく過ごしましょう。

(文:吉村直子/毎日新聞出版MMJ編集部、監修:星真一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]日本産科婦人科学会/産科・婦人科の病気/産科の病気/流産・切迫流産
[*2]「標準産科婦人科学」第4版 医学書院 P12

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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