【医師監修】寝かしつけはいつまで必要? ひとり寝デビューの方法と注意点

【医師監修】寝かしつけはいつまで必要? ひとり寝デビューの方法と注意点

赤ちゃんのころから続く「寝かしつけ」。なかなか寝ない、親が一緒に寝てしまい家事ができないなど、負担に思うことも多いものです。ここでは、子供の睡眠にくわしい森田麻里子先生のアドバイスとともに、「早くひとりで寝てほしい」「そろそろ大丈夫かな」と思ったママ・パパに向けて、寝かしつけ卒業のためのヒントをお伝えします。


<森田麻里子先生からのアドバイス>
赤ちゃんの寝かしつけは、ご家庭によって様々です。「おやすみ」というだけの寝かしつけも、添い寝の寝かしつけも、どちらが正解というものでもありません。でももし、今の寝かしつけの負担が大きすぎるなら、少しずつ寝かしつけ方法を変えていくこともできますよ。

子供の寝かしつけ、みんなはどうしてる?

まずは子供の寝かしつけ方にはどんな方法があるのか、ほかの家庭で実践されている方法を見てみましょう。

1歳を境にやり方に変化が

博報堂が行った「子供の睡眠・寝かしつけ」に関する調査[*1](複数回答)では、寝かしつけの方法で多いものは「寝たふり」「見守る」「自分も寝る」「トントンする」で、それぞれ半数以上の人が行っていると回答していました。また、「なでなでする」「抱っこする」「ミルクや母乳を与える」はそれぞれ3割程度、「絵本を読む」「子守唄をうたう」は2割程度の人が行っていると報告しています。

月齢別で見ると、1歳未満は「抱っこする」「トントンする」「母乳またはミルクを与える」といった項目が上位でしたが、1 歳以上になると「隣で寝たふりをする」「一緒に眠る」「一緒に横になって見守る」が上位に。1歳を境に赤ちゃん式の寝かしつけから子供に多い方法へ変化していくことがわかります。

そのほかの方法として「子供と会話する」「お気に入りの毛布やぬいぐるみなどをもたせる」「音楽を聴かせる」「マッサージする」「部屋にいるけれど、親は横にならず見守る」などの回答がありました。

寝かしつけはいつまで必要?

子供の寝かしつけに「いつまでに卒業しなければならない」というはっきりした基準はありません。いつまでにするのが理想的かという目安も、色々と研究されているところです。今の時点で分かっていることを参考に、子供の個性や家庭の方針とあわせて考えてみましょう。

生後6ヶ月ごろから、ひとりで寝つく練習をしても

欧米では赤ちゃんのころから親と別室で寝るのが一般的です。できるだけ早く子供と別で寝たいと考えている場合や寝かしつけが負担で悩んでいるときは、ひとりで寝つけるよう、乳児のうちから工夫する方法もあります。

それが「ねんトレ(ねんねトレーニング)」。ねんトレにはさまざまなやり方があり、注意点もそれぞれですが、開始時期については生後4~6ヶ月ごろをすすめていることが多いようです。

日本では乳児期は親子同室で眠る場合が多いので、ひとりで寝付く練習をさせるのはかわいそうに感じるかもしれませんが、むしろ赤ちゃんの時期のほうが親の希望で寝かしつけの方法や寝室を変更しやすいようです。1歳半ごろを過ぎてくると、今度は子供自身が納得しない限り寝かしつけの方法を変えることが難しくなっていきます。

ねんトレについて詳しくは、下記の記事を参照してください。

【医師監修】ネントレはいつから? その方法と工夫のポイント

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/7953

子供がなかなか寝ないのはよくあることですが、睡眠不足が続くと、どんなママ・パパでもつらくなってしまいます。あまりにも寝ないと、子供自身の健康も心配に。ここでは、そんなママ・パパのために、「ネントレ」とはどんな方法なのか、寝かしつけに役立つヒントなどについて紹介します。

4歳以降は寝室を分けた方がいいという説も

乳児期を過ぎても寝かしつけを続けていた場合は、いつ卒業させればいいのでしょうか。

欧米の中でも、特にアメリカでは子供の自立心を育てるためにひとりで寝ることが重要と考えられているようです。これは1986年に出版されてベストセラーになった育児書が大きく影響しているといわれています。この著者の小児科医・ファーバー医師が、子供の自立性が育たないことを理由に「添い寝はよくない」という考え方を定着させました。

同様に、当時は多くの医師や専門家が添い寝を否定していましたが、この本は2006年に改訂され、ファーバー医師は添い寝容認派に立場を変えました。ただ、添い寝する場合は「できれば生後6ヶ月、遅くても3歳までにやめるべき」と早期のひとり寝を推奨しています[*2]。

「川の字で寝る」という言葉があるように、添い寝が浸透している日本ではどうでしょうか。まだ議論されているところではありますが、いくつかの研究結果から「3~4歳まで添い寝をして親子の信頼関係を育てておけば、後はできるだけ早く子供部屋で寝た方がいい」という専門家もいます。

ただ、4歳ごろまでは子供が望んだときは添い寝をしてよく、5歳ごろまでは、子供が親に拒絶されたと感じないように、ひとり寝をする心の準備ができたタイミングを見計らって慎重に行うことが大切とする人もいます[*2]。寝室を分けるにしても、子供自身が望んでいる間は無理にひとり寝させるのは避けたほうが良いかもしれません。

なお、最初に紹介した博報堂のアンケートでは、寝かしつけに対する親の気持ちも調査しています。寝かしつけが親にとって「ストレス」か「幸せな時間」かという質問では、7割以上のママがストレスを感じている一方、「どちらかと言うと幸せな一時だと感じる」は23.5%、「すごく幸せな一時だと感じる」は5.3%となっていました[*1]。

寝かしつけが親のストレスでなければ、続けることもひとつの選択です。赤ちゃん期を過ぎて、親の都合で寝かしつけをやめるのが難しそうな場合は、子供がひとりで寝たいと希望するようになった時期に自立を後押ししてあげましょう。

子供がひとりで寝つけるようにする方法

1歳半以降の言葉がわかるようになった子供にひとりで寝てほしいときは、次のようなトレーニングを試してみましょう[*3]。

夜のルーティンを作って守る

寝るまでの行動を決めてルーティン化し、毎日実行しましょう。言葉がわかるようになった子供には、行動だけでなく言葉や絵も使って伝えると理解がスムーズです。子供が楽しみになるルーティンを作り、いったん就寝時刻を遅くすることも重要です。次のように進めてみてください。

1.まず親子で話し合い、寝る前のルーティンとして何をするか決めます。

2.子供にわかりやすい絵入りのポスターを作り、リビングに貼ります。

3.起床時間と昼寝の時間を整えます。朝は6~7時に起こし、昼寝もしすぎないように調整します。

4.そのルーティンで実際に寝つける時間まで、いったん就寝時間を遅くします。

5.ごほうびシールを用意して、できたらポスターに貼らせます。

6.就寝時間を少しずつ早めて元の時間に戻します。


子供自身に寝ようという意思を持たせ、よい寝つきかたを教えるために、ポスターを作って実行してみてください。

日中の生活リズムも大切に

また、夜スムーズに寝つけるよう、日中は次のポイントに気をつけて過ごしましょう。

・朝は日光を浴びる

・朝起きたら顔を洗って目を覚ます

・朝食をしっかり食べる

・日中はしっかり運動する

・昼寝をしすぎない

・テレビやゲームをする時間は決めておき、きちんと守る

寝つきやすくするための環境作り

寝室の環境も寝つきを左右します。寝室はできるだけ暗くして、快適な室温を保ちます。冬は19℃、夏は26℃前後が目安です[*3]。

寝る時にお気に入りのおもちゃや人形などを持たせるのもいいでしょう。寝具のカバーを子供の好きな柄やキャラクターにするなど、寝室に行くのが楽しくなるように工夫してみましょう。

子供の睡眠時間を確保するために

日本はほかの国と比べて、大人も子供も睡眠時間が短めといわれています。

十分な睡眠のために、ひとり寝が必要なことも

日本では、家族が同じ部屋で寝ている家庭が多くなっています。そのため、子供が親の寝起きする時間に合わせて生活することになり、親が十分な睡眠をとっていない場合、子供の睡眠時間も短くなるという指摘もあります。

子供自身の睡眠時間を確保するために、同じ部屋で寝るにしても、子供が先にひとりで寝つけるようにすることは日本の場合はとくに大切なのかもしれません。

子供の睡眠は大人と同じではなく、年齢に応じた睡眠時間を確保する必要があります。National Sleep Foundation(米国立睡眠財団)が発表した各月齢・年齢における推奨される睡眠時間と許容される睡眠時間は次の通りです[*4]。子供の睡眠時間が足りているかも、今一度見直してみましょう。

年齢(月齢)  推奨睡眠時間 許容睡眠時間
0~3ヶ月 14~17時間 11~13時間、18~19時間
4~11ヶ月 12~15時間 10~11時間、16~18時間
1~2歳 11~14時間 9~10時間、15~16時間
3~5歳 10~13時間 8~9時間、14時間
6~13歳 9~11時間 7~8時間、12時間
14~17歳 8~10時間 7時間、11時間
18~25歳 7~9時間 6時間、10~11時間

まとめ

「寝かしつけ」はいつまでする、いつ止めると決まっているものではありません。各家庭で異なるのはもちろん、国や文化によっても変わってくるものです。寝かしつけが親のストレスになっているなどの理由から子供にひとりで寝ついてほしいと思っていたら、ここで紹介した方法を試してみてください。無理に寝かしつけをやめることはありませんが、子供の睡眠時間を確保するのに役立つ場合もあるので、各家庭でどうするのがベストかあらためて考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修ドクター
医師・ 小児スリープコンサルタント 森田麻里子 先生
2012年東京大学医学部医学科卒。亀田総合病院、仙台厚生病院、南相馬市立総合病院麻酔科勤務を経て、19年昭和大学病院附属東病院睡眠医療センター非常勤勤務。夜寝なかった長男が3日で即寝体質になった経験をきっかけに、医学情報に基づき赤ちゃんの健康をサポートする「Child Health Laboratory」を2018年設立。著書に『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(ダイヤモンド社)、『東大医学部卒ママが伝える科学的に正しい子育て』(光文社新書。amazonランキング1位)がある。

(文:佐藤華奈子/監修:森田麻里子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]博報堂 広報室「子どもの睡眠・寝かしつけ」調査
[*2]吉田美奈:添い寝が子どもの心理的発達に及ぼす影響
[*3]森田麻里子・星野恭子:医者が教える赤ちゃん快眠メソッド,ダイヤモンド社,2020
[*4]Hirshkowitz M. et al.: National Sleep Foundation's sleep time duration recommendations: methodology and results summary, Sleep Health. 2015 Mar;1(1):40-43.

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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