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2021年05月06日 10:26 更新

【医師監修】生まれたての赤ちゃんってどんな感じ? 特徴とお世話のポイント

生まれたての赤ちゃんってどんな感じなの? 他の子もこんな感じなのかしら? 小さくてこわれそうで怖い……。そんな不安をもつママに知ってほしい、新生児の特徴とお世話のポイント、注意したいことをまとめました。

生まれたての赤ちゃんの見た目の特徴は?

生まれたての赤ちゃんの見た目
Lazy dummy

生後0日~28日(4週)未満の赤ちゃんを「新生児」といいます。ママのおなかの中で守られ育てられていた赤ちゃんは、出生により初めて母体から離れ、自分の力で呼吸し、栄養も自力で摂り入れていかなければなりません。

赤ちゃんにとってこの時期は、大きな環境の変化に対応する、とても大切な時間です。ここでは、まず外見上の特徴を見ていきますが、個人差が大きいことはお忘れなく。あくまでも目安として考えてください。

身長と体重は?

生まれたとき(出生時)の赤ちゃんの平均身長は、男子48.7cm、女子48.3cm。体重は男子2.98kg、女子2.91kgです[*1]。

なお、生まれたての赤ちゃんは胃がとても小さく十分な水分を摂取できないことや、体から不要な水分が出ていくことにより、生後4、5日ごろには出生児よりも体重が減ることがあります。これは生理的体重減少と呼ばれており、出生体重の10%以内までなら問題ありません[*2]。

とくに異常がない場合はすぐに元に戻り、生後1ヶ月までは1日に30g前後体重が増えます。それ以上にたくさん増えている分には問題はありません。

どんな体つき?

皮膚の色は、生まれた直後は全身が青みがかっていますが、数分で四肢以外の体幹部は速やかにピンク色になり、数時間で四肢も含め全身ピンク色になります。その後2~3日で、黄色くなることもありますが、普通2~3週間で消えます。

黄色くなる原因は、赤ちゃんは元々赤血球が多い状況で生まれてくることや肝臓の働きが未熟なために起こる「新生児生理的黄疸」です。これは生理的なものですが、黄疸の値が一定以上になると光線療法などの治療が必要になります。赤ちゃんとママの血液型不適合が原因で起こる黄疸の場合は、生理的黄疸に比べて黄疸の値が上がりやすいです。

頭の形も個人差がありますが、産道を通ってくるため、やや細長くなっていることが多いでしょう。これも徐々に治っていきます。また、産道を通るときに圧迫されて、頭などに産瘤(さんりゅう)というコブができていることもあります。これはむくみによるもので、すぐによくなります。髪の毛は、生後3週間ぐらいから抜け替わります。

白目に糸状や斑状の出血がある場合がありますが、これらもしばらくすると消えるのでとくに治療は必要ありません。また、お尻や腰、背中などに青いあざがあるのは、蒙古斑と呼ばれるもので、7~8歳ぐらいまでに自然に消えます。

出産直後の赤ちゃんの手足はやわらかくしなびています。手は強くぎゅっと握り、脚はややガニ股なのが自然な状態です。無理に指を伸ばそうとしたり、脚をまっすぐにしようとして力を入れてはいけません。特に脚は、無理にまっすぐにすると股関節脱臼を引き起こすことになるので要注意です [*3] 。

生理的な特徴

寝ている新生児
Lazy dummy

生まれたての赤ちゃんは、眠る、おっぱいを飲む、排泄する、泣くという行為を、短いサイクルで繰り返しています。この間に体のさまざまな機能はめざましく発達し、大きく変化していきます。

1日の様子

新生児は、昼夜の区別なく眠ります。おっぱいは2~3時間おきに飲み、おしっことうんちを頻繁にして、よく泣きます。

新生児の睡眠

1日のうち、16~20時間は眠って過ごします。1~2時間、目を覚ました状態でいると、次に1~4時間、眠るというパターンで、昼夜の区別はありません。

この時期は、大人とは逆で、入眠のときに動睡眠(後のレム睡眠に相当する)から始まり、次に深い眠り(ノンレム睡眠)が来ます。睡眠は脳や体、体内時計の発達に大切な役割を果たすため、眠りを妨げないようにしましょう [*4]。

新生児の笑い

生まれたばかりの赤ちゃんが、笑っているように見えることがあります。母乳を飲んだ後や眠りから目覚めた後などにも、微笑みが見られるため、「天使の微笑み」などと言われています。

しかしこれは、赤ちゃんが感情を表しているわけでなく、神経反射で顔の筋肉が引きつっているだけの「生理的微笑」というものです。それを聞いてがっかりする人もいるかもしれませんが、「生理的微笑」は、生後2ヶ月ごろ には消えてしまうので、よく目に焼き付けておきましょう[*5]。

新生児の目、耳

赤ちゃんの目は、生まれたばかりのときはぼんやりと明るさを感じる程度です。でも、耳はおなかにいるときからある程度聴こえているため、ママの声や大きな音に反応します。

哺乳量

新生児は胃が小さく、おっぱい・ミルクを飲む力もあまりないので、少量を何度も飲みます。

生まれたての赤ちゃんの胃の容量はサクランボ一粒分くらいの5~7ml程度。ママの方も、出産直後からおっぱいが十分出るわけでなく、だいたい2日目ぐらいから出始めることが多いようです。

それに合わせるかのように、赤ちゃんの胃の大きさも、生後3日目でクルミ大(22~27ml)、生後1週間でアンズぐらい(45~60ml)と急激に育っていき、飲める量がどんどん増えていきます[*6]。なお、母乳の出る量、赤ちゃんが1回に飲む量・飲む回数ともに、個人差が大きいです。

うんち・おしっこ

赤ちゃんが生まれてからおよそ24時間以内に出る最初の便を「胎便」といいます。胎便は100~200gで、濃い緑色~黒色で、のりのつくだ煮のような形状をしていますが、ほぼ無臭です。

おっぱいを飲み始めると、移行便といって、緑黄色に黄色い顆粒状のものが混じった便になります。生後3~5日目になると、黄色い便になり、においもするようになります。母乳の赤ちゃんのうんちは、甘酸っぱいにおいがし、ミルクの赤ちゃんのうんちは便のにおいがあります[*7]。

これも個人差が大きいのですが、排便の回数は1日3回~10回くらい、おしっこは1日6~30回くらい。おっぱいを飲むと、胃腸や膀胱が刺激されてすぐ出るという感じです[*3]。

原始反射

ヒトは脳の発達により、生存に必要なさまざまな機能を得ていきますが、生まれたての赤ちゃんは胎児のころに備わった動作が「原始反射」として残っています。

これらは外からの刺激で無意識に、反射的にする動きのことで、 正常な発達の過程、多くは生後3~4ヶ月ごろまでに消えてしまいます(ただし、大脳皮質の発達によって消失していくため、消失の時期は個人差が大きいです)。

この動作を見られるのは通常、生後ほんの一時期なので、録画しておくと思い出になりますね。逆に時期がきても消えない場合や、左右で反射が違う場合は、病気のサインにもなります。

乳探し反射

指や乳首が顔に触れると口をとがらせ、上下左右に顔を動かし乳首をとらえる反応。新生児期に出現し、生後4~6ヶ月で消える。

吸てつ反射

唇に乳首や指を当てると吸いつこうとする反応。新生児期に出現し生後4~6ヶ月で消える。

足踏み反射

足裏を床につけると一歩踏み出そうとする反応。2ヶ月ごろに消失します。

手の把握反射

手のひらに触れたものを握りしめる反応。生後3ヶ月ごろから消え始め、6ヶ月までにはほぼ消える。

モロー反射

急に頭を落下させると、手を開いたあとで抱き着こうとする 反応。およそ4ヶ月までに消失する。 
[*8]

赤ちゃんを迎える準備について

ベッド、おむつ、ティッシュなど…赤ちゃんを迎える準備のイメージ画像
Lazy dummy

産院から生まれたての赤ちゃんを連れて家に帰る前には、どんな準備が必要なのでしょうか?

ねんねの場所・寝具・室温

夜はママと同じ部屋、昼は家族がすぐあやせるリビングなどで寝かせるのがよいでしょう。ペットとは別室にします。また、赤ちゃんの寝床近くの家具は固定しておき、寒暖差の大きくなりがちな窓近くに寝かせるのは避けます。

ベッドにクッション状の緩衝材を敷いてある場合は赤ちゃんが頭を挟む危険があるので、取り外しましょう。また、下部に収納があり、床板の高さを調整できるタイプのベビーベッドでは、収納部分の上枠のすき間と敷具に赤ちゃんの頭が挟まれ窒息する事故も発生しています。

こうしたタイプでは、赤ちゃんがベビーベッドにいるとき、収納部分の扉はかならずロックする、収納部分の扉が勝手に開かないように固定する、ロックが壊れていたら使用しない、などの対策をとることが重要です[*9]。

なお、赤ちゃんは脊柱の曲がりが少ないため、やわらかいベッドや敷布団は不要で、やわらか過ぎるものはむしろ有害、体が沈みこまない程度の硬さが必要です。また、同じ姿勢では体の一部に圧力がかかります。新生児から生後6ヶ月くらいまでは、寝返りスペースを入れて、幅65cmくらい[*10]の寝具が望ましいでしょう。

敷布団の上には防水パットを敷きます。シーツはこまめに洗い、よく乾燥させて使いましょう。

新生児は体温調節がうまくできないため、室温は一定を保ち、ママより1枚多く着せたり、上掛けを1枚足す多くすることを目安に、その時快適な状態となるよう気を付けてあげましょう。掛け布団は、軽くて、保温性のあるものを使いましょう。

沐浴用品・沐浴スペース

ベビーバス、沐浴布の他に、沐浴前後のケア用品(体温計、綿棒、爪切り、保湿剤など)も必要です。沐浴スペースの室温は20~24℃にし、バスタオルや着替えはあらかじめ用意してから沐浴させます[*3]。

その他の育児グッズ

最近のベビー用品は機能性に優れ、デザインもおしゃれなものが多く、赤ちゃん用品店なら品ぞろえも充実しています。赤ちゃんのウエア(肌着も)や帽子、スタイ、くつした、紙おむつやおしりふき、哺乳瓶など、必需品がたくさんあります。

あると便利なものに、おむつ用ごみ箱(においを閉じ込めるタイプ)、授乳しやすい設計の授乳用ブラなどもありますが、その他にも新製品がどんどん出ています。すべてを買っておく必要はありません。購入する場合は、前もってインターネットで製品の特長をチェックしたり、先輩ママに使い心地を聞いてからにすれば、買いそびれや失敗が減ります。

生まれたての赤ちゃんのお世話のポイント

ママに抱っこされる赤ちゃん
Lazy dummy

出産後はママの体も疲れています。一人で頑張ろうとしないで、パパと協力し合い、周りの人の助けも借りてお世話をすることが大切です。

抱っこのコツ

首がまだ座っていない新生児を抱き上げるときは、首の下に腕を回したり、片手を首の下に入れ、もう片方の手をお尻から背中に回すなどして、首を支えるようにしましょう。

また、抱っこには、タテ抱き(正面抱き)、横抱きがありますが、股関節脱臼を防ぐため、正面抱き「コアラ抱っこ」をしましょう。これは、ガニ股状態の赤ちゃんの脚が広がった状態のままタテに抱くと、あたかもコアラが木につかまった形に似ていることから、こう呼ばれています。

両膝と股関節がM字型に曲がったままで使える「正面抱き用の抱っこひも」を使ってもよいでしょう。 横抱き用のスリングは開脚の姿勢がとれず、両脚が伸ばされる危険もあるので、使うときは注意してください[*11]。

授乳のコツ

出産から3~4日後までに出るおっぱいを初乳といいます。初乳には、さまざまな感染症から赤ちゃんを守ってくれる免疫物質がたくさん含まれています。

ただ、初めのうちは、ママも赤ちゃんもおっぱいの初心者です。母乳が十分出ないことはよくありますし、赤ちゃんもまだ上手に飲めむことができません。実は母乳育児をスムーズに進めるコツは、出産直後から赤ちゃんにおっぱいを頻繁に吸ってもらうこと。そうすることで、ママのおっぱいの量は徐々に増えていき、また赤ちゃんも成長とともに飲む量が増えていきます。

ただ、産後の一番体が辛いときにおっぱいを頻繁にふくませるのは簡単なことではありません。また、努力していてもさまざまな理由で母乳が出ない、増えないことだってあります。おっぱいがあまり出ない場合は、あまり考え込まずに、育児用ミルクを活用しましょう。

授乳し終わったら、赤ちゃんの顔を肩に乗せるようにしてタテに抱き、赤ちゃんの背中をやさしくなでて、ゲップをさせます。赤ちゃんは母乳やミルクと一緒に空気も飲みこんでいるからです。初めは上手にゲップが出ないときもありますが、ママが疲れない程度に背中をさすってみましょう。

おむつ替えのコツ

排泄も個人差が大きいものです。「うんち・おしっこ」の項で紹介したとおり、生後3~10日ごろまでのおしっこは1日6~30回程度、便は1日数回~10回程度とかなり幅があります。 おしっこは、授乳回数によって変わることもあり、また、うんちの場合は、母乳とミルクでは母乳育児の場合のほうが回数が多い傾向にあるようです。

海外の調査では、生後3ヶ月ぐらいまでの赤ちゃんでは母乳の場合の排便回数は一日平均2.9回、ミルクでは平均2回という報告があります[*12]。

おむつカブレは肌へのおしっこやうんちによる刺激と、紙おむつ(または布おむつ)による刺激が合わさり、さらに、赤ちゃんの肌荒れしやすい体質なども影響して引き起こされます。とくにおしっこやうんちによる刺激は大きいので、おむつはできるだけ頻繁に取り替えるようにしましょう。また、おむつの着け方も、きつ過ぎず緩すぎず、ちょうどよい具合を探っていきましょう。

沐浴のコツ

赤ちゃんは新陳代謝が活発で、うんちやおしっこで肌も汚れるので、できるだけ1日1回は沐浴させてあげましょう。新生児期はベビーバスを使います。時間は10分以内、おむつ替えやおっぱいを飲んだ直後ではない、赤ちゃんが目を覚ましているときに沐浴させます。

ベビーバスとは別に手桶か洗面器にお湯をはっておき、顔を拭いたり、石けんを流すときに使います。また、手ややわらかい洗い布と、刺激の少ないベビー石けんで、顔と体を優しく洗います。

なお、沐浴のやり方に慣れてきたら、大人が抱いて、浴漕に入れても構いませんが、湯音は38~39℃(冬場は40℃ほど)のぬるめのお風呂にしましょう[*3]。

まとめ

生まれたての赤ちゃんは、親にとって天使のような存在です。一方で、さわったら壊れてしまうガラス細工のように繊細なので、おっかなびっくりのお世話になってしまうことも。この時期は赤ちゃんもママ・パパも初体験のことばかりですが、焦らなくても大丈夫。新生児の特徴とお世話のコツに注意しながら、少しずつ育児に慣れていきましょう。大切なのはいっぱいの愛情を注いであげること。たくさん抱き、話しかけてあげながら楽しんでお世話できるとよいですね。ねんねの時間は、ママも産後の身体をできるだけ休めることを忘れないようにしてください。

(文:山崎ひろみ/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]厚生労働省 平成22年乳幼児身体発育調査
[*2]日本産科婦人科学会:産婦人科研修の必修知識2016-2018, p324, 2016.
[*3]『小児科医がママとパパに贈るこころとからだをはぐくむ子育ての本 すくすく赤ちゃん』改訂第2版 P16~21  田原卓浩他著 保健同人社 2019年
[*4]厚生労働省:未就学児の睡眠指針, p6~7
[*5]CHILD RESERCH NET 4. 天使のほほえみ
[*6]メデラ「新生児の胃の大きさの目安」
[*7]『カラー写真で学ぶ新生児の観察と看護技術』P5~6 櫛引美代子著 医歯薬出版 
[*8]日本小児神経学会HP 14.原始反射
[*9]消費者庁:木製ベビーベッドの収納扉が不意に開き乳児が窒息する重大事故が発生!, 2019.
[*10]助産学大系6第3版 母子の健康・生活科学, 青木康子ほか 日本看護協会出版会, 2006
[*11]日本整形外科学会, 日本小児整形外科学会「赤ちゃんが股関節脱臼にならないように注意しましょう」
[*12]小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン CQ10健常児の排便回数はどれくらいか、排便回数に英領を与える因子にはどのようなものがあるか

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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