【医師監修】男性で不妊症になりやすいのはどんな人? そのリスク因子と普段気を付けたいこと

【医師監修】男性で不妊症になりやすいのはどんな人? そのリスク因子と普段気を付けたいこと

不妊の原因のおよそ半分は男性側にあります。そう聞いて「うちの夫は……?」「自分は……?」と不安になる人もいるかもしれません。ここでは、男性不妊の概要や、なりやすさ(傾向)、普段から気を付けておくべきことなどを調べました。


男性不妊とは

不妊のイメージ
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不妊症のうち、男性側に明らかな原因があることを「男性不妊」と呼んでいます。まずは男性不妊の主な原因やリスクなどを知っておきましょう。

男性不妊は珍しくない

最初にお伝えしておきたいのですが、そもそも男性不妊は珍しいことではありません。不妊の原因が男女どちらにあるかについてはWHOが発表した有名なデータがあり、それによると下記のグラフのような割合であるとされています。

不妊原因の割合

図:不妊原因の割合 [*1]より作成

このうち、原因に男性が関わっているのは「男性のみ」と「夫婦両方」で、その数字を合計すると48%、約半数となります。つまり不妊症に悩む夫婦の、ほぼ2組に1組は男性側にも原因があるということ。男性不妊は決して珍しいものではないことが、わかると思います。

男性不妊にはどうしてなるの?

男性不妊になる原因は人によってさまざまです。したがって「これが原因」と一概に言うことはできませんが、大まかに以下のように分類することができます。

・精子を作る機能に問題がある(造精機能障害)
・精子の通り道に問題がある(精路通過障害)
・精巣上体、前立腺、精嚢(せいのう)といった臓器の機能に問題がある(副性器障害)
・ED(勃起不全)があるなど性行為ができない(性機能障害)

このうち原因として最も多いのは、精子を作る機能に問題がある「造精機能障害」で、2016年に公表された厚生労働省による調査では、男性不妊の原因のうち、82.4%を占めていたと報告されました。ほか、性機能障害13.5%、精路通過障害3.9%、その他0.2%であったとしています[*2]。

男性不妊のリスク因子

先ほど紹介したような男性不妊の原因は、遺伝や生まれもっての体質などが関わる先天性のものと、生活習慣などがリスクになって引き起こされる後天性のものとに分けられます。

具体的にどんなことが関わってくるのかを知っておきましょう。

生まれつきや小さいころの病気など

男の子のイメージ
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遺伝的要因や子供のころにかかった病気などは、男性不妊のリスク因子となり得ます。

例えば幼少期にヘルニアや停留睾丸など男性器に関連する部位の手術を受けたり、がんの治療を受けたりしたことがある、ムンプス(おたふく風邪)にかかって高熱が続いたり、睾丸炎を起こしたりしたことがある場合、精子を運ぶ管が詰まる、精子をつくる力が大きく下がり、精子の数が少なくなるなどといった可能性が考えられます。

そうしたことがなかったか、こちらも早めに確認し、場合によっては検査を受けることをおすすめします。

大人になってからかかった病気やケガなど

また、大人になってからの病気やケガなどによって精巣に損傷を受け、精子をつくりにくくなったり、勃起や射精をしにくくなったりということも。たとえば、糖尿病になると勃起障害や射精障害といった性機能障害を起こすほか、病気が進行すると精子をつくる力そのものが低下するおそれもあります。

上記以外にも男性不妊に関わる病気は少なくありません。心当たりのある方は後述の精液検査を早めに受けておいたほうがよいでしょう。

なお、精子をつくったり、射精に作用する薬剤や喫煙、アルコールの過剰摂取などの影響を受ける可能性もあります。

男性不妊の検査方法

検査のイメージ
Lazy dummy

男性不妊のリスクがあるかどうかは、検査を行うことで確認できます。男性不妊の検査は、精液検査と、泌尿器科的な検査とに大きく分けられます。どんな検査なのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)精液検査

精液検査は実際に採取した精液の量や、そこに含まれる精子の濃度・運動率・運動の質・形態、白血球の数などを調べる検査です。男性不妊の疑いで受診をすると、ほとんどの人がまずはこの精液検査を受けます。

検査の基準値はWHOによって定められていて、基準値を大きく下回る場合は泌尿器科的検査に進むことがあります。ただし、それらの値はあくまで参考値であり、基準値を下回る=子供ができないというわけではありません。また、男性の精液の状態はその日の体調などに左右されやすく、最初の検査で悪い結果が出ても、二度目の検査では問題ないとされる場合も多々あります。そのため複数回、検査を受けることが推奨されています。

そのほか検査を受ける際の精液の採取も、できれば検査直前に医療機関内で行うのが望ましいとされていますが、難しい場合は自宅での採取も可としている医療機関もあります。最近では自宅で簡易検査ができるキットも販売されていて、医療機関に行く前にまずはそれでチェックするという人も増えているようです。

(2)泌尿器科的検査

精液検査の結果で異常が認められた場合は泌尿器科的検査を行います。この検査では主に男性不妊に関連する病気にかかったことがあるかどうかの確認に始まり、睾丸(こうがん)などの外陰部の診察、血液検査などが行われます。

そのほか精液検査の結果によっては、染色体や遺伝子の検査、精嚢などのMRI検査、精巣の細胞を採取して調べる検査や勃起能力を調べる検査を受けることもあります。

予防できる男性不妊リスク

運動のイメージ
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男性不妊はその原因が先天性のものだったり、病気によるものだったりする場合が多く、基本的に予防が難しいことがほとんどです。ただし、中には生活習慣を変えることが状況の改善に役立つケースもあります。これといって思い当たる原因はないものの、精子の状態があまり良くないといった場合は、以下のことに注意してみましょう。

・アルコールの過剰摂取やタバコには、精子をつくる力を低下させると言われています。
 できれば深酒は避け、禁煙を心がけましょう

・精巣の温度が上がると、一時的ですが精子の生産と運動性に影響を与える可能性があります。
 長風呂や長時間のサウナは避けましょう

・化学物質が精子の生産に影響を与えることも考えられます。
 そうした労働環境で勤務している場合は、男性不妊に影響しそうな物質との接触を一時的にでも避けられないか確認してみましょう

・病気の治療のための薬が、生殖能力に影響を与えることもあります。
 定期的に服用している薬がある場合は、かかりつけの医師に相談してみましょう。
 なお、もしも現在使用している薬が生殖能力に影響のあるものだとしても、医師のアドバイスなしに使用をやめることは絶対にしないでください。
 必ず医師に相談した上で、どうするかを決めましょう

・適度な運動は精子の質を改善し、妊娠の可能性を高めるといわれます。定期的な運動を心がけましょう

・精液検査所見が悪い人が育毛剤を使用している場合は、育毛剤の使用を中止してみてください

このほか、睡眠不足や不規則な生活リズムも精子の状態に影響を与えるといわれています。睡眠時間をしっかり確保し、できるだけ決まった時間に就寝、起床するよう努めてみてください。

まとめ

このように男性不妊の原因はさまざまで、なりやすいかどうかも人によって異なります。先ほども紹介したように、今はスマホのカメラを使って自宅で精子の状態を簡易検査できるキットなどもあるので、そうしたものを使ってセルフチェックしてみるのもひとつの方法です。
まずは現状を把握し、その結果に応じて、この後どうするかを考えていくとよいでしょう。

この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 齊藤英和先生
梅ヶ丘産婦人科勤務、国立成育医療研究センター臨床研究員、神戸元町夢クリニック顧問、浅田レディースクリニック顧問、近畿大学先端技術総合研究所客員教授、1 more baby 応援団理事、ウイメンズヘルスリテラシー協会理事。山形大学医学部卒業後、同大学、国立成育医療研究センターを経て現職。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖専門医、医学博士

(文:山本尚恵/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]Comhaire FH. Definition of Infertility, Subfertility, and Fecundability: Methods to Calculate the Success Rate of Treatment In: Comhaire FH, editor. , ed. Male Infertility: Clinical Investigation, Cause Evaluation, and Treatment. London: Chapman & Hall Medical; 1996:123‐131.
[*2]厚生労働省:子ども・子育て支援推進調査研究事業, 我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究, 平成27年度総括・分担研究報告書 ダイジェスト版1:男性不妊患者数ならびに疾患分類䛾調査結果
http://www.j-andrology.org/news/web2017118.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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