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2023年01月19日 10:54 更新

【歯科医師監修】子供に口臭、2つの主な原因と対処法

子供の口臭が気になる……こんなお悩みを持つママは少なくないようです。「子供なのに?」と意外な感じがするかもしれませんが、口臭は大人だけのものではありません。子供の口臭の原因と対策について考えてみましょう。

子供の口臭、2大原因

子供の口臭が臭い
Lazy dummy

ニンニクや長ネギなど「においの強い食べ物を食べた後」に口臭がするのはわかるのですが、そうでない時は何が問題で口臭がするのでしょうか。

子供の口臭にはいくつかの原因がありますが、主な原因は2つ。「唾液の減少」と「むし歯や歯周病」です。

(1)唾液の減少

私たちの口の中には、数百種類、数億ともいわれる多くの細菌が存在します。この細菌が口の中の食べかすやお口の中の剥がれ落ちた粘膜などを分解・発酵させることで、口臭の原因となるガスを発生させます。細菌が多いと必然的に臭いが強くなり、少なければ臭いは弱くなります。

唾液には口の中の細菌の繁殖を抑える作用があるため、唾液の流れる量が減る以下のようなタイミングで口臭が強くなります[*1]。

・朝起きた直後(起床時口臭)
・お腹が空いている時(飢餓口臭)
・緊張している時(緊張時口臭)


これらは誰でも起こる生理的なもので、子供でも同じです。

(2)むし歯や歯周病による口臭

歯磨きをする子供
Lazy dummy

唾液が減少しているときに起こる生理的な口臭のほかに、何らかの病気が背景にあって口臭につながっている場合(病的口臭)もあります。病的口臭のほとんどは、歯垢(しこう:プラーク)、さらには歯肉炎や進行したむし歯などが原因となっています。

歯垢は、ねばねばした細菌のかたまりです。口臭の原因となる細菌も多量に含まれていて、さらに、歯垢が唾液やブラッシングで洗い流されずそのまま残っていると、むし歯や歯周病の原因にもなります。むし歯で歯に穴が空くと、そこに食べカスや細菌がたまり、強烈な口臭を引き起こすことも。また、神経までむし歯が進行したり、歯周病によって歯肉から膿が出ることも口臭の原因になります。

「歯周病って中高年の病気じゃないの?」と思うかもしれませんが、炎症が歯肉だけにとどまっている「歯肉炎」は子供にも意外に多く、小・中学生の約4割に歯肉炎がみられたというデータがあります[*2]。

子供の口臭、対策は?医師のチェックと家庭でのケア

では、子供に口臭がある場合、どのように対処したらいいのでしょうか。

生理的に起こる口臭の場合

起床時に口臭が気になる子供
Lazy dummy

起床時、空腹時、緊張時などに起こる口臭であれば、ほとんどの場合で治療の必要はありません。

「水や白湯でブクブクうがいをしてみましょう。うがい薬等は必要ありません。またご飯を食べたり、お茶や水を飲んで水分摂取したりすることで唾液が流れるので、においが弱まります。もちろん、そのあとのブラッシングは大切です」(石塚先生)

むし歯や歯周病など口の中に原因がある口臭の場合

大前提として、口の中を清潔に保つことが大切です。「歯みがき」だけでなくお口の中の細菌を減らすことが目標です。歯だけではなく、頬の裏や舌の汚れにも気をつけてあげましょう。

子供の歯みがきは、どう行う?

歯磨きをされる子供
Lazy dummy

歯ブラシはお子様のお口の大きさにあったものを選び、大人が仕上げみがきを行います。お子様が自分で持つ物は誤飲やケガを防止するような材質や形状のものがあります。

抱っこではなく、床に寝かせて頭をしっかりと固定してから、いきなりブラシを真上から入れるのではなく、まずはくちびる等にふれてブラシが入ることを教えてあげましょう。その後くちびるや頬を指でめくって、歯の位置を確認してブラシがどこにあたっているかよく見ながらブラッシングします。歯の間が詰まっている場合はフロスや糸ようじも使いましょう。

「指でめくらないと頬やくちびるにかくれて歯の根元がみがけなかったり、歯肉や上唇小帯等にあたって痛がったりして、ブラッシング嫌いになることが多いので気を付けましょう。
歯みがきの時間が楽しみになるような大切なコミュニケーションの時間になることが理想です」(石塚先生)

歯みがきは、できれば毎食後に行った方がいいのですが、それが難しい場合は、唾液の流れが少なくなり細菌が繁殖しやすくなる就寝の前には必ず行うようにしましょう。

歯科で治療を受ける

歯科で治療を受ける子供
Lazy dummy

むし歯や歯肉炎がある場合、歯科を受診して治療を受けましょう。歯科では治療を受けるだけでなく、歯石を取り除いたり、正しいホームケアの方法などの予防法についての指導も受けられます。また、歯並びが悪いと、口呼吸で口の中が乾燥したり、みがき残しが多くなるなどして、口内環境悪化を招きます。歯並びに関して気になることがあれば、併せて相談するといいでしょう。

そのほかの病気による口臭の場合

病的口臭には、むし歯などの口の中の疾患以外に、鼻やのどの病気(副鼻腔炎、咽頭炎など)や呼吸器・消化器系の病気でも口臭が起こることがあります。その場合は、まず専門医に相談しましょう。

原因に迷うようであれば

歯科で歯の診察を受ける子供
Lazy dummy

子供の口臭が気になるのに、先にあげた原因の中でもどれなのかわからない場合は、小児科や歯科を受診し、むし歯や歯肉炎による口臭か別の原因があるかをチェックしてもらうと安心です。近々健診が予定されているのであれば、その機会を利用してもいいでしょう。

生活上の注意 おやつのタイミングや咀嚼など

口の中に常に食べ物があると、それだけ細菌が繁殖しやすく、また唾液が本来の自浄作用を活かせず、口臭を引き起こしやすくなります。食事やおやつは時間を決めて、ダラダラ食べさせないようにすることも大切です。唾液の分泌を促すには、よく噛んで食べさせることも有効です。柔らかいものばかりでなく、成長に合った噛みごたえのあるものをメニューに加えましょう。

小さな子供と親は会話をするときの距離が近いので、親は子供の口臭を感じやすいという側面があります。生理的な口臭は誰にでもありますし、唾液の量や質には個人差があるので、医療機関を受診して特別な原因が見当たらなかった場合は、あまり気にしすぎないことも大切です。

まとめ

息を吐いて口臭をチェックする子供
Lazy dummy

子供の口臭は、健康上になんら問題がなくても、寝起きや空腹などで唾液が減ると発生します。一方、歯垢・むし歯・歯肉炎などの口の中の問題がある場合にも起こりやすくなりますので、その場合は歯科を受診して治療や正しいケア方法の指導を受けましょう。また、鼻やのどなどの病気が原因の場合は、そちらの治療をすることが大切です。いずれの場合でも、歯みがきなどのホームケアは欠かせませんので、1人でも上手にお口のケアをできるようになるまでは、大人が仕上げみがきをしてあげましょう。

(文:村山真由美/監修:石塚ひろみ先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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