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【医師監修】子どもに多い「マイコプラズマ肺炎」ってどういうもの?

【医師監修】子どもに多い「マイコプラズマ肺炎」ってどういうもの?

免疫機能が未熟な子どもは、さまざまな病気にかかりやすいです。肺炎もその一つ。風邪などをこじらせてなる場合もありますが、マイコプラズマという細菌に感染して肺炎になるケースも多いです。いざというときに適切に対応できるよう、感染経路や症状、治療、予防法について知っておきましょう。


この記事の監修ドクター
女医によるファミリークリニック 大井美恵子先生
金沢医科大学医学部医学科卒業、広島市立広島市民病院小児科を経て、女医によるファミリークリニックを開業。
当院では受診していただく患者様は家族と思い治すことをモットーとしており、生まれたときから、生涯を終えるときまで、ご家族全員のプライベートホームドクターを承っております。最新の小児科内科皮膚科・美容医療に、東洋医学などの代替医療やアンチエイジング医療を取り入れながら、 ご家族全員がいつまでも健やかで美しくあるためのオリジナル医療を提供しております。
http://www.familyclinic-hiroshima.com/

マイコプラズマ肺炎とは

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※画像はイメージです

肺炎とは、細菌やウイルスなどが原因で、肺が炎症を起こしている状態を言います。市中肺炎(日常生活の中で発症する肺炎)で多く見られる原因菌には、肺炎球菌、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なる)、黄色ブドウ球菌などがありますが、マイコプラズマもその一つです。[*1]

マイコプラズマ肺炎は小児での発症頻度が高い感染症のひとつで、特に6~12歳の子供の発症が多く見られるようですが、具体的にどのような疾患なのでしょうか。まずは、原因と感染経路、流行時期について見ていきましょう。

原因

マイコプラズマ肺炎は、Mycoplasma pneumoniae(マイコプラズマ・ニューモニエ)という細菌の感染により起こる疾患です。肺炎の中では比較的症状が軽いことが多く、入院の必要がないことがほとんどです。また、マイコプラズマに感染すると必ず肺炎になるわけではなく、気管支炎の症状で済む場合も多いです。

感染経路

保菌者の咳やくしゃみを吸い込むことによる飛沫感染と、保菌者の肌や粘膜に直接触れる、あるいは保菌者が触れたものにさわることによる接触感染が主な感染経路となります。

流行時期

マイコプラズマ肺炎はオリンピック開催時期の4年に1回の周期で流行ると言われていましたが、最近ではそのような傾向はなくなり、不定期に発生しています。年間を通して季節を問わず発生してますが、空気の乾燥する秋から早春にかけて多くなる傾向にあります。

マイコプラズマ肺炎の症状

マイコプラズマ感染症の特徴的な症状は、長引く咳です。発熱や頭痛などの症状が治まった後も3~4週間ほど咳が続きます。咳が長期間治まらない、徐々にひどくなっていくという症状が見られたら、マイコプラズマに感染している可能性があります。

具体的な症状としては、発症するとまず発熱と全身倦怠感、頭痛の症状が現れます。その後、3~5日経って咳が出始めることが多いです。マイコプラズマは主に「コホコホ」とした乾いた咳が出ますが、小児~青年では徐々に痰を伴う湿性の咳になっていくことも多いです。鼻炎の症状が出ることもあり、これは特に幼児に多く見られます。

この他、喘鳴(ぜんめい:呼吸がぜいぜいすること)、胸痛、咽頭痛、耳の痛み、腹痛や下痢などの消化器症状や、まれに皮膚の発疹が見られることもあります。

マイコプラズマ感染症は気管支炎で済んだり、肺炎になっても軽度である場合が多いですが、まれに重症化することもあり、場合によっては中耳炎、関節炎、肝炎、無菌性髄膜炎、脳炎などの合併症が引き起こされることもあります。

マイコプラズマ肺炎の検査と診断

マイコプラズマ感染症は風邪によく似た症状であるため、診断が難しい疾患です。軽度の場合はなおさらで、ベテランの医師でも風邪かどうかを見分けるのは困難です。そのため、持続的な咳などの特徴的な症状が見られたり、地域の流行状況などでマイコプラズマの感染が疑われる場合は、主に以下のような検査で診断を行います。

マイコプラズマ肺炎の検査方法

PCR法、LAMP法
近年最も優れているとされている咽頭からぬぐった液などからDNAを検出し、検査する方法です。培養法より迅速かつ簡便であるため、感染初期の確定診断としては最も優れた方法として日本小児科学会が実施を推奨しています。[*2]

マイコプラズマ肺炎の治療方法

マイコプラズマ肺炎は、軽度であれば外来治療で治すことができます。主な治療法は抗菌薬(抗生物質)の投与で、発熱や頭痛などの症状によって対症療法が併せて行われます。ただ、マイコプラズマ感染症は基本的に自然治癒が可能な疾患であるため、症状によっては抗菌薬を使用しない場合もあります。反対に、重症の場合は入院して専門的な治療を行います。

子どもがマイコプラズマ肺炎になってしまったら

最後に、子どもがマイコプラズマ肺炎にかかってしまった時のホームケアや、登園・登校の判断についてお伝えします。感染を広げないための予防法についても知っておきましょう。

自宅でのケア方法

何よりも、処方された薬を定められた回数、タイミングを守って、最後まできちんと飲み切ることが大切です。また、外出は控え、安静にしてしっかり体を休めましょう。

水分補給も大事です。特に、嘔吐や下痢などの消化器症状がある場合は脱水症状を起こす可能性があるので、こまめに水分を摂りましょう。


嘔吐などの症状があった場合は、症状が治まってきてから少しずつ食事を進めてください。始めは体に負担のないよう、ゼリーやプリン、茶碗蒸しなどの食べやすいものを、数回に分けて少量ずつ食べましょう。体が慣れてきたら、徐々に普段の食事に戻していってください。

登校・登園はいつから?

マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法による学校感染症の「その他の種感染症』に属します。明確な基準はありませんが、学校長が出席停止と判断した場合には登校を控えなければなりません。出席停止になった場合は、学校医や担当医が他の人にうつす恐れがないと判断した時に登校が許可されます。保育園や幼稚園も同様です。[*3]

感染を広げないための予防方法

飛沫感染を防ぐためにも、咳が出ている間は必ずマスクを着用しましょう。また、食器やタオルなどの共有はせず、できるだけ接触を避けてください。保菌者が身近にいる人は、手洗い・うがいを徹底することも大切です。

まとめ

肺炎と聞くと重大な病気をイメージしがちですが、マイコプラズマ肺炎は比較的軽度で済むことが多い疾患です。手洗い・うがいなど、日ごろから予防に努めることはもちろん、もし発症してしまっても、焦らず適切に対処してください。重症化を防ぐために大切なことは、子どものちょっとした変化を見逃さないことです。少しでも気になる症状が見られる時はかかりつけの病院に相談し、つらい時間が長引かないよう支えてあげましょう。

参考文献
[*1]『特集 感染症-肺炎- Topics5 治療』 日本呼吸器学会誌第2巻第6号 http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/002060695j.pdf

[*2] 『小児肺炎マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方』 日本小児科学会 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_130219_2.pdf

[*3] 『感染症各論』 厚生労働省http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/__icsFiles/afieldfile/2013/05/15/1334054_03.pdf

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.06.18)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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