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2021年01月27日 18:06 更新

【助産師解説】モロー反射ってなに?動きや時期、発生パターン、てんかんとの違い

赤ちゃんが急にびくっとするモロー反射。これはなぜ起こり、発達への問題はないのかと心配するママも多いでしょう。発生パターンや原因、てんかんとの違いについて助産師が解説します。先輩ママの体験談もチェック!

シャッター音に手足がバタバタ ~ママ体験談~

モロー反射とは

赤ちゃんにモロー反射のような行動が見えると、発達への影響はないのか、対策は必要なのかと心配するママも多いと思います。また、モロー反射という言葉はよく耳にするけど、具体的にどのような現象を指すのかわからないというママもいるでしょう。まずは、モロー反射とはどのような動作を指すのか、現れる時期や発生パターンについて解説します。

生まれてまもない時期にモロー反射が出現する赤ちゃん
Lazy dummy

モロー反射はこんな動き

生まれて間もない頃は、赤ちゃんが急にびくっとし、両手を開いて腕を外側に伸ばし広げることがあります。その後、両手を握り、抱きつくように腕を曲げ縮めることもあります。この一連の動作を、モロー反射と言います。

これは、赤ちゃんの時期だけに見られる原始反射(生まれつき備わった、自分の意思とは関係なく起きる反射的な反応)のひとつです。

モロー反射はどんな時にみられる?

モロー反射は、音や体勢の変化など、赤ちゃんが外からの刺激を感じた時に起こります。例えば、以下のような場合です。

 ・バタンと扉が閉まる音がしたとき。
 ・抱きおろしなどで上体を急に傾けたとき。

体験談でも、カメラのシャッター音や布団に置く瞬間がモロー反射のきっかけとなっていましたね。このように、音や体勢が反射の引き金となる場合があります。

モロー反応はいつまである?

モロー反射は赤ちゃんの時期だけに見られる現象で、成長とともになくなっていきます。見られる時期には多少の個人差がありますが、一般的にびくっとして両手を広げる動作は生後4ヶ月頃に消失し、遅くても6ヶ月には完全に見られなくなります。

モロー反射は病気ではない?

まったく知識がない状態でモロー反射を目にすると、これは何?赤ちゃん大丈夫?と心配になるかもしれません。右も左もわからない初産ではさまざまな不安があるはずなので、なおさらでしょう。ただ、モロー反射自体は低月齢の赤ちゃん特有の原始反射で、なんら問題はありません。赤ちゃんの生理的な反応と、病気との違いについてお伝えします。

原始反射ってなに?

まずは、「そもそも原始反射ってなんなの?」という部分についてお伝えしましょう。

前でも簡単に説明しましたが、原始反射とは生まれながらに備わった、自分の意思とは関係なく起こる反射的な反応のことを言います。これらは中枢神経系(ちゅうすうしんけいけい)の発達にともなって消失するので、時期がくれば自然となくなります。

原始反射には、モロー反射のほかにも主に以下のようなものがあります。

・把握反射(はあくはんしゃ)

手のひらや足の裏を軽く押すと握り返してきたり、指を折り曲げる反応です。

・自動歩行

両手で赤ちゃんの脇の下を支えて立たせるようにし、足を床に付けると、まるで歩行するかのように脚を交互に屈伸させるしぐさを言います。

・吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)

指や乳首を赤ちゃんの口の中に軽く入れると、吸い込むように強く規則的に吸う反応です。

他にも、バビンスキー反射、緊張性頚反射など、赤ちゃんの頃にはさまざまな原始反射が見られます。

出産後は医師もチェック

産婦人科などでは産後に、赤ちゃんの体のチェックとともにモロー反射を含めた原始反射も確認しています。モロー反射の場合は、主に以下のような方法で反応の現れ方をチェックします。

・赤ちゃんの頭の近くでベッドをたたく
・頭部と背部を45度くらいの角度で支えたあと、頭部を支える手を放し数センチ下に落下させ手の平でキャッチする※

※これは医療従事者が反射を診る方法で、不用意に行うと危険を伴います。家庭で行うことはやめてください。

モロー反射とは異なる「点頭てんかん」

モロー反射と似たような動きをする疾患に「点頭てんかん」があります。

点頭てんかんとは「West症候群」とも呼ばれるてんかんのひとつで、その大半が1歳未満に発症し、中でも生後4~7ヶ月の赤ちゃんに多く見られる疾患です。

てんかんはさまざまな原因で起こる慢性の脳疾患で、けいれんなどの症状が見られるのが特徴です。点頭てんかんは低月齢の赤ちゃんの発症がほとんどなので、けいれんの症状をモロー反射と勘違いして見逃してしまう可能性もありますが、反応の現れ方には明らかな違いがあります。

<点頭てんかんの症状>

・覚醒直後や眠いときに突然、頭部を一瞬ガクンと前屈させ、うなずくようなしぐさをする
・両上肢を振り上げたり、体を折りげるようにお辞儀をしたりする発作が数秒続く
・ほとんどの場合、意識は保たれている

上記のような症状が、生後3~11ヶ月の間に1日何回も現れる場合は、点頭てんかんが疑われます。また、重篤なてんかん性脳症の場合、発作が現れる前後は急に笑わなくなったり、不機嫌になるという特徴もあります。これまでできていたこと(例えば首のすわりや一人座りなど)ができなくなることもあります。

ただし、発生頻度は出生数1000に対して0.16~0.42[※]と多くないため、神経質になることはありません。もし、気になるような反応や動作が見られるときは、1ヶ月健診時や新生児訪問の際などに相談したり、一度かかりつけの病院を受診してみるといいでしょう。

まとめ

モロー反射は成人や幼児には見られない動きのため、病気ではないかと不安になるママも多いでしょう。でも、これは新生児特有の正常な反応で、生まれつき備わったものです。心配せず、今しか見られない動きをほほえましく見守ってあげましょう。

(文・構成:マイナビ子育て編集部、監修・解説:佐藤裕子先生)

※画像はイメージです

参考元
[※]「ウエスト症候群の診断・治療ガイドライン」日本てんかん学会ガイドライン作成委員会・てんかん学会ガイドライン作成委員会

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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