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2024年04月21日 10:31 更新

子どもがもともと苦手だったからこそ「生んで育てる覚悟」を持って出産に臨んだ/pecoさんインタビュー【3】

5歳の息子を育てるpecoさん。これまで28年の人生の中で、思いがけないさまざまなことを乗り越えてきました。pecoさんが「自分ならなんとかできる」という「自分への信頼感」の持ち方とは。

■「自分の感情だけで物事を測らない」

ーーエッセイ『My Life』には「覚悟と責任」というフレーズがたびたび出てくるのが印象的です。たとえば<大好きな人、家族とずっといっしょにいるだけに、何をしたらいいかを真剣に考えて、軽い気持ちではなくいつも覚悟と責任を持って選んできました>(CHAPTER1 My DogーーアリソンP51)とあります。pecoさんにとっての「覚悟と責任」とはどういったことでしょうか。

pecoさん(以下、peco) それまで誰が関わっていようとも、最後に決めるのは自分でしかないから、それを決めた自分の行動に責任を持つべきだと思っているんです。なかでも結婚や出産などの一大イベントは、自分ひとりの話じゃないからこそ、より「覚悟と責任」を意識しました。
とくに出産は、子どもの意志ではなくて、大人の願いだけでこの世に誕生してくれた命で、それってすごく重いことだと思うんです。だからこそ、これからなにがあっても、自分ではなく目の前にある大切なことをいちばんに考えられるようにするのが覚悟ーーかな、と思います。

ーーそれはつまり、子どもを最優先にする、ということでしょうか?

peco 「優先」というと自分を下げているように思うのですが、そういうわけではなくて。自分の感情だけで動いたり物事を測らない、ということかもしれません。

ーー20代でそこまで考えられる方はなかなかいないように思います。どうやって培われてきたのでしょう。

peco やっぱりまず根底に、自分のことが大好きで、「自分ならなんとかできる」というすごく根拠のない自信があります。大阪マインドといいますか、「もう知らん知らん! どうにかなるって!」というマインドで小さいころから育ってきて、なにごとにおいても「自分ならなんとかできる」と思っているんです。だから大きな決断をするときやたいへんなことが起きても、「自分なら絶対に乗り越えられる」という漠然とした自信があるし、その連続でいままでやってきました。

■「ムリしてないかな」と聞かれることがあるけれど

ーー「乗り越えよう」と意識して、強くあろうとする、ということでしょうか。

peco 「守るものがあると強くなれる」という言葉があるじゃないですか。ちょっと綺麗事のように聞こえるなと思ってたんですけど、息子が生まれてきてくれてから「この言葉ってほんとうにこういう意味なんだ!」とすごく実感したんです。いままでは根拠のない自信だけでしたが、息子が生まれてきてくれてからは、自然と「この子を守るために」という思いで勝手に強くなれるんですよね。

ーー無理をして「強くなろう!」ではなく。

peco そう、ほんとうに自然にできてしまう。そうさせてくれる子どもって、すごいなあと思います。最近も「pecoちゃん頼れる人いるかな」「ムリしていないかな」など言っていただくんですが、ほんとうにだいじょうぶで、ほんとうに無理をしているとかでもないんですよ。

ーー根底に、自分自身への信頼感がゆるぎなくあるんですね。

peco はい。「自分ならだいじょうぶ」がずっとあります。逆に「自分にはできないかも」と思ったことはあまりないんですが、それはつまり、「自分に信頼はありつつも期待は一切していないから」かなと思います。「できないかも……」ではなく、「できないけど別にいいや!」という感じでしょうか。
だからできなかったときにショックを受けないし、「そうそう、こんなもんや」と自分を責めることもない。それに、それを超えられたときには「自分すごすぎる!」と思える。自分のことはすごく信じていつつも、自分に対するハードルはとても低い、みたいな感じです。

ーー絶妙なバランスですね。確かに、自信を喪失するときは、自分への過信と現実とのギャップでガクン! となるものです。

peco 過信はまったくしていないです。だから夢もないし目標もないし。「目標は?」とか聞かれると「ないんです……」となってしまう。

■子どもがもともと苦手だったからこそ

peco 私は、目標=ゴールだと思っていて。ゴールを決めてしまうと、途中でつまづいたときにゴールが遠くなった感覚に陥ってしまうように思うんです。ゴール決めなければ最初からつまづいたことにも気づかないのかな、と。それに、別の道が探しやすいのかなと思います。

ーーエッセイには「覚悟」について、産後のエピソードでも書かれています。<何かことを始める前に「最悪の状況」を徹底的に想像します。子どもが生まれてきてくれたら自分のことは何一つできない、体も心もボロボロになるくらいの覚悟でいたんです>CHAPTER5 My Sonーー子育てについてP202)と。そしたらほんとうに寝ない子で夜中に泣きっぱなしだったと……。

peco 激しかったけど、もっと最悪の状態を予想して覚悟していたので、その予想よりもしんどくなかったんですよ。

peco 私はもともと子どもが好きではなくて、だからかもしれないですね。「子どもはめちゃくちゃなものだ」と思っていたから、とんでもない日々が待ち受けているんだろうなと思っていたからこそ、でしょうか。

ーー子どもに対する苦手意識があったけれど、生んで育てる覚悟を持った。

peco それはやっぱり、「ryuchellとだったらできる」と思ったからです。ryuchellとの子どもなんだから、「絶対に愛おしくてたまらないだろうな」って。

ーーそして実際に生まれたらーー。

peco 「この子のためたらなんでもがんばれる」という自分になっていたんです(笑)。

■pecoさん/タレント、ブランドプロデューサー

1995年6月30日、大阪府出身。原宿系ファッションのカリスマ読者モデルとして10代を中心に支持され、パートナーのryuchellとテレビ番組やTVCMなど多数出演。一児の母になった現在は、育児やライフスタイルを映したSNSが人気。2023年に自身がデザイナー・プロデューサーを務めるファッションブランド「Tostalgic Clothing」を開始。2月に初のエッセイ本『My Life』(祥伝社)を上梓した。

(撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)

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