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2024年02月18日 10:17 更新

【家庭での性教育】「必要だと思うが実施はしていない」が半数以上、子どもへの性教育にあたって学んでおきたいことは?

日本ではよく性教育の遅れが指摘されます。学校での教育が充実することももちろんですが、小学校入学前から家庭で性教育をすべきか、悩む人も増えているのではないでしょうか。そこで今回は、幼児の保護者を対象にした、子どもへの性教育に対する意識を探っていきます。

認可保育園、認証保育所などを運営する社会福祉法人どろんこ会は、どろんこグループの施設を利用している約6000の家庭を対象に、性教育に関する学習ニーズについて調査を実施しました。そこで本記事では、同調査をもとに保護者自身が受けた性教育の経験や、家庭での性教育の実践状況をお伝えします。

性教育を受けたことがない親は約15%

まず、保護者自身が「これまで性教育を受けたことがあるか」を聞いた結果ですが、受けたことがある人が73.6%と大多数を占めました。その一方、受けたことがない人は15.7%、受けたか分からないという人は10.7%でした。性教育を受けていなかったり、受けたかどうか曖昧な人が4人に1人以上というのは多い印象を受けます。

どろんこ会「幼児期の性教育意識調査2023」より

「性教育を受けたかった」親は8割以上

では、性教育を受けたことがない、または「分からない」という保護者に「性教育を受けておけばよかった、または受けたかったと思うか」を聞いてみると、83.9%の人が「はい」と回答しています。多くの人が性教育を受ける機会がなかったことを残念に感じていることがわかりました。

どろんこ会「幼児期の性教育意識調査2023」より

性教育を受けたかった時期は「乳幼児期」がトップ

さらに、性教育を受けておけばよかったという人に「いつごろ性教育を受けたかったか」を聞いたところ、最も多かったのが「乳幼児期(0~5歳)」で45.9%でした。僅差で「小学生」が42.9%となっています。性教育を受ける機会がなかった保護者の多くは、低年齢での性教育の必要性を感じていることがうかがえる結果です。

どろんこ会「幼児期の性教育意識調査2023」より

どのような性教育を受けたかったか

では、具体的にどのような性教育を受けておけばよかった、あるいは、受けたかったと思っているのでしょうか? 上位にあがったのは「プライベートゾーンやプライベートパーツについて」(78.0%)、「男女の体の違い、発達や発育について」(75.1%)でした。もっとも、そのほかの項目も5割以上が多く、まんべんなく学びたいという人が少なくないこともうかがえます。今、子育てをしているなかで、包括的な性教育の必要性を感じている保護者が多いのではないでしょうか。

どろんこ会「幼児期の性教育意識調査2023」より

家庭で性教育を実施しているのは3割未満

ここからは、家庭での性教育はどのような状況なのか、という点を見ていきます。

まず、「現在、家庭で性教育を実施しているか」という質問に対して、最も多い回答は「必要だと思うが実施していない」で51.7%でした。また、「実施していない」は20.3%。したがって7割以上の保護者は家庭での性教育を行っていないということになります。性教育の必要性を感じている人は多いものの、実際に取り組めている家庭はまだ少ないようです。

どろんこ会「幼児期の性教育意識調査2023」より

家庭での性教育にあたって学んでおきたいこと

続いて、家庭で性教育をしたり、子どもと性について話をする場合に「事前に学んでおきたいこと」は何かを尋ねた結果がこちらです。

「男女の体の違い、発育や発達についての知識や伝え方」(70.7%)と「プライベートゾーンやプライベートパーツの伝え方」(70.5%)がほぼ同率で7割以上となりました。続く「自分や相手の体・命の大切さの伝え方」(67.4%)、「自分の体の守り方」(67.1%)も7割近くとなっており、この4項目はとくに選ぶ人が多いとわかります。

どろんこ会「幼児期の性教育意識調査2023」より

また、事前に性教育について学んでおきたい理由としては、次のような声がありました。
自分自身が知らないことがたくさんあるので、一からちゃんと学んで何を伝えるべきかを考えたい。
積極的に性教育が実施されなかった世代なので、正しい情報を学んでおきたい。
など、自分自身の知識をまず深めたいという人。ほかにも、
全て必要なことだと思うから。またLGBTQについては、子ども自身がもし悩んだ時に周りにすぐ打ち明けられる環境を作っておきたい。
権利やジェンダー等については自身の学びが不十分。中途半端や不十分な内容を教えても理解の不一致や本人の納得につながらないと考えるため。
など、多様性の時代を踏まえて知識を増やしたいと考えている保護者の声も聞かれました。

まとめ

幼児をもつ保護者の多くは、幼児期からの性教育の必要性を感じているようです。しかし、家庭での性教育を実施できている人は3割未満でした。また、自分自身がかつて性教育を受けたことがなかったり、分からないという人は4人に1人以上にのぼります。
どう伝えれば自分自身の体や心、命の大切さを理解してもらえるのか悩んでしまう保護者も多いのでしょう。しかし、子どもの頃に正しい性の知識を身につけないと、インターネットやSNSから間違った情報を正しいものとして受け取ってしまう可能性もあります。
性教育の内容自体が時代によって変化しているので、昔の知識が通用しなくなっている面もあるでしょう。子どもへの性教育をきっかけに自分の知識もアップデートし、親子で性について話せる機会を持てるといいですね。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■幼児期の性教育意識調査2023/どろんこ会
<保護者への性教育に関する学習ニーズ意識調査>
調査対象:どろんこ会グループの保育園、発達支援つむぎ、学童保育室、放課後等デイサービスを利用している保護者(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、茨城県、福岡県、宮城県、福島県、沖縄県、新潟県、兵庫県、群馬県在住)
調査時期:2023年8月1日~8月31日
有効回答数:3176人(母親86.5%、父親13.2%、親族0.3%/20代7.1%、30代63.2%、40代28.6%、50代0.9%、60代以上0.2%/利用しているお子様の性別:男54.6%、女44.4%、無回答0.9%)

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