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2024年01月03日 07:31 更新

癇癪を起こして泣き叫ぶ子のそばを、そっと離れるお母さんの気持ち……すごくわかるんです。/香椎由宇さんインタビュー【3】

俳優の香椎由宇さんは、現在、中学生と小学生のお子さんのママ。香椎さんも、育児に悩んでいた時期があったそう。余裕を持てるようになったきっかけは? 等身大な子育てトークを聞きました。

「この子はどうなるんだろう」という漠然とした不安

ーー香椎さんは「チャイルドマインダー」の資格を取得されているんですよね。

香椎由宇さん(以下、香椎) はい、勉強して資格を取ったのは4年くらい前ですね。きっかけは、上の子の育て方で「子育てって、こんなに大変なの……!?」と悩んでしまって、どうにか自分で予習をしておかないとまずいぞ、と思ったことでした。

ーー予習、ですか?

香椎 上の子は赤ちゃんのときからずっと、こだわりが強いタイプ。「この子はこの先どうなるんだろう」という不安が大きかったんです。そのとき身近に、上の子の年齢以上の子どもを育てているママ友がいなくて、成長して大きくなったイメージがわかないというか、先の見通しも持てなかったんですね。
 それでいろいろ調べたところ、チャイルドマインダーの勉強をすることで0歳から12歳までの成長について理解できると思って、「これだ」と。

ーー学んだことは実生活でどのように生かされましたか?

香椎 「いろいろなタイプの子どもがいるんだ」と学べたことが、すごく勉強になりましたね。それぞれいろいろな個性があるのだとわかり、それぞれの子の個性に合わせた接し方がわかるようになったのは、すごくいいことでした。

外で泣いている子に声をかけたことも

ーーそれまで持っていたご自身の価値観が、広がった感覚ですね。

香椎 広がりました。それに、気持ちの余裕ができました。それまでは、外で癇癪を起こして泣き叫んでいる子どもと親御さんを見かけると、「わかるよ……! お母さん、大変だよね……」なんて思っていたんです。
 お母さんは「もう慣れていますよ」という表情で、「放っておけば落ち着くから、放っておこう」としていることが多く、クールダウンさせるためにお子さんから少し離れていくこともありますよね。私もそうだったので、気持ちがすごくわかります。
 たとえばそういう場面で、第三者として子どもに声をかける方法を学びました。

ーー香椎さんが声をかけるんですか?

香椎 そういうこともありますし、私も子どもと一緒にいたら、「ちょっとあの子のところに行って声をかけてみなよ」と促したり。そうすると癇癪を起こしていた子はびっくりすると同時に気持ちが切り替わって、落ち着いて、お母さんのところに向かいます。

ーー声をかけてくれたのが香椎さんだと気づいたら、お母さんもすごくびっくりしますよ。

香椎 たぶん気づいていないと思います(苦笑)。

「できるだけ子どもたちのやりたいことを、受け入れたい」

ーーご夫婦では、お子さまとの関わり方に共通の指針などはありますか?

香椎 うーん、すべてにおいて行き当たりばったりで、長い目で見て「こうなってくれたらいいな」というのがないんですよね(苦笑)。なので、子どもが「これをやりたい」と言うことは、とりあえず「やってみれば」というスタンス。それで痛い目を見ることもありますが……(笑)。
「できるだけ子どもたちのやりたいことや知りたいことを、受け入れたいよね」というのは、夫婦共通のスタンスかもしれません。

ーーしかし実際に子育てしていると、子どもの「やりたい」にどこまで付き合うべきか、加減が難しいと感じます。

香椎 ね。本当に難しいし、時間にも限りがあるし。「あれやりたい、これやりたい」と言われても、タダでできることじゃなかったりもしますしね。その辺の折り合いが、ものすごく難しいです。今振り返ると、小さい頃は習い事よりももっと公園で遊ばせてあげればよかったのかな、と思ったりもします。正解がないので、悩みますよね。

ーー習い事はいろいろしていたんですね。

香椎 そうですね。でも「やりたい」と言ったから通わせたけど、すぐに「辞めたい」と言うし。「え、やるって言ったの自分じゃん……」って。

「やめぐせがつく」というけれど……

ーーそう思いますよね(笑)。

香椎 そうなんですよ。それで辞めると「やめぐせがつくんじゃない?」と言われることもあるし、私自身もそう思っていたので、葛藤しました。そこで最終的に、「そのつど目標を作って、それを達成したら辞めようか」と折り合いをつけたんです。「辞めてもいいけど、とりあえずクロールができるようになるまでやろうか」とか。近めのゴールを決めて、そこまでは頑張ってみようって。

香椎 そんな中で、空手だけは辞めさせなかったんですけどね。

ーーなぜでしょう?

香椎 これから大きくなってなにかあったときに、自分の身も周りのことも守れるようにいてほしいから、「辞めたい」と言われても空手だけは通ってもらっていました。今でも続けています。

ーーもう「辞めたい」とは言わなくなったんでしょうか。

香椎 もう言わなくなりました。でも本当に長かったです、「辞めたい」と言っていた時期が(苦笑)。ただ、空手道場の先生が「無理しなくてもいいんだよ」と子どもに寄り添ってくれる方たちだったので、なんだかんだで続けてこられたというか。本当にいい方たちに巡り合うことができて、恵まれていると感じます。

香椎由宇さん/俳優

1987年2月16日生まれ、神奈川県出身。2001年にデビュー。2005年の主演映画『リンダ リンダ リンダ』をはじめ、さまざまなドラマや映画作品で活躍。2022年に『恋なんて本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)で8年ぶりに連続ドラマレギュラー出演。2023年は『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)で物語の鍵を握る女性を演じるなど、活動の場を広げている。

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衣装協力)
コート¥44,000(AMERI/Ameri VINTAGE)
タートルネック¥15,400 シャツワンピース¥48,400 スカート¥39,600(レキップ)
ピアス¥71,500 リング¥305,800(マリハ)

(スタイリスト:後藤仁子 ヘアメイク:神戸春美 撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)

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