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2024年01月03日 07:36 更新

「“女優復帰”ではなくゼロからのスタート」新しい自分を見つけてもらった/香椎由宇さんインタビュー【4】

妊娠・出産を経て2022年、8年半ぶりの連続ドラマレギュラー出演で際立った存在感を発揮している俳優・香椎由宇さん。どんなことを考え、どのような思いで復帰したのでしょう。現在の仕事と育児の両立についても聞きました。

“再開”ではなくゼロからのスタート

ーー2022年にドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)で8年半ぶりに連続ドラマのレギュラー出演に挑み、本格的に俳優業を再開されました。それまで、どんな心境ですごしていましたか?

香椎由宇さん(以下、香椎) やっぱり仕事に関しては、常に不安でした。特にこの世界は移り変わりが早いので、不安や焦りがあったんです。なので、いまこうして少しずつお仕事を再開させてもらい、「どれだけの人が私のことを知っているんだろう」「これからどれだけの人に見てもらえるんだろう」と思うと同時に、「どうやって広げていこうか」と考えています。
 そう思えるまではやっぱり、忘れられることが辛かったですが、離れていたからこそ今、いいきっかけをもらえたな、と。「"ゼロスタート”にできるな」と思って出ています。

ーー“復帰”や“再開”ではなく、ゼロからのスタート、という表現なんですね。

香椎 そうですね、リスタート。そういうふうに思えたのは、自分にとってとてもラッキーだったと思います。

ーーなぜそう思えたんでしょう。

香椎 自分も年齢を重ねましたし時代も変わったのか、オファーをいただく役柄が、以前とまったく変わったんです。たとえば『恋なんて~』では、すごくびっくりするようなセリフをはっきりと言う役柄で。
 私のイメージってたぶん、「喋らずにキレる人」みたいなのが残っているんじゃないかなと思うんです。どちらかというと、キツイ人。みなさんはよくいい言葉で「クールビューティー」と言ってくださいますけど……「あ、冷たいのね」みたいな(笑)。

キャリアはあるけど「新参者」として

香椎 そういう印象を、なかったことにできるな、というのがリスタート。もうちょっと笑ったり、感情を出すことが多い役柄が、リスタートした時点で来るようになったんです。私自身も以前のイメージを引きずっていたけれど、「あ、そうじゃないんだ」と思えたことは、すごく大きかったですね。

ーー仕事観も変わりましたか?

香椎 変わりましたね。ブランクの間にコロナ禍もあり、現場に行くとまったく知らない状況の現場があって、ああ、これは本当に「新参者です」と言ったほうがいいな、と。なので、この世界にいる年数は長いけれど、わかったような顔をせず、素直に「わかりません」というのを全面に出しています。

ーーキャリアがあって「わかりません」と言うことは、なかなか難しいことだと思います。

香椎 周りは「いやいや、わからないじゃないよ」と言うかもしれませんが、本当にわからないことが多くなっていたんですよ。

ーー休業中は、ご家族から復帰を促されることはなかったのでしょうか。

香椎 まったくなかったです。「やりたいならやれば」くらいのことはありましたが、「やればいいのに」とは言われませんでした。『恋なんて~』の出演オファーが来たと話をしたときも「本当にやりたいならやればいいと思うよ」という感じだったので、「じゃあやろうかな」と。

「家に帰ってお母さんがいない」を受け入れる子どもの順応性

ーー復帰作品に出演することは、どのように決めましたか。

香椎 単純にオファーをいただき、台本を読んだからですね。自分がいままで求められていたものと違うものを求められていることは、いいきっかけになると思いました。それで家族に復帰について相談すると「相談してくるということは、やりたいんでしょ?」という感じでした。

ーー仕事と育児は、どのように両立していますか?

香椎 家庭内の生活リズムや家族のやることが少し変わって、まだあまりうまくバランスを取れていないと思います。最近少しずつ「この時間だったら大丈夫」と、自分が稼働できる時間がわかってきたところです。
 子どもたちの視点で考えると、家に帰ったらお母さんがいるのが当たり前だったのに、撮影期間は私があまりいない。家族の協力はありましたが、「お母さん、いないんだ」という経験をして、変化が大きかったと思います。ただ、子どもたちは本当に柔軟なんですよね。新しい生活に順応してくれています。

ーー香椎さん自身は、「新しい私」に出会いましたか?

香椎 そうですね、先ほど話したように、リスタートして新しい自分を見せていけたらいいなと。それとプライベートでは最近、新たにマシンピラティスを始めました。

ーーいいですね! もともと運動はお好きなんですか?

香椎 全然です(笑)。通っている友達が「すごくイイよ!」と言うので行ってみると、本当によくて。体質的にすごくむくみやすいのですが、マシンの力を借りて無理なく体を動かすことができるので、1時間もやると見違えるようにむくみが取れて体もスッキリします!

「午前中に夕飯も作って、午後はひたすらダラダラします」

香椎 マシンピラティスはまだ始めて1ヶ月ほどですが、週1回なので日時を決めて、無理なく生活リズムのひとつとして取り入れられました。基本的には、家事も午前中にすべて終わりにして、午後はダラダラしたい人なので、用事は午前に集中させています。

ーー香椎さんの「ダラダラ」、想像がつかないのですが……。ソファでゴロゴロ、みたいな感じですか?

香椎 そうそう、ごろんとしながら刑事ドラマの再放送も観ますし、情報番組も見ますし(笑)、もうイメージ通りのダラダラです。午前中に家事も夜ご飯の準備までイッキにやってしまうので、午後は本当に動けません(笑)。ちなみに、今夜はオムライスです。もう作ってきました。

香椎由宇さん/俳優

1987年2月16日生まれ、神奈川県出身。2001年にデビュー。2005年の主演映画『リンダ リンダ リンダ』をはじめ、さまざまなドラマや映画作品で活躍。2022年に『恋なんて本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)で8年半ぶりに連続ドラマレギュラー出演。2023年は『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)で物語の鍵を握る女性を演じるなど、活動の場を広げている。

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衣装協力)
コート¥44,000(AMERI/Ameri VINTAGE)
タートルネック¥15,400 シャツワンピース¥48,400 スカート¥39,600(レキップ)
ピアス¥71,500 リング¥305,800(マリハ)

(スタイリスト:後藤仁子 ヘアメイク:神戸春美 撮影:松野葉子 取材・文:有山千春)

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