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2023年10月02日 07:07 更新

無理に止めるはNG!「待つ」ことが大事! 子どものこだわり行動が見られた時は……|声かけ・接し方大全#3

通常学級に通う小中学生の中で、発達障害の可能性がある子は8.8%いるとされています(2022年、文部科学省調査)。そんな特性がある子どもたちへの対応をまとめた「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」(講談社)は、親としての“気づき”が満載です。

発達障害がある子、その可能性がある子、そうでない子……いろいろな子どもたちがいますが、「我が子のいいところを伸ばしたい」と思う気持ちは全ての親に共通しています。そんな方に知っていただきたいことを、元小学校教諭で現発達支援コンサルタントの小嶋悠紀氏の解説でお届けします。

第三回の今回は、「向き合い方のルール②」「次の行動へ誘導するには」についてです。

無理に止めるより「待つ」

無理に止めると…
無理に止めると…
▲これでは行動の切り替えは無理。では、どうすればいいでしょうか?

画:かなしろにゃんこ。
「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より

ある行動から別の行動へ切り替えることを「シフティング」といいますが、こだわり行動が出ている子は、このシフティングができなくなっています。そこへ大人が介入して切り替えさせようとすると、マンガのように収拾がつかなくなるかもしれません。

子どもからすると、〈ここまでやっておきたい〉と思って、必死に、あるいは夢中になっているところに、急に他人が割り込んでくるから混乱するのでしょう。

こだわり行動が見られたら、無理に介入するより、行動が終わるまで「待つ」ほうを選ぶようにしてください。大人がいったんこだわりを受け入れれば、子どもがイライラすることもなくなります。

「なんとかしなければ」「わがままは許されない」──そう考える人がいるかもしれませんが、こだわり行動は脳の特性によるものなので、介入しても治りません。

それでも、成長とともに薄れる「こだわり」もあります。その意味でも、「待つ」ほうがいいのです。

「こだわり行動が延々と続くのは困る」──そう思った人、大丈夫です。どんなこだわり行動も、時間がたてば区切りを迎えるし、いつか終わります。区切りがつくまでしっかりと「待ってあげる」ほうが、次の活動へシフティングしやすいのです。

子どもと「終わり」を決める

子どもに尋ねる
子どもに尋ねる
画:かなしろにゃんこ。
「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より

子どもが望んだとおりに動いてくれないとき、大人は「終わり」を勝手に決めて、それを子どもに押しつけようとしがちです。でも、私の経験からいって、それで行動の切り替えがうまくいったためしはありません。

こだわり行動を終えるタイミングは、子どもに決めさせたほうがいいのです。

前項で紹介したように、子どもが一息つき、こだわり行動に夢中になっていた意識が緩む瞬間が見られたら、大人はまず共感し、続いて、

「あと何回で終わらせる?」
「あと何分で戻ってこられるかな?」


などと子どもに聞いて、終わりを自分で決めさせてください。

子どもに決定を委ねても、うまく決められないようであれば、

「あと5分だったらどうかな?」

と、大人から提案してみましょう。子どもが「それで終わらせる」とか「うん」などと同意してくれればOK。きっと守ってくれるはずです。

大人が決めたルールに納得できず、従えないという発達障害の子もいます。また、大人が決めたことが難しすぎて、子どもには守れない、ということも往々にしてありますが、自分で決めたことなら守ろうとするでしょう。だから子どもに決めさせるのです。

書籍『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』について

発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル(講談社)
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これまで2000人を超える人の支援に関わってきた特別支援教育のエキスパート・小嶋 悠紀氏が送る「支援スキルの大全集」。イライラ、パニック、暴言・暴力など、解決の難しい問題にも効果があります。

✅ こだわり行動を終わらせて、切り替えてもらうコツ
✅ パニック寸前になっている子の見分け方
✅ 怒りの爆発を防ぐために、最初にかけたほうがいい一言
✅ 順番を守れない子に、順番の守り方を教える方法
✅ 不安を募らせがちな子との向き合い方
✅ 反抗的な言動を口論に発展させない「返し方」


など、多くの発達障害・グレーゾーンの人と関わるなかで磨き上げられた、子どもたちへの「声のかけ方」「接し方」、そしてアセスメントの100の方法が紹介されています。

紹介画像

<2児の母・マイナビ子育て編集者が読んでみた!>
事例がとても具体的にわかりやすく漫画やイラストで描かれており、「あーこれはやりがち」「こうすればよかったのか!」と反省しつつ、気づけば夢中で読んでいました。夫に共有したいページに付箋を立ててたら、本が付箋だらけに……!! イライラや不安を抱きつつ、手探りで子育てしている保護者にとって救いとなるヒントに溢れた一冊です。

著者|小嶋悠紀氏について

1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。2023年より現職。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)などがある。
■Instagram:@oshietekojit

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