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2023年10月01日 07:07 更新

タイミングと基準が大事! 子どもを伸ばす効果的な褒め方とは? |声かけ・接し方大全#2

通常学級に通う小中学生の中で、発達障害の可能性がある子は8.8%いるとされています(2022年、文部科学省調査)。そんな特性がある子どもたちへの対応をまとめた「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」(講談社)は、親としての“気づき”が満載です。

発達障害がある子、その可能性がある子、そうでない子……いろいろな子どもたちがいますが、「我が子のいいところを伸ばしたい」と思う気持ちは全ての親に共通しています。そんな方に知っていただきたいことを、元小学校教諭で現発達支援コンサルタントの小嶋悠紀氏の解説でお届けします。

第二回の今回は、「知っておきたい基本ルール③」「ほめる点を見つけるために」「学んでほしいことがあるなら」についてです。

「目を合わせてきたら」ほめる

ほめるチャンス到来
ほめるチャンス到来
画:かなしろにゃんこ。
「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より

子どもが「望ましい行動」を起こした直後にこちらを見るようであれば、それは「すぐ」ほめるべきタイミングです。

言いかえると、「目が合った瞬間に必ずほめる」──これが大事なのです。92ページに書いた「即時性」が強く求められる場面です。

ほめるタイミングを逃している親や教師は、意外と多いようです。望ましい行動をしたあと、子どもが目を合わせてきたら、そのときは必ず、何よりも優先して子どもをほめてください。タイミングを逃すと、望ましい行動を強化できません。

ですが、早すぎてもいけません。

たとえば、子どもがこちらに目を向けることもなく、望ましい行動を続けている場合。そのような場合は、そばで見ていて、一区切りついたところで、

さっきのあの○○(行動)、よかったよね」

というように、子どもに行動を思い出させながらほめるといいでしょう。子どもが何かをしている最中に、それを中断してまでほめる必要はないのです。

「前後比較」しよう

現状だけをほめる
現状だけをほめる
画:かなしろにゃんこ。
「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より

子どもがある行動をしたとき、「ほめる/ほめない」を決める基準はどこにあるのでしょう。常識に照らして「いい行動」だったらほめるのでしょうか?

私は、ほめる基準は「子どもの成長」にあると思います。

過去のその子と比べて、今のほうができると感じたら、それこそほめるチャンスです。言いかえると、過去と現在を比較する「前後比較」でほめるのが大事、ともいえます。

前回よりもきれいに雑巾がけができてるね!」
「今の返事は、先週よりも気持ちいいね!」

というように、前よりもよくなったことを強調するほめ方は、効果も出やすいのです。

よく、「どこをほめていいかわからない」「ほめるところが見つからない」という人がいます。そういう人は、自分を(つまり、大人の見方を)ほめる基準にしてしまっているのでしょう。あるいは、「これくらい、できて当たり前」と思っているのかもしれません。

どちらもNGです。私たちにとっては当たり前のことを、発達障害がある子の多くは、大きなエネルギーを使って実行しています。

「誰でも当たり前にできること」は、発達障害がある子にとっては「すごいこと」なのです。そう思って接すれば、いい行動を見逃すことはなくなります。

「スキル」をつけ加えてほめる

おしいほめ方
画:かなしろにゃんこ。
「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より
おしいほめ方
画:かなしろにゃんこ。
「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」より

「ほめる」ことは、たいていの場合、子どもがした行動の「結果」を称賛するために行われます。マンガに出てくる大人も、水道で遊ぶのをやめられたことを称賛するために、「ほめ言葉」を使っていますよね。

そのような、結果を称賛する「ほめ方」も悪くはありませんが、欲を言えばもう少し味つけが欲しいところです。

なぜ「子どもをほめる」かというと、それは「望ましい行動をしてほしいから」です。であれば、「止めることができた」という結果だけではなくて、望ましい行動やスキルをもうひとつ余分に見つけて、「ほめ言葉」のなかに埋め込んで伝えると、なおいいでしょう。

たとえば私なら、「止められたね」の前に、次のように言うと思います。

「すごい! 『はい』という返事ができた!」

こうすると、〝何か言われたら「はい」と答える〟というスキルを強化できます。そうやって地道にスキルを強化することで、別の機会にも「返事をする」という「望ましい行動」が出やすくなるのです。

書籍『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』について

発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル(講談社)
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\教えたいことが確実に届く! 子どもが変わる! 成長する!/

これまで2000人を超える人の支援に関わってきた特別支援教育のエキスパート・小嶋 悠紀氏が送る「支援スキルの大全集」。イライラ、パニック、暴言・暴力など、解決の難しい問題にも効果があります。

✅ こだわり行動を終わらせて、切り替えてもらうコツ
✅ パニック寸前になっている子の見分け方
✅ 怒りの爆発を防ぐために、最初にかけたほうがいい一言
✅ 順番を守れない子に、順番の守り方を教える方法
✅ 不安を募らせがちな子との向き合い方
✅ 反抗的な言動を口論に発展させない「返し方」


など、多くの発達障害・グレーゾーンの人と関わるなかで磨き上げられた、子どもたちへの「声のかけ方」「接し方」、そしてアセスメントの100の方法が紹介されています。

紹介画像

<2児の母・マイナビ子育て編集者が読んでみた!>
事例がとても具体的にわかりやすく漫画やイラストで描かれており、「あーこれはやりがち」「こうすればよかったのか!」と反省しつつ、気づけば夢中で読んでいました。夫に共有したいページに付箋を立ててたら、本が付箋だらけに……!! イライラや不安を抱きつつ、手探りで子育てしている保護者にとって救いとなるヒントに溢れた一冊です。

著者|小嶋悠紀氏について

1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。2023年より現職。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)などがある。
■Instagram:@oshietekojit

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