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2023年09月27日 06:30 更新

親はどんなときに体罰を行使してしまう?最も多いケースは「言葉で注意しても行動が改まらないとき」

子育て世代の中には、自分が子どもの時に親から叩かれることも珍しくなかったかもしれません。しかし、現在では「体罰はよくない」という認識が広まっています。ここでは、厚生労働省の「体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査」をもとに、家庭での親から子どもに対する体罰の実態に迫っていきます。

18歳以下の子どもがいる親に対する体罰の意識調査

「体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査」は、厚生労働省が体罰を用いない子育てを推進するという目的の下、実際の子育て現場における「体罰」の状況を把握するために行ったものです。全国の15~79歳までの男女、および18歳以下の子どもを現在養育中の親を対象にしたアンケートとなっています。

本記事では「18歳以下の子どもを現在養育中の親」の回答を紹介していきます。

※画像はイメージです

6ヶ月以内に体罰を行った親は3割以上

18歳以下の子どもを養育している人に、過去6カ月以内に子どもに体罰を与えたことがあるかを聞いた設問では、「まったくなかった」が最も多く66.5%でしたが、「1回以上あった」と回答した人は33.5%いました。そのうち、「ときどきあった」が12.5%、「日常的にあった」という人は2.3%。体罰が常態化している家庭もあることがわかります。

また、年代別でみると、20~40代で体罰を行使する頻度が高い傾向がみられました。20~40代だと子どもがまだ小さいことなどが関係しているのかもしれません。

過去6ヶ月以内に、子どもに正しい行動を教えたり、なんらかの問題に対処するための
しつけとして、子どもに体罰を与えたことがあるか。(n=5,000)
「体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査 事業報告書」より

子どもへの罰のうちで体罰は約3割

過去6ヶ月以内にしつけとしてどんなことを行ったかを聞いたところ、「お尻や手の甲をたたくなど、子どもに物理的に罰を与えること」を1回以上行ったと回答した人は28.4%でした。次いで、「怒鳴りつけたり、「だめな子だ」など子どもが傷つく言葉を言うなど、子どもを否定的な言葉で心理的に追い詰めること」は28.1%、「自室やベランダ、押し入れに閉じ込めるなど、子どもの自由を大きく制限すること」は9.6%でした。

子どもを叩くなどの体罰と、怒鳴るなどの言葉による罰は同じくらいの割合で行われていることがわかります。

言葉では行動が改まらないときの体罰が約半数

では、そうした体罰を行ったときの具体的な状況とは、どのようなものでしょうか。

最も多かったのが「一度言葉で注意しても、行動が改まらないとき」で47.2%でした。次いで「子どもにとって、危険があるとき」(43.6%)、「ほかの人に迷惑をかけてしまうと感じたとき」(36.6%)、「子どもがなかなかいうことを聞かないとき」(32.7%)と、子どもの行動を変えようとしたときに、言葉だけでは聞き入れてもらえなかったような場合に、つい体罰を行ってしまった親が多いことがわかります。

その一方で、「子どもの言動にイライラしたとき」(20.2%)や「自分にほかにしなければならないとき」(8.5%)、「親の威厳を示す必要があるとき」(7.5%)など、子どものことを考えてというより、親の気持ちのほうが先行していると思われるものも一定数みられました。

過去6か月以内に、子どもに体罰を与えた状況(複数回答)
(n=1,677:過去6ヶ月で体罰を1回以上行なった人)
「体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査 事業報告書」より

9割近くの親は体罰を後悔

先ほど見たとおり、過去6ヶ月以内に子どもに体罰を与えた経験を持つ親は3割弱でしたが、一方で、後悔を感じている人が多いこともわかりました。

「子どもに体罰を与えたあと、しなければよかったと後悔したことがあるか」を聞いた設問では、「まったく後悔したことがない」と回答した人はわずか11.3%で、約9割の親は体罰を与えてしまったことに対して、何らかの後悔を感じています。

思わず体罰を行使してしまったものの、それがしつけとして適切な行為だったとは思っていない親が大半であることが想像されます。

体罰を与えた後、しなければよかったと思ったこと
(n=1,677:過去6ヶ月で体罰を1回以上行なった人)
「体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査 事業報告書」より

まとめ

子どもが親の言葉を聞かず、すぐに行動が改まらなかったときに手の甲やお尻などをたたいてしまったという経験を持つ親も決して少なくないでしょう。親は可愛い我が子をできれば傷つけたくはないし、怖がらせてこちらの言葉を聞かせることもいいこととは思っておらず、とっさにこうした行動に出てしまうということも想像できます。しかし、体罰は子どもに恐怖を植え付け、その後の成長などに影響を与えてしまう可能性があります。社会的な意識改革が大切でしょう。

また、体罰をしたあとで後悔に襲われる人も多いことがわかりました。どうしても手をあげてしまうなど、悩みを抱えている人は、国による相談窓口(電話)や、「親子のための相談LINE」も開設されているので、一人で抱えずにこうしたサポートをぜひ頼ってください。
体罰によらない子育てについて(厚生労働省)

調査概要

■体罰等によらない子育ての推進に向けた実態把握に関する調査 事業報告書
調査地域:全国
調査対象:15歳~79歳までの男女、18歳以下の子どもを養育する者
調査時期:2020年11月15日~12月1日 
有効回答数:各5,000サンプル(総サンプル数:8,823)

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