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2022年09月08日 11:04 更新

こんなに兄弟仲が悪いのはなぜ?4大原因と親ができる7つの対処法【教えて保育士さん】

兄弟姉妹がいると「一緒に遊んでくれてほほえましいわ」なんていう場面を期待してしまいますよね。一方、兄弟喧嘩ばかりだったり、喧嘩をするわけでもないけれど一緒に遊ぶ様子もないなどお互い我関せずというようすだったりすると、親としては心配になるかもしれません。今回はきょうだい仲が悪い原因や、仲良くなるための対処法を紹介します。

兄弟の仲が悪い……子どもの気持ちとよくある原因

同じ家に住んでいるのに会話がない、歳が近いのに全く一緒に遊ばないなど、ママやパパから見て、兄弟が不仲なのかな……と心配になることもあるようです。
どうして不仲なのかという原因や、子どもに気持ちについて探ってみます。

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※この記事では姉妹も含め「兄弟」と表記します。

① 気が合わない

「一緒に遊んでも楽しくない」
「別々の方が気が楽」

というケースも。同じ親から生まれ、同じ環境で育ったからといって、趣味が同じとも限りません。性格だって人それぞれです。単純に、価値観が合わないという理由もあるでしょう。

Lazy dummy

わたしは子どもの頃、妹とよく遊んではいましたが、趣味が違いすぎてぶつかることもありました。違う遊びをしたいときはお互いそれぞれのことをしていましたよ。
(mamaco)

② 親を独占できない

「甘えたいのに甘えられない」
「親とふたりっきりで話したいのに邪魔される」

など、親を独占できないという理由から、兄弟に対して敵対心を抱くことも。特に、上の子に多いかもしれません。

③ 嫉妬心がある

親が片方だけを褒めたり、良かれと思って競争心を抱かせるようなことを言ったりすることもあるかもしれません。しかし、これが不仲を引き起こすことも。
「弟はサッカーが上手で、いつも褒められていてずるい」
「私は勉強が苦手なのに、お姉ちゃんは頭がいいのが妬ましい」

など、嫉妬心は兄弟仲を悪化させる原因となります。

④ 不平等さを感じる

「お兄ちゃんだから」と我慢させられてばかりいたり、「お兄ちゃんのがあるから弟には買ってあげない」などお古ばかりで新しい物を買ってもらえなかったり。
「なんで自分はダメなの?」
「(自分以外が)ひいきされている!」

という思いがあると、仲良くしようとする気も起きなくなり、仲違いの原因になることもあります。

Lazy dummy

兄弟仲を良くするため、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから」「弟(妹)だから」と言った言葉は使わないように意識している親御さんは多いようです。
また、態度だけでなく「お菓子やおもちゃを買うときも平等に」なども意識されているようです。

(mamaco)

仲良し兄弟姉妹にするために親ができる対処法7つ

兄弟関係が良くないことが、子どもの対人関係に影響するわけではないという見解[*1]もありますが、親としてはできれば仲良くして欲しいという気持ちはわかります。そこで、兄弟仲を良くするために親ができる方法をいくつか挙げてみましょう。

【1】家族みんなで過ごす

兄弟だからといって、年齢によっては子どもだけで一緒に遊ぶのがなかなか難しいこともあります。大人が加わることで円滑なコミュニケーションを取り始め、徐々に兄弟だけでも子どもだけでも関われるようになることもあります。
ぜひ家族一緒に遊びを楽しんでみてください。遊びに限らず、家族でピクニックに行ったりお出かけしたり一緒に料理をしたりというのもおすすめです!

【2】「2人は仲が良い」と伝える

仲良く遊んでいる場面を見つけたら、すかさず「仲が良いね」などと言葉に出しましょう。そう言われることで、”自分たちは仲が良いのかも”と思うようになり、本当に仲が良くなる方向に向かうこともあります。

【3】共通点を認識させる

趣味や性格が違うと思っていても、一つ二つは共通点があるのでは? 「2人とも、眠る時に手放せないお気に入りのタオルがあるね」「このお菓子が大好きなのは同じだね」など、共通点を認識することで、相手をより身近に感じて仲良くなるきっかけになることもあるでしょう。

【4】それぞれを認める

自己肯定感が高ければ、他人が褒められていても嫉妬心をもつことなく、相手のいいところを認められます。兄弟セットで見るのではなく、まずは子どもを個として尊重し、それぞれの良いところをしっかりと認めていきましょう。

Lazy dummy

上の子を「お姉ちゃん」「お兄ちゃん」などと呼ばず、名前で呼ぶことも大切です。名前を呼ばれることで、自分を尊重されていると感じたり、自己肯定感が高まったりすると感じる人もいますね。
(mamaco)

ある発達心理学の本には、
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自己を名前という記号で代表させることによって、未だ不安定な自己性という実体を限定し、自己性の感覚や意識を強化していくということである。その意味で、子どもに名前をつけ、その名前で呼ぶという親のネーミングは、子どもの自己に実体性や限定を与えていく役割を果たしている。また自己名をネーミングする(される)ことが、自己の領域を意識させ、世界の中心としての自己性を強めていく
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とあります[*2]。
名前で呼ばれるということは、自分のアイデンティティにもかかわるとても大切なことだと感じています。

【5】2人でしかできないことをさせる

2人でしかできない遊びやゲームや、1人では難しいけれど2人で協力すればできるお手伝いなどをさせ、一緒に過ごす時間を重ねることで、少しずつ距離が縮まっていくかもしれません。

【6】親を独占できる時間をつくる

「ママとお姉ちゃんだけでアイスを食べにいく」「弟の習い事にはお兄ちゃんはおいてパパと2人でいく」など、親を独占できる時間があると、子どもの気持ちが満たされるかもしれません。気持ちが満たされると、相手にやさしくすることもできますよ。

【7】喧嘩はできるだけ自分たちで解決させる

喧嘩をしたとき、早々に親が介入して無理矢理仲直りさせていては、本当の解決にはなりません。時間がかかっても、難しくても、子どもたちがお互い納得できるような仲直りが大切です。
マイナビ子育てが行なったアンケートでは、たとえ喧嘩をしてもまずは見守る(様子を見る)という回答が71.7%と、とても多かったですよ!

幼稚園ではこうしてた!子ども同士が仲良くなるための方法

幼稚園や保育園では、兄弟と違い、住む環境も価値観も違う他人が同じ空間で過ごします。もちろん、それぞれが別々の遊びをしていてもいいのですが、みんなで一緒に遊ぶ経験もしてほしい。そんなとき、担任として子どもたちにしていた方法を紹介します。

ケース1 趣味嗜好がバラバラな子同士

何人も子どもがいれば、好きな遊びも当然バラバラ。一人で遊びたい子もいれば、みんなで一緒に遊びたい子もいる。そんなときは、子どもたちと一緒に話し合い、順番にいろいろな遊びをしていました!

たとえば、
「今日はAちゃんの好きな鬼ごっこをみんなでする日」
「明日はみんなでお絵かきする日」
「今日は自分の好きなことをそれぞれ自由にする日」
など。本来ならば、自由遊びの時間は何をしても自由なのですが、一週間の予定を決めて順番にしよう、と言ったのも子どもたち自身で、スケジュールを立てて遊ぶこともありました。

Lazy dummy

兄弟間でも、順番に遊びを決めてお互いがお互いの好きな遊びに付き合う時間をつくってもいいかもしれませんね。
(mamaco)

ケース2 遊びに入るのが苦手でいつも一人遊び

引っ込み思案で、一緒に遊びたくてもなかなか遊びの輪に入れない子もいました。そんなときは、その子の得意な遊びに周りの子を誘い、周りを巻き込んでいきました。自分の好きな遊びに友達が入ってきてくれることで、自然と友達と遊ぶことができましたよ。

Lazy dummy

兄弟間でも、一緒に遊ぶきっかけ作りをしてあげることで仲良く遊ぶようになる場合もあるかもしれませんね。
(mamaco)

まとめ

兄弟だからといって、似たもの同士であるとも限らず、それぞれ個性がありますよね。それぞれを大切にしつつ、お互いを尊重し合う家族関係づくりをしていくことで、自然と家族仲や兄弟仲が良くなってくるのではないでしょうか。

(文:mamaco)

※画像はイメージです

参考文献
[*1] 柴田利男 北星学園大学社会福祉学部北星論集第47号「きょうだいとのコミュニケーションが幼児の社会的認知の発達に及ぼす影響」、2010
[*2]武藤隆他編 『発達心理学入門』 東京大学出版、1990

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