妊娠
妊婦の食事に「しらす」を取り入れたい理由＆見落としがちな注意点【管理栄養士監修】
しらすはカタクチイワシの稚魚で、スーパーでもよく見かける食材ですね。難しい調理も必要なく、妊娠中に必要な栄養素も含まれている万能選手。しかし、そんなしらすにも妊娠中に取り入れる際の注意点が。詳しくみていきましょう。
女子栄養大学 生涯学習講師。大学時に小児栄養学を学んだのち、育児用品メーカーでベビーフード開発を経て栄養相談、離乳食レシピ執筆、講演会に携わる。2児の母。現在は、母子栄養協会にて離乳食アドバイザー®他、専門家を養成している。
◆一般社団法人母子栄養協会HP
妊婦に「しらす」がおすすめな理由は？
しらすには妊婦さんにとって様々なメリットがあるようです。4つのポイントで見ていきましょう。
妊娠中に欠かせないカルシウムが豊富
しらすに含まれるカルシウムは釜揚げしらすで100gあたり190mgと豊富に含まれています[*1]。
カルシウムは骨や歯などを作る栄養素で、1日あたりの推奨量が650mgと言われています[*2]。令和元年度の国民健康・栄養調査では、30〜39歳女性のカルシウム摂取量平均値が404㎎、妊婦さんの平均値でも456mgと普段の食事では不足しがちな栄養素です[*3]。娠中だからといって特に多く摂るという必要はありませんが、普段からもなかなか摂れていない栄養素です。推奨量をしっかり摂取していることが前提でのことなので、きちんと摂取していきたいですね。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDも摂取できる
ビタミンDは、カルシウムの吸収を高めてくれる働きがあります。ビタミンDが不足すると、カルシウムが体内に吸収されにくくなるため、骨粗鬆症や骨軟化症の原因になったりもします。
母子ともに骨は健康でありつづけたいので、カルシウムだけではなくビタミンＤもあわせて摂取できるといいですね。
つわりの時は食事を摂ること自体が大変だったりしますよね。しらすなら食べられるときにちょっとプラスだけで食べることができるので、つわりの時など食事がなかなか作れないときにも栄養を摂りやすく、便利です。シンプルな雑炊やうどんにちょっと乗せるだけでうまみも栄養もアップします。
ビタミンDは日光を浴びると体内で合成することもできますが、しらすに含まれるカルシウムと一緒に摂取することで効率的に栄養を摂ることができます。
つわりの時でも栄養摂取しやすい
つわりの時は食事を摂ること自体が大変だったりしますよね。しらすなら食べられるときにちょっとプラスだけで食べることができるので、つわりの時など食事がなかなか作れないときにも栄養を摂りやすく、便利です。シンプルな雑炊やうどんにちょっと乗せるだけでうまみも栄養もアップします。
塩分が気になる場合には、しらすを味付けがわりとして、塩やしょうゆで味をつけずに、塩ゆでされたしらすだけで味を付けるという感覚でもいいかもしれませんね。
のせるだけ、混ぜるだけ！手軽に食べられる
釜揚げしらすやしらす干しは、料理に直接のせるだけ、混ぜるだけで簡単に食べることができるのも魅力の一つです。調理の手間がかからないのは妊娠中の強い味方ですね。
妊婦がしらすを食べる時に注意することは？
カルシウムが豊富で手軽に食べられるしらすですが、いくつかの注意点があります。
妊娠中は生しらすに気を付けて
一般的にしらすは鮮度が落ちやすいため、釜揚げやしらす干しなど加工されて流通することが多いです旬の時期には生しらすが出回ることもあります。
妊娠中は食中毒リスクなどを考え、生しらすなどの生魚には特に注意が必要です。加熱済みの釜揚げしらすなどを新鮮なうちに食べる方が安心でしょう。
リンと塩分も多いので食べ過ぎはNG
しらすはカルシウムが多く含まれますが、リンと塩分も多いので注意が必要です。
リンの摂りすぎはカルシウムの吸収を阻害します。また、塩分の摂りすぎやむくみやすくなってしまうので、塩分を抑えたい場合は茹でこぼしてから食べたり、少量にとどめておいたり、他の調味料を入れないようにするといいでしょう。
妊婦におすすめ！しらすを使ったお手軽レシピ
最後にささっと作れる、妊婦さんにおすすめのしらすレシピをご紹介します。
切って和えるだけ！しらすとトマトのサラダ
■材料（作りやすい分量）
・トマト 1個
・釜揚げしらす 20g
・オリーブオイル 大さじ1
・しその葉 2枚
・ごま 少々
■作り方
① トマトは食べやすい大きさに切る。しその葉は細かくちぎる
② ①に釜揚げしらす、オリーブオイル、ごまをふりかけよく混ぜ合わせたら出来上がり
しらすの塩分でさっぱり食べられます。お好みでオリーブやバジルをちらしてもOK！
簡単朝ごはん♪納豆しらすトースト
■材料（作りやすい分量）
・食パン 1枚
・納豆 1/2パック～1パック（お好みで）
・釜揚げしらす 15g
・マヨネーズ 小さじ２
・スライスチーズ 1枚
・刻みのり 少々
■作り方
① 納豆としらすをよく混ぜておく（付属のたれはお好みで使用してください）
② 食パンにマヨネーズを塗り、①とスライスチーズをのせ、トースターでチーズがとろけるまで焼く
③ 刻みのりをふりかけて出来上がり
納豆と食パンの組み合わせが意外？！ 手軽にできて栄養満点です。
しらすチャーハン
■材料
・ご飯 お茶碗1杯
・しらす 20g
・卵 1個
・レタス 1枚
・にんにく 1/2かけ（チューブなら2cm）
・しょうが にんにくと同量
・醤油 小さじ1
・オイスターソース 小さじ1
・ごま油 大さじ2
・すりごま 少々
■作り方
① レタスは食べやすい大きさにちぎっておく
② にんにく、しょうがはみじん切りにする
③ フライパンにごま油を熱し、卵を割り入れる
④ 卵が半熟のうちにご飯を加え、よくほぐしながら炒め合わせる
⑤ にんにく、しょうが、しらすを加えて混ぜ、調味料を加えて炒める
⑥ 火を止めてからレタスを加え、よく混ぜて余熱で火を通す
⑦ すりごまをかけて出来上がり
シャキシャキのレタスとしらすの塩気が食欲そそる一品です。
まとめ
食欲のないときやつわりの時に食べやすく、栄養も豊富なしらす。混ぜるだけ、かけるだけで簡単に食べることができるのは何よりの魅力ですね。どんな食材でも食べ過ぎはよくないですが、食事のバリエーションやちょい足し食材として活用してみてはいかがでしょうか。
（文：宗政祥子 先生、監修：川口由美子 先生）
※画像はイメージです
