妊娠 妊娠
2021年01月09日 14:52 更新

【医師監修】生理痛があるのは当たり前?痛みが起こる仕組みと対策

月に一度程度、多くの女性を悩ませることの多い生理(月経)。生理痛の度合いには個人差がありますが、なるべく痛みはないほうが良いですよね。そもそも生理には痛みがあって当たり前のものなのでしょうか? 今回は生理痛について考えてみましょう。

生理痛があるのは当たり前?

対策をして生理痛が和らいで伸び伸びと腕を伸ばす女性
Lazy dummy

※画像はイメージです

生理痛は日常生活に支障ない程度が正常

生理には生理痛があるのが普通だと思いがちですよね。実は生理はもともと、それほど痛みを伴うものではありません。しかし、個人差があり、人によっては仕事を休まないとならないほどの生理痛があることも。生理痛は日常生活に差し支えない程度が正常な状態です。

生理痛とは? 主な症状と月経困難症について

生理痛の感じ方には個人差がありますが、生理のたびに、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みを感じ、下腹痛、腰痛、頭痛などを伴う場合のことを「月経困難症」と呼びます。ここでは、月経困難症について詳しく見ていきましょう。

月経困難症とは?

月経困難症には、「器質性月経困難症」と「機能性月経困難症」の2つがあります。

器質性月経困難症は、「子宮内膜症」や「子宮筋腫」「子宮腺筋症」などの病気が原因で痛みが引き起こされているケースのことです。機能性月経困難症は、器質性月経困難症のように直接的な原因となる病気はないが、痛みが引き起こされているケースのことです。

婦人科の病院では、問診や内診、超音波検査などによって原因となる病気の有無を調べます。原因となる病気が特定され、器質性月経困難症と診断された場合は、病気を治療するところからはじめます。

機能性月経困難症の場合は、薬物療法を取るのが一般的です。例えば、鎮痛剤や低用量ピル、漢方薬などによる治療を行います。

器質性月経困難症の主な原因

・子宮内膜症
子宮内膜に類似した組織が、卵巣や腹膜などの子宮の内膜以外の場所にできる病気です。この組織も性ホルモンにしたがって増殖しますが、月経期になっても体外に排出されないので、炎症を起こしたり周囲の臓器と癒着したりして、強い生理痛や不妊を引き起こす原因となります。生理痛以外にも、排便痛や性交痛、慢性骨盤痛、過多月経などの症状が見られます。若いときから生理痛が強く、年齢とともに悪化する場合、子宮内膜症が考えられます。

・子宮筋腫
子宮壁の筋肉の一部にできるコブ状の良性腫瘍で、成人女性の4~5人に1人は子宮筋腫を持っていると考えられています。小さいものならば場所によってはほとんど自覚症状がないケースもありますが、大きくなるにつれて生理痛が強くなったり、過多月経や貧血を起こすこともあります。

・子宮腺筋症
子宮の内膜組織が子宮の筋層内に増殖していく疾患です。子宮内膜症による病気のひとつです。進行するにつれて、子宮全体が大きくなっていきます。強い生理痛に加え、過多月経による貧血などを引き起こします。

上記に挙げた疾患3つは婦人科で検査、診断が可能です。また、それぞれの方に合った治療をしたり、悪化を防ぐことも可能です。2年に1回の婦人科検診に加え、生理痛が気になる方はぜひ婦人科で相談をしてみましょう。

機能性月経困難症の主な原因

・プロスタグランジンの分泌量が多い
生理中は、子宮の内側を覆う子宮内膜から、「プロスタグランジン」という生理活性物質が分泌されます。プロスタグランジンには、子宮を収縮させて経血を外に押し出す作用があるため、その分泌量が多いと子宮が過剰に収縮し、強い痛みを引き起こすことになるのです。

・子宮口が小さい
年齢が若く、子宮が未熟で子宮の入り口が狭いと、経血がスムーズに排出されないことがあります。そうなると、経血を排出するために子宮が強く収縮するため痛みを感じやすくなるのです。子宮の未発達による痛みは、若年の女性や妊娠経験がない女性に多く見られます。

生理痛の対策は? セルフケアのすすめ

体質による個人差もありますが、生活習慣を改善することによって毎月の悩みの種である生理痛を緩和できるかもしれません。次は、生理痛のセルフケアについてご紹介します。

入浴で身体を温めて血行を良くする

生理痛を和らげるための基本は、下半身を中心に身体を温めて血行を良くすることにあります。身体を温めるためには、入浴がおすすめ。血行促進の効果がある入浴剤を活用するのも良いでしょう。

生理中に入浴すると、湯船に経血が漏れ出てしまうのではないかと不安を感じる人もいるのではないでしょうか。実際には湯舟の中は水圧があるので、漏れ出る心配はありません。ただし、湯舟から出ると急に経血が流れ出ることがあるので注意が必要です。生理中に湯船に入ることに抵抗を感じる場合には、足湯でもOK。洗面器などに41度~42度ほどのお湯を張り、足を入れて15分~20分ほど浸かるだけでも、下半身を温めることができます。また、冷え性の対策にも効果的です。

なお、血圧が低い方や貧血がある方は、お風呂に長時間つかるとめまいや立ちくらみを起こす場合があります。入浴は体力を使うので、体調が悪い、しんどいというときは逆に疲れてしまうかもしれません。シャワーなどでさっぱりするなど工夫しましょう。

アロマやヨガでリラックス

身体や神経が過剰に緊張した状態が続き、自律神経のバランスが崩れることも、生理痛を悪化させる要因になります。そこで、軽い体操やヨガ、アロマテラピー、マッサージなどを実践してリラックスする時間を取り入れるのもおすすめです。リラックスできる方法は、人によってさまざまなので、自分に合った方法を見つけて取り入れましょう。

我慢せずに鎮痛剤を使う

生理痛が辛いときは、痛み止めの薬を飲むというのも1つの手段です。生理痛の痛み止めは、痛みの原因であるプロスタグランジンの生成を抑えることで痛みを緩和する薬なので、プロスタグランジンが大量に生成されてから(生理痛がひどくなってから)飲むのではなく、痛みが出始めたときに飲むのがポイントです。生理痛は我慢せずに乗り越えましょう。

まとめ

生理痛がひどくなった場合などは、病気が隠れている可能性も。「月に一度のことだから」と我慢せず、気になる症状があるなら専門の医師に相談することを心がけましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.27)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-