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2021年08月21日 08:30 更新

【2021年8月】絵本のプロが選ぶ 0~5歳年齢別おすすめ6冊『はなびのひ』ほか

東京は神保町にある絵本専門店「ブックハウスカフェ」が全面協力! プロが選ぶおすすめの絵本をセレクトして、毎月紹介します。

先月までは『絵本のプロが選ぶ 0~3歳年齢別おすすめ3冊』として連載していましたが、今月からプチリニューアル! 0歳~5歳児に向けたおすすめの絵本を、各1冊ずつ紹介することになりました。気になる絵本があったら、ぜひチェックしてみてくださいね!(編集部)

0歳向け

『でんしゃ くるかな?』(作: きくち ちき/福音館書店)

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「くるかな? くるかな?」ーーあたりを見回す子どもと動物たちが電車を待っていると、「きたー!」。ホームに赤い電車がやって来ました。「ばいばーい」と見送ります。動物たちは「くるかな? また くるかな?」と隣の人と顔を見合わせながら、次の電車を待ちます。「きた きた-!」と、やってきた青い電車にまた大喜び。そしてまた、みんなでワクワク電車を待っていると、「きたー!」と思わず飛び跳ねちゃう。最後にやってきた電車にみんなで乗ったら、電車の出発です!

「くるかな?」と「きたー!」の繰り返しが、まるで「いないいないばあ」のようで、赤ちゃんにおすすめの一冊です。最初は本当に電車が来るのか不安げな様子の動物たちですが、次第にワクワクとした表情へと変化するところにぜひ注目してみてください。「くるかな?」でワクワクしていた気持ちが、「きたー!」の場面で一気に盛り上がり、大喜びしている動物たちの姿は、見ている子どもたちもうれしくなっちゃいます! 2018年に月刊絵本として発売されたときから大人気で、ついに今年ハードカバーになりました。厚紙でできた丈夫なボードブックの仕様なので、ぜひボロボロになるまでお楽しみください!

1歳向け

『いらっしゃい』(作:せな けいこ/童心社)

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「いらっしゃい」――目の前には、なすや、バナナ、にんじんが。何屋さん? 八百屋さん。どの野菜がいいか選んだら、「まいどあり!」。「いらっしゃい」、次は魚やたこや、かに。そう、魚屋さん。「いろいろあるよ。どれがいい?」。お次は、洋服屋さんにお菓子屋さん。何を選ぼうかな?

「いらっしゃい」「まいどあり!」という元気な繰り返しが楽しい絵本です。ページをめくるといろいろなものが並んでいて、大人でもついつい夢中になって選んでしまいそうなほどワクワクする絵本です。作者は『ねないこだれだ』(福音館書店)でお馴染みの、せなけいこさん。シンプルな赤ちゃん絵本が多いなか、絵がいっぱいのこの絵本は、赤ちゃんがカタログやチラシに並んでいるものをじーっと見ている姿をヒントに誕生しました。「いろいろあるよ。どれがいい?」の問いかけが、読み手と子ども、また子どもたち同士のコミュニケーションになり、人数を問わずに楽しめる一冊です。実際に、保育園の1歳児クラスで読み聞かせをすると、じっくりひとつの絵を選ぶ子や、次々に絵を指差す子など、いろいろな反応があったそう。 1歳くらいから、お店屋さんごっこをする年齢の子まで、長く遊べる絵本です。

2歳向け

『どろん ばあ ~おばけかぞえうた~』(文:小野寺 悦子、絵:植垣 歩子/福音館書店)

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みんなが寝静まった真夜中の家の中。寝室や洗面所、居間などあちこちに現れたおばけたち。「どろん ばあ」「ひとつ ひとつめこぞうさん」ひとつめこぞうがやって来ました。次は「どろん ばあ」「ふたつ ふたごのかっぱさん」かっぱが洗面所で水浴びしています。「どろん ばあ」「みっつ みごとなおおにゅうどう」……。おばけたちが集まったら、楽しい夜の始まりです!

まるで呪文のような言葉「どろん ばあ」のかけ声とともに、おばけたちが次々と現れる数え歌の絵本です。個性あふれるおばけたちは、お化粧したり、お風呂に入ったり、ご飯を作ったり……。最初は何が起きるのかわからずドキドキしますが、チャーミングなおばけたちの表情と最後のゆかいなオチのおかげで、怖いものが苦手な子どもでもきっと楽しく読めちゃいます。数え歌になっている文章もリズミカルで読みやすいため、おどろおどろしい雰囲気や宴のような賑やかな調子など、いろいろなパターンの声色を試してみてください。また、絵をよーく見てみると、いろんなところでおばけにびっくりするネコを発見! ストーリーを楽しんだあとは、ネコを探しながら読み進めると、また違ったおもしろさがあるかもしれません。

3歳向け

『はなびのひ』(作:たしろ ちさと/評論社)

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舞台は江戸。今日はみんなが楽しみにしていた花火大会。ぽんきちはお母ちゃんに頼まれて、花火職人のお父ちゃんがいる花火会場まで夜食を届けに出かけました。すると、それを見た町の人たちは、花火が始まると勘違い! みんながぽんきちにどんどんついて来ちゃって、ぽんきちのうしろには大行列が! 花火大会まではまだまだ時間があるのに、どうなるんでしょうか……!?

夏のお楽しみのひとつといえば花火大会ですが、このコロナ禍で中止になっているものがほとんど。だったら、絵本で花火大会を楽しんじゃいましょう。

この絵本の魅力のひとつは、作者のたしろちさとさんが描く、イキイキとした江戸の風景。これらは、古地図や建築の本、浮世絵といった、江戸時代にまつわる資料を参考にして描いたのだそう。また、ヒツジがウマの髪を結っていたり、鳶職のサルがいたりと、いろいろな職業と動物の組み合わせ、着ている衣装や使っている道具を眺めるのも楽しい! さらにクライマックスの花火大会では、大きな花火が大迫力で打ち上がります!! 最初はゆっくり、最後は夜空いっぱいに広がる花火は、まるで本物を見ているようなので、夏の夜にぜひ読んでいただきたい一冊です。

4歳向け

『夏がきた』(作:羽尻 利門/あすなろ書房)

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目が覚めると、元気に鳴くセミの声。風鈴が涼しい音を鳴らしていて、麦茶を一気飲み。夏の一日が始まります。「あーそーぼー」とやってきた友だちと夏空の下を走り抜けて、海までやってきました。海の家の開店準備を手伝ったり、スイカを食べたり……。夜には家族みんなで線香花火も。

青い空と真っ白な入道雲が広がった表紙だけでも、「日本の夏」を感じて胸が高まります。お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんにとっては、懐かしい気持ちになる夏の風景。子どもたちにとっては、これから経験するかもしれない夏の姿。何気ない一日を描いた作品ですが、蒸し暑い気温や湿度、セミや風の音、汗ばんだ肌など、これでもかというくらい「夏」を連想させるものがギュッと詰まっていて、読み手も全身で夏を感じることができる絵本です。主人公の男の子が友だちときれいな緑の草道を駆けていく場面では、何か冒険が始まりそうな気がしてワクワクしてきます。夏本番の今の季節にぴったりな絵本を、ぜひ子どもたちと一緒に満喫してください!

5歳向け

『うみべのハリー』(作:ジーン・ジオン、絵:マーガレット・ブロイ・グレアム、訳:わたなべ しげお/福音館書店)

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黒いぶちのある白い犬、ハリー。ある日、かんかん照りのビーチで日陰を探して歩きますが、いい場所が見つかりません。家族がいる場所から、ずいぶん遠くまで歩いてきてしまいました。ついに疲れて座り込んだ、その時! 大波に巻き込まれて、海藻が体にすっぽりかぶさってしまいました。その姿を見た人たちが海のおばけと勘違いして、大騒ぎ! ハリーは無事に家族の元へ帰れるのでしょうか……?

50年以上前から世界中で読み続けられている『どろんこハリー』(福音館書店)のシリーズ作で、海を舞台にしたお話です。序盤でひとりトボトボ歩くハリーを切なく思ったり、海のおばけに間違えられて捕まえられそうになるハリーにハラハラドキドキしたり、家族の元へ戻ろうと一生懸命になるハリーを応援したくなったり、ハッピーエンドにホッとしたりと、一冊を通じていろいろな感情が引き出され、読書の醍醐味を味わうことができます。まるで映画を1本見たような満足感があるストーリーは、絵本だけどしっかりお話が読みたいというお子さんにおすすめです。

まとめ

今月は海や花火大会など真夏にぴったりの絵本をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

連日の猛暑日でお出かけしたり外遊びをしたりすることが難しい日には、ぜひ夏向けの絵本を。
海やおばけやアイスクリームの絵本でちょっと心を涼しくしたり、花火大会やお祭りの絵本で夏の行事に親しんだり、絵本でも夏を体感することができます。

子どもたちと読む絵本の時間が、夏の楽しい思い出のひとつになればうれしいです!

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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