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2021年05月31日 16:29 更新

【医師監修】生理後一番妊娠しやすい時期は? 排卵日を予測する方法

妊活の手始めに確認しておきたいのが、「一番妊娠しやすい時期はそもそもいつなのか」ということですよね。生理後、いったいいつごろがその時期にあたるのでしょうか。ここでは、妊娠しやすいタイミングを知る方法について、排卵日との関係とともに解説します。

そもそも妊娠しやすい時期とは

妊娠 ハート

まずは、妊娠しやすい時期とはいつなのかについて解説します。

妊娠しやすいのは「排卵」の時期

妊娠しやすい時期を理解するために、先に妊娠までに起こることをおさらいしておきましょう。

妊娠までに起こること

妊娠は、「受精卵が子宮内膜に着床(くっついて潜り込む)する」ことで成立します。受精卵は、卵巣から排卵された卵子が、卵管采(卵管先端のフサフサした部分)に吸い込まれ、卵管膨大部(卵管采近くの広い部分)で精子と出会い合体することでできます。

それでは、卵子はだいたいいつごろ排卵されるもので、タイミングよく受精するためにはいつ精子が卵管にいれば良いのでしょうか。

排卵・受精・着床のイメージ
排卵・受精・着床のイメージ

もっとも妊娠しやすいのは「排卵2日ほど前から排卵当日まで」

排卵は、生理(月経)周期が28日の人の場合は、「生理の初日からだいたい14日目ごろ」に起こります。

排卵後の卵子はおよそ24時間しか生きられず、さらに受精できるのは排卵後10数時間と言われています。しかも、体外受精の結果からすると、受精後順調な発育を示すためには、排卵後数時間以内に精子と受精することが必要です。一方、射精された精子の寿命は約72時間です[*1, 2]。

つまり、卵子は精子よりだいぶ短い間しか受精できないので、卵子よりさきに精子が卵管に到着し、卵子が排卵されて来るのを待っているのが効率の良い状態です。そのため、「排卵2日ほど前から排卵当日まで」に性交すると一番妊娠しやすいと言われています[*3]。

一番妊娠しやすいのは生理後何日目?

生理 予定日 カレンダー

もっとも妊娠しやすいのは「排卵2日前~当日」と説明しましたが、生理から数えるとそれはいつごろのことなのでしょうか。

排卵日が生理後何日目かは人により異なる

さきほど、「生理周期が28日の人の場合」は、生理初日から14日目ごろに排卵すると解説しましたが、生理周期は人それぞれなので生理から数えた排卵日も個人差があります。また、同じ人であっても生理周期は簡単にずれてしまいます。

こうした個人差やその時々の変動の理由を知る前に、まずは排卵までの基本的な流れを把握しておきましょう。

排卵はどうやって起こるの?

生理が起こるころは「卵胞期」といって、子宮では内膜が経血として排出されていますが、卵巣では卵子を包んでいる袋のような器官「卵胞」が大きく育っていく時期。この卵胞は女性ホルモンのひとつである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」を分泌しており、発育とともにその分泌量は徐々に増えていきます。

エストロゲンの量がピークに達するとその後、1~2日の間に卵子が放出されます。これが「排卵期」です。排卵後は、卵胞が黄体という器官に変化し、エストロゲンに加え同じく女性ホルモンの「プロゲステロン(黄体ホルモン)」を分泌するようになる「黄体期」になります。

卵巣から卵子が排卵されるためには、エストロゲンがきちんと分泌されている必要があります。これの分泌量が一定以上になることがきっかけで排卵は起こるからです。また、正常な生理は黄体期にプロゲステロンの分泌量がピークとなった後、減少することがきっかけとなって起こります。

生理周期と女性ホルモンの変動イメージ(1サイクル28日の人の場合)
生理周期と女性ホルモンの変動イメージ(1サイクル28日の人の場合)

生理周期が人それぞれなのはなぜ?

さて、最初に触れたとおり、生理周期は人によって異なりますが「25~38日の間は正常」とされています。これより周期が短いと「頻発月経」、長いと「希発月経」といってそれぞれ卵巣などの異常が疑われます。でも、正常範囲内でも、短い人と長い人ではおよそ2週間もの違いがあるわけです。なぜ人によってこれほど差ができるのでしょうか。

それは「卵胞期の長さが人によって異なる」のがおもな理由です。さきほど説明したとおり、排卵後は黄体期という期間ですが、実はこの「黄体期の長さは基本的に人によらずだいたい同じ」です。

黄体は寿命が来ると女性ホルモンの分泌量が減り、「白体」というものに退化します。この黄体の寿命は、健康な人であれば約2週間で一定していると言われています。そのため、黄体期は正常な生理が来ている人であれば、だいたい14日間なのです。

一方で、排卵が起こるまでの「卵胞期」には、卵巣機能が正常な場合でもおよそ11~24日間の幅があります。そのため、生理周期は人によって異なるのです。

さらにストレスでも生理周期は変動する

生理周期が人によって異なるのとはまた別の理由で、同じ人でも生理周期は簡単に狂います。もともと不規則な人はもちろん、普段は毎月同じような時期に生理が来る人であっても、たとえば「精神的・肉体的に過度なストレス」を受けると、その時だけ生理がずれるのはよくあることです。

これは、女性ホルモンの分泌をコントロールしている、「脳の視床下部」がストレスの影響を受けやすいから。過度なストレスを受けると脳の視床下部は女性ホルモンをうまく分泌させられなくなり、その結果、排卵期がいつもと変わったり、生理不順になったりするのです。

生理周期が30日の人の場合

排卵日は変動するものとお伝えしましたが、通常の生理周期が30日間の人の場合は、仮に変動がないと考えると、生理後だいたいいつごろ排卵するのでしょうか。

この場合は、「生理初日を1日目と数えると、16日目ごろに排卵する」と考えられます。排卵後~次の生理までの期間はおよそ14日間です。

生理周期が35日の人の場合

同様に考えると、通常の生理周期が35日間の人の場合は、「生理初日から数えて21日目ごろに排卵する」と考えられます。

一番妊娠しやすい日を把握する方法

基礎体温表と体温計

さて、ここまでで妊娠しやすい日を把握するには、排卵がいつごろ起こるのか知る必要があるとわかってもらえたと思います。自分の排卵日は、どうすれば知ることができるのでしょうか。

基礎体温をつける

「基礎体温」を毎日測り、「基礎体温表」を記録することで排卵日がいつ来るか、ある程度推測することはできます。

基礎体温の測り方

まず、基礎体温用の婦人体温計を用意しましょう。通常の体温計は小数点第一位までですが、婦人体温計は「小数点第二位」まで計測できます。婦人体温計が入手できたら、就寝前、枕元に用意しておきます。

そして、朝、目覚めたら起き上がる前に計測することを毎日続けます。なお、基礎体温の計測は基本的に「舌下」で行います(詳しい位置は体温計の説明書をよく読んでください)。

計測結果はグラフに記録しましょう。体温計によってはグラフ作成機能のあるものや、アプリとデータ連携して簡単にグラフ化できる製品もあります。

なお、基礎体温表は「2、3周期分」記録しましょう。さきほど説明したとおり、生理周期はストレスなどの影響を受けるので、1周期分だけでは傾向を読み取るのが難しいからです。

基礎体温表の例(1サイクル28日の人の場合)
基礎体温表の例(1サイクル28日の人の場合)

基礎体温表の見方

基礎体温表から排卵日を推測するためには、基礎体温が「低温期」と「高温期」の2相にわかれている必要があります。基礎体温が低温期から高温期に移行するタイミングが「排卵期」です。排卵すると分泌量が増え始めるプロゲステロンの影響で、基礎体温はそれまでの低温から高温に変化するからです。

「基礎体温が2相にわかれていない」場合や、「生理周期が25~38日間より短いか長い」、「高温期が14日間より短かったり、途中で体温が落ちるときがある」などの場合は、そもそも排卵が起こっていなかったり、排卵はしていても受精卵が子宮でうまく育てられない状態である可能性があります。基礎体温にこうした傾向があったら、体に気になる点がないか婦人科で確認してもらいましょう。

おりものを観察する

「おりもの」の量や質感も、生理周期の移り変わりの影響を受けます。おりものは子宮や腟の分泌物に老廃物などが混ざってできますが、妊娠の際にも大きな役割があります。それは、精子が腟から子宮内へと移動するのを助けることです。

女性の身体はうまくできていて、排卵の少し前~排卵期には精子が移動しやすいように「サラサラとしたおりものが多め」に出るようになります。排卵期が終わると「粘り気が強くあまり伸びない」おりものが少量出るようになり、精子は移動しにくくなります。

ホルモン変動とおりものの変化の関係
ホルモン変動とおりものの変化の関係(イメージ)

ただし、おりものの量や質感はもともと個人差が大きく、このような変化がはっきり現れない人もいます。また、こうした変化があってもそこから排卵の時期をはっきり知るのは難しいので、これもあくまでも目安です。

なお、異臭がしたり、黄緑やポロポロとした白など普段と異なるおりものが出たら、病気の可能性もあるので婦人科を受診してください。

排卵検査薬を使用する

排卵検査薬

ここまでで解説した基礎体温やおりものの変化は、排卵が起こることによって見られるものですが、排卵がいつ起こるか事前に「予測する」方法もあります。それを自宅でできるのが、「排卵検査薬(排卵日予測検査薬)」です。

排卵検査薬は尿に含まれる「黄体形成ホルモン(LH)」の濃度によって、排卵が近いかどうかを調べる検査キットです。LHはエストロゲンの量がピークになると急増し、排卵を引き起こすホルモンです。

排卵検査薬は、「次の生理が始まる予定日の17日前から1日1回(判定に悩む場合は2回)」などといった使用方法で排卵日を推測します。くわしい使用方法は、下記の記事を参照してください。

まとめ

生理が起こった時、次に妊娠しやすい時期を知るにはまず排卵日がいつごろかを把握することが大切です。でも、排卵含め、女性の生理周期はデリケート。予想とずれるのは珍しいことではありません。妊活中はもちろん、自分の体調のうつりかわりを知っておくためにも、基礎体温表をつけたり、おりものの変化に注目するのは役立ちますが、あまり敏感になりすぎるとそれがかえってストレスになることも。また、排卵検査薬を使う場合は製品の説明書をよく読んで正しい方法で使用してください。体調や基礎体温で気になることがあったら、医療機関で相談するようにしましょう。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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