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2021年05月30日 17:00 更新

【医師監修】生理が4日遅れるのは妊娠の兆候?

「生理が来るはずの日から4日経ったけどまだ来ない……」。これは妊娠しているということなのでしょうか? ここでは、生理の遅れを引き起こす原因と、妊娠が理由で生理が遅れるときの特徴・対処法について解説します。

生理が4日遅れた……妊娠の兆候?

スケジュールを見る女性

生理予定日になったのにまだ来ない、4日も遅れている……という場合、これは妊娠が原因なのでしょうか。

生理の遅れは妊娠だけが原因でない

結論からさきに言うと、「生理が遅れているイコール妊娠が原因」とは限りません。

生理が来て次の生理が来るまでの1サイクルを「生理(月経)周期」と呼び、正常な場合でも人によって「25~38日」の幅がありますが、これはさまざまな要因の影響を受けて変わることがあるからです。原因ごとに次の章でくわしく解説していきます。

生理が遅れる「妊娠以外」の原因

ここでは、妊娠以外に生理の遅れを引き起こす可能性がある原因には何があるのかをみていきましょう。

ストレス

女性の体内では「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンの分泌量が常に大きく変動しており、これは生理周期のたびに繰り返されています。

生理周期と女性ホルモンの変動イメージ(1サイクル28日の人の場合)
生理周期と女性ホルモンの変動イメージ(1サイクル28日の人の場合)

その変動の中で、エストロゲンが一定以上に増えると「排卵」が起こり、その後プロゲステロンが増加したあと減少に転じることがきっかけで「生理」は起こります。つまり、生理周期はそれぞれの女性ホルモン分泌の増減がいつ起こるかによって変わってきます。

実はライフスタイルや環境の変化などによるちょっとした「ストレス」によって、女性ホルモンの分泌は影響を受けます。その結果、生理周期がいつもと変わるというのは珍しいことではありません。

ストレスによる生理周期のずれによって、生理予定日から4日過ぎても生理が来ないということもありえます。

体重の過度な減少

体重計 

過度にやせると、生理周期が長くなることもあれば生理がまったく来なくなることもあります。

これは、「体重減少性無月経」といって、過度な体重の減少によるストレスが脳に影響し女性ホルモンがうまく分泌されなくなることで起こります。標準体重より15%以上やせているとこの状態になる可能性があります[*1]。

卵巣の異常による生理不順

生理不順の原因にはさまざまなものがありますが、卵巣の異常によって生理がなかなか来なくなることもあります。

卵巣の異常で生理周期が長くなる病気のなかでもよくみられるものに、「PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)」があります。この病気では卵巣のなかに液体で満たされた袋状のものが多数でき、卵巣が腫れて大きくなります。

この場合、生理がなかなか来なくなることのほかに、軽い肥満や多毛、にきび、声が低くなるなどの症状がみられることもあります。

また、さまざまな要因で排卵が起こらなくなると、「無排卵周期症」といって生理がなかなか来なくなったり、血の量がとても少なく2日以内に生理が終わってしまうようになることもあります(この場合に起こる生理は、実は生理ではなく「破綻(はたん)出血」というもので、逆に出血の頻度が増えたり血液の量が増えることもあります)。

早期閉経

閉経とは生理が来なくなることですが、平均では50歳ごろに起こります[*2]。これが40歳前に起こるのが「早期閉経」で、エストロゲンやプロゲステロンの分泌がとても少なくなり、排卵がなくなることで起こります。

この場合、生理が来なくなることのほかに、のぼせやほてり、発汗といった「ホットフラッシュ」といわれる症状や寝汗、気分の変動といった心身の変調などがみられる人もいます。

甲状腺の病気

喉を抑えるルームウェアの女性

甲状腺に異常があることも、生理が来なくなる原因となります。とくになんらかの異常により「甲状腺ホルモンが過剰」になると、生理周期が長くなります。

甲状腺ホルモンが過剰になる病気でよく知られているのが「バセドウ病」などの「甲状腺機能亢進症」です。バセドウ病は20~30代の女性によく見られます。

その他の病気

ここまでで解説した病気のほか、脳や副腎といった内臓の働きに異常があったり腫瘍ができていることなどによって生理が来なくなることもあります。

生理の遅れが妊娠である場合に見られるその他の兆候

微熱がある女性
Lazy dummy

妊娠によって生理が遅れるときには、何か特徴があるのでしょうか。

微熱や体のだるさ

妊娠すると、通常は生理前に減るプロゲステロンの分泌量が減らず、むしろ妊娠期間中はずっと増え続けるので、微熱や体のだるさを感じることがあります。プロゲステロンには基礎体温を上げる作用があるためです。ただし、上がると言っても、その差は「0.3~0.5℃ほど」です。

嗅覚の変化

妊娠すると嗅覚の変化を感じる人は多いようです。これはとくに妊娠初期によくみられ、料理やタバコの煙、傷んだ食べ物、香水、香辛料、コーヒーなど、特定の匂いを通常より強く感じたり、嗅覚が全体的に鋭くなったりします。

基礎体温の変化

妊娠すると、基礎体温には「高温期が17日以上続く」という変化がみられるようになります。さきほど説明したように、プロゲステロンによる影響で起こります。

妊娠したときの基礎体温表の例(生理周期が28日の場合)
妊娠したときの基礎体温表の例(生理周期が28日の場合)

ただし、もともと生理不順の人などでは基礎体温が低温期と高温期にはっきりわかれておらず、妊娠したことによる違いがよくわからない場合もあります。

おりものの変化

おりものの量と質感は個人差が大きいのですが、生理周期にあわせて基本的には以下のように変化すると言われています。

妊娠していないときの女性ホルモンとおりものの変化のイメージ
妊娠していないときの女性ホルモンとおりものの変化のイメージ

妊娠するとエストロゲンの分泌も増えていくので、普段なら排卵後、生理が起こるまでに減っていくはずのおりものが減らなかったり、むしろ増えたと感じたりする場合もあります。

生理の遅れが妊娠の兆候の可能性があるときは

妊娠検査薬のイメージ

さきほど紹介した、妊娠していた場合に生理の遅れ以外に見られる可能性がある兆候は、高温期が17日以上続くこと以外は、妊娠以外の理由で起こることもあります。妊娠の有無を確実にみわけるにはどうすれば良いのでしょうか。

妊娠検査薬で確認

生理が遅れていて妊娠した可能性があるなら、妊娠検査薬を使ってみましょう。妊娠検査薬は、「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」という妊娠女性に特有のホルモンが尿中に検出されるかどうかで妊娠の可能性を判定します。

妊娠検査薬の適切な確認時期は

hCGは妊娠のかなり早い時期から分泌されるようになりますが、検査するのが早すぎると実は妊娠しているのに陰性と判定されてしまうこともあります。ですから、適切な時期に使用するのが大切です。

通常タイプの妊娠検査薬は、「妊娠5週(生理予定日の約1週間後)」からの使用が推奨されています。なお、「生理予定日」から使える「早期妊娠検査薬」というタイプもありますが、取り扱いのない薬局もあるので使ってみたい場合は事前に問い合わせてから購入しに行くと良いでしょう。

妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診して超音波検査を受け、赤ちゃんが子宮内膜に着床していることを確認してもらってください。

まとめ

生理が4日遅れている場合、どんな原因が考えられるのかと、妊娠が原因で遅れているときに生理の遅れ以外にみられる可能性のあること、また妊娠しているか確認する方法を解説しました。生理が遅れると、もしかして妊娠した!?とドキドキしますよね。でもここで解説したとおり、その原因は妊娠だけとは限りません。病気が原因のこともありますが、単にストレスを受けただけでずれてしまうことも。ほかに症状がなく1回程度のずれであればそれほど心配はいりませんが、生理が不規則になりがちな人は一度婦人科で気になる点がないか確認してもらいましょう。また、妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診して妊娠を確定してもらってください。

(文:マイナビ子育て編集部/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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