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2021年09月10日 17:48 更新

【医師監修】妊娠初期にピンクのおりものは大丈夫?出血の主な原因と対処法

妊娠初期には出血が起こることが少なくありません。出血といっても、おりものに色が付く程度のものから、腹痛を伴い大量に出るものまでさまざまです。今回はその中から、ピンクのおりものが出た場合の原因と対処法を紹介します。

妊娠初期に見られる「ピンクのおりもの」の正体は?

「おりもの」とは、腟や子宮、子宮頸管などの、女性性器からの分泌物のことです。医学的には「帯下(たいげ)」といいます。生理周期(主に排卵)や妊娠時、性的興

個人差はありますが、心身に特に変化がなければ、おりものは「透明~白っぽい」色なことが多いです。しかし何かのきっかけでおりものが少なくなったり、色が茶色やピンクなどに変化することもあります。

ピンクのおりもの=少量の性器出血

妊娠初期でピンクのおりものが気になる女性
Lazy dummy

おりものがピンク色になった場合は、少量の性器からの出血がおりものに混じった状態と考えられます。

妊娠すると、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが増え、とくに少しの刺激でも出血しやすい状態になることがあります。そうして出た少量の血液がおりものに混じることで、ピンク色に見えるのです。

妊娠初期におりものがピンクになる主な原因

妊娠中におりものがピンク色になる主な原因を以下にまとめました。

着床出血|生理予定日少し前あたりの少量の出血

卵子が精子と出会うと受精卵となり、胚盤胞まで発育後、子宮内膜にくっついて、その中へと潜り込んでいきます(これを「着床」と呼びます)。このとき、受精卵が潜り込んだ部分から少量の出血が見られることがあります。これを「着床出血」といいます。

着床出血は、ちょうど生理が始まるくらいのころかその少し前に起こりますが、生理よりも量が少なく、数日で終わるので「いつもの生理と違う」ことに気付くかもしれません。

なお、着床出血が起こるのは全妊娠の8~25%といわれています[*1]。つまり、着床出血は起こらない人のほうが多いもの。出血がなくても気にする必要はないですし、あっても着床出血であれば異常ではありません

参考文献 ▶︎着床出血はいつ来る? 性行為後の時期の目安

子宮頸管ポリープ|良性だが医師に相談を

ポリープとは、皮膚や粘膜などから突出した、丸くて出っ張っている球状のものの総称です。大腸や胃、声帯などにできるものがよく知られていますが、子宮頸管にもできることがしばしばあります。

子宮頸管ポリープは出血をすることがあるので、それがおりものに混じるとピンク色になることも。基本的に子宮頸管ポリープは良性ですが、出血を繰り返したり、ある程度の大きさがあったりする場合は細菌感染のリスクが高まるため、妊娠中でも切除手術を行うことがあります。

もしポリープがあるようなら、まずはかかりつけの産婦人科医とよく相談しましょう。

受診する妊婦

子宮腟部びらん|場合によっては出血を繰り返すことも

子宮腟部びらんとは、腟の奥にある子宮腟部という部分がふくらんで赤く見えている状態のことをいいます。エストロゲン(女性ホルモン)の働きで起こり、じつは成人女性ではそれほどめずらしいことではありません。見つかっても治療の必要がない場合がほとんどです。

ただし、びらんがあると、おりものが増えたり、腟炎になりやすくなったりすることがあり、場合によっては出血を繰り返すことも少なくありません。炎症があり、出血を繰り返す場合は治療が必要です。症状が続くときは、かかりつけ医師に相談しましょう。

その他の原因|切迫流産など

・切迫流産や稽留流産
「流産しかかっている状態」である切迫流産では、少量の性器出血がみられることがあります。また出血が多い印象の流産の中でも、死亡した胎児が子宮内に留まっている「稽留流産」の場合は、出血や腹痛などの自覚症状はほとんどありませんが、少量出血することもあります。
関連記事 ▶︎切迫流産とは
関連記事 ▶︎稽留流産って何?

・絨毛膜下血腫
妊娠初期の出血で比較的多い原因のひとつです。胎盤と子宮の間に血液がたまることで出血が起こります。出血と一緒におなかの張りが起こることもあります。

・異所性妊娠
卵管など子宮以外の場所に受精卵が着床した異所性妊娠(子宮外妊娠)でも、出血が起こることがあります。
関連記事 ▶︎子宮外妊娠(異所性妊娠)の症状

・胞状奇胎
胎盤をつくる絨毛が異常に増殖し、子宮内に充満する病気です。主な症状に、妊娠初期の性器出血があります。

ピンクのおりものがみられた場合の対処法は?

妊娠初期のおりものでピンク色の状態がみられたときは、どのように対処するのがよいのでしょう。

まずは医療機関に連絡を

超音波検査により胎嚢が子宮に着床していることがすでに確認されている妊婦さんに「ピンク色のおりもの」がみられたら、まずは医療機関に電話で連絡し、判断をあおぎましょう

最初にもお伝えしたように、エストロゲンの作用により妊娠初期は出血しやすい状態になることがあります。出血があっても妊娠経過や胎児の成長に異常がみられなければ、大きな問題はありませんが、念のため状況を説明して心配がないか確認しておいたほうが無難です。

あらかじめ下記の点を確認しておき、電話で伝えると良いでしょう。
ピンクのおりもの確認事項

出血量が多いときや他に症状があるときは早めに受診して

ただし、多量の出血がある場合や、おなかの痛みや張りがひどい場合は、夜間や時間外であっても速やかに医療機関を受診しましょう。

とくに「超音波検査により胎嚢が子宮に着床していることがまだ確認できていない」けれど妊娠の可能性がある人では、異所性妊娠(子宮外妊娠)の場合もあります。こうした場合は、迅速に対処できるようできるだけ早めの受診をおすすめします。

まとめ

妊娠初期のピンクのおりもののイメージ
Lazy dummy

ピンク色のおりものは、おりものに少量の血が混じっている状態です。妊娠初期はホルモンの影響で出血しやすい状態になっていますが、別の原因で出血していることもあります。出血がみられたら、まずはかかりつけ医に電話で相談してみましょう。心配ないことも多いのであまり慌てずに、落ち着いて対応ができるとよいですね。

(文:山本尚恵/監修:齊藤英和先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]池ノ上克・鈴木秋悦・髙山雅臣 ほか編「NEWエッセンシャル 産科学・婦人科学 第3版」(医歯薬出版株式会社)

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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