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2021年02月09日 18:00 更新

【弁護士監修】家庭内別居の成功の秘訣! 実例から学ぶ「メリット」「デメリット」

夫とうまくいっていない。でも、すぐに別居や離婚やに踏みきるほどじゃない。そんな状態からはじまることの多い家庭内別居。多くの夫婦の離婚や再生を見守ってきた弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の代表弁護士、中里妃沙子先生と、実例を踏まえながら、「家庭内別居」のメリットやデメリットについて考えていきます。

「家庭内別居」って具体的にどういう状態を言うの?

家庭内別居の夫と会話がない・夫が部屋から出てこないマンガイメージ

「家庭内別居」とはよく聞くものの、「夫との接点は減っているけど、これは家庭内別居にあてはまるの?」「家庭内別居したいけど、何をどうしたらいいの?」などと、よくわからないことも多いですよね。

「家庭内で別居をしている」という人の様子をみていきましょう。

家庭内別居とは「家は一緒だけど、生活を共にしていない状態」

家庭内別居を実践中という女性に、夫婦がどういう状態かを聞くと、こんな回答が挙がりました。

同じ家に住んでいるけれど……

・夫婦では会話をしない
・食事を一緒にしない
・寝室が別でセックスレス
・家にいても、別々の部屋で過ごす
・顔を合わせない
・自分と子どもの分の家事しかしない

家庭内別居に、明確な定義があるわけではありません。「夫はただの同居人」という人から「旦那の存在は基本無視。いないものとしている」という人までさまざまでした。

家庭内別居=家庭内離婚? 法律の解釈は?

いくつかの辞書を見比べてみると、家庭内別居=家庭内離婚としたうえで「夫婦関係が破綻していても、正式に離婚せずに同居を続けている状態」と説明しています。

「家庭内別居」を実践してみた女性たちの本音

法的には「婚姻関係の破綻」とみなされなくても、家庭内別居を選ぶ女性たち。どんなきっかけで、なぜ家庭内別居をはじめたのでしょう。

また、いわゆる「家庭内別居」状態になってみて、どんな変化があったのでしょうか。

夫が面倒くさすぎて、家庭内別居に踏みきった

とくに理由はないけど、夫の面倒を見るのが嫌になってきたのがきっかけというユウコさん(仮名、27歳)。

顔を合わせれば口喧嘩。現状打破のために家庭内別居

結婚してすぐ性格の不一致を感じたものの、我慢できないほどでもなく3年が過ぎたエミコさん(仮名、30歳)。

子どものために離婚に踏みきれず、とりあえず家庭内別居中

子どもに関すること以外、会話がないことに気づいたサエさん(仮名、42歳)。

夫の浮気が発覚! 怒りが収まらず家庭内別居に

夫の浮気が発覚! 怒りのままに家庭内別居に突入したトモミさん(仮名、33歳)ですが、夫を愛していて、離婚する気はありません。

子どもを優先していたら、いつの間にか家庭内別居に

気がついたら家庭内別居状態になっていたというリサコさん(仮名、36歳)。

家庭内別居。きっかけはステイホーム

夫の在宅勤務がきっかけで「家庭内別居」を決めたマスミさん(仮名、30歳)。

知っておきたい!家庭内別居のメリットとデメリット

離婚ほど大げさでもなく、言ってしまえば気軽にすぐに始められてしまうのが家庭内別居。メリットとデメリットも確認しておきましょう。

家庭内別居におけるメリット

家庭内別居のメリットは意外にたくさんあるようです。たとえば……

・戸籍上、婚姻関係が続く
・引っ越しをしなくていい
・結婚生活の破綻が周囲にバレない
・経済的な変化が少ない
・(子どもから見た場合)父も母も同じ家に住んでいる
・関係の修復のチャンスが持てる
・夫に縛られず、自分の生活スタイルを作れる

家庭内別居は、家庭での出来事なので周囲に知られにくく、経済面での負担や子どもへの影響も比較的抑えられます。離婚を急ぐ必要がない場合や、夫婦関係の修復に向けての冷却期間としては、かなりメリットがありそうです。

また、あなたがもし結婚以来「夫優先」で、自分の行動を抑制していたのなら、本格的な別居や離婚の前に、自分の本当にやりたかったことに挑戦するなど、自分の生活スタイルを作っていくこともできるでしょう。

家庭内別居におけるデメリット

一方、デメリットを見ていくと……

・夫と顔を合わせる可能性がある
・離婚を申し立てても、婚姻関係の破綻と認められない
・子どもがストレスを感じる場合も……

一見、デメリットとしてあげられるものは多くはありませんが、そもそも「一緒に過ごしたくない」というほどに夫婦の関係が冷えきっているのだとしたら、夫がいつも近くにいるのは最大のデメリット。また両親の不仲を間近に見てしまう子どもへの影響にも注意が必要です。

また、もしかすると「家庭内別居=円満な家庭ではない」という思いが、あなた自身の心やあなたの家庭に暗い影を落としてしまうかもしれません。

「家庭内別居」を法律の観点から見てみよう

法律上、家庭内別居は婚姻関係の破綻とはみなされないのは前述の通り。家庭内別居を続けた場合に気になるあれこれを、もう少し詳しく中里先生に教えてもらいました。

家庭内別居中の夫と離婚できますか?

家庭内別居中の夫から離婚を請求されたのですが……。

家庭内別居中だからと家計に入れるお金を減らされました。

家庭内別居中に夫が浮気!これって仕方ないですよね?

家庭内別居をしたら、離婚の際に不利になりますか?

「家庭内別居」成功の秘訣4つのポイント

些細なきっかけから、あるいは、とくに理由もなく始まることも多い家庭内別居。この先どうしたらいいんだろうと戸惑うこともありますよね。

多くの実例を見てきた中里先生のお話から、「家庭内別居」を成功に導くルールを探し出してみました。5つのポイントをご紹介しましょう。

家庭内別居のゴールを考える

家庭内別居をするのであれば、「ゴール」を明確にしておきましょう。

この別居は「夫婦関係の修復を狙ったもの」なのか「離婚のための最初のステップ」なのか。それによって今後の行動が変わります。

また夫にも「なぜこんな状態になっているのか」を理解してもらわなければ、前向きな解決はありません。

気がついたときにはこの状態だったというなら、あなたが「家庭内別居状態だ」と感じているのはどの点か、一度じっくり考えてみましょう。「夫婦のすれ違い」だと感じる点を明確に夫に伝えられれば、改善点がみつけやすくなるはずです。

離婚へのステップとしての家庭内別居であれば、離婚や別居に踏みきるまでの期間も定めて、準備を進めましょう。時間は有限です。どっちつかずの状態を続けることには、あまりメリットがありません。

子どもへの配慮を相談する

子どもへの影響を考えて、離婚ではなく家庭別居を選んだのなら、夫婦の不仲を子どもに悟らせない、せめて悪影響をなるべく減らすための工夫が必須です。子どもが悲しんだり、ストレスを感じさせたりすることがないように「食事中はこれまでどおりに過ごす」「月に1度は家族で出かける」など、親として最大限できる配慮について夫婦で話し合いましょう。

相手を干渉しないよう、ルールを設ける

同じ家で暮らしている以上、共通で使うものがどうしてもでてきます。特に家事や家計についてきっちり夫婦で分ける場合、お互いの分担についてルールを決めておきましょう。

また「子どもへの配慮」にもつながることですので、互いの存在を無視し合うのではなく、顔を合わせたら挨拶をするなど、社会生活で普通に行っていることは家庭でもなるべく行いましょう。

決めたことはきちんと守り、お互いに干渉せず適度な距離を保つことが、ストレスなく暮らすコツです。

自分のためのスペースをもつ

「寝室は別」とはよく聞きますが、現実的には片方が夫婦の寝室を占拠してしまい、追い出された方がリビングなどで寝起きするケースも多いとか。リビングはあくまで家族で過ごす場です。部屋数が少なければ寝室を区切るなどして、個人で過ごせるスペースを設けましょう。

ゆっくりとひとりでくつろげるスペースがあると、心の余裕も保てるはず。

【アドバイス】家庭内別居を考えているor家庭内別居中の女性たちへ

まとめ

「家庭内別居」の成功の秘訣は、「どうしてこうなったのか」という実態をつかむことと「今後どうしたいのか」とゴールを決めることがポイントになりそうです。

むしろ「離婚するよりずっとラク!」と楽観的にとらえていれば、いつかは自然と解消してしまうものなのかもしれません。

それでも、どうしても「家庭内別居」について悩んでしまうなら、弁護士など専門家の力を借りるなどして、ストレスをためこまず、前向きに生きる方法に目を向けていきましょう!

(文:暮らしのチームクレア 川口裕子/監修:中里妃沙子弁護士/漫画:ひらたともみ)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、弁護士に取材、および、その監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものです。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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