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2021年01月03日 18:30 更新

【弁護士監修】旦那と別れたい!「この理由での離婚はアリ?」パターン別弁護士のアドバイス

「旦那よりも好きな人ができちゃった」「旦那には不満だらけ、もう別れたい!」。こんな風に思い悩む人妻は多いもの。果たして、このパターン、離婚すべき? 思いとどまるべき? そんな疑問を、年間300件以上の離婚相談を受けるという弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の代表弁護士、中里妃沙子先生にぶつけてみました!

「旦那と別れたい!」その理由、離婚すべき? すべきじゃない?

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「このまま旦那と老後まで過ごす? それとも新しい未来への可能性に賭けてみる?」そう悩んでいる人妻は多いもの……。離婚で人生はガラリと変わります。それは、いい方向へ? それとも、悪い方向へ?

夫との離婚を考えている女性の相談に耳を傾けていると、「迷っている時間はない! 早く離婚して」と思うようなケースから「少し冷静になってゆっくり考えた方が……」というパターンまで、いろいろありますよ、という中里弁護士。

果たして、どういうパターンなら「離婚」の選択は正解なのでしょうか? 離婚問題のスペシャリストである中里弁護士に、普段どのようにアドバイスしているのか、離婚したい理由別に質問してみました!

旦那と別れたい妻の理由①今すぐ離婚を考えたほうがいいパターン


離婚をするのは、大変です。話し合い、準備、手続き、場合によっては調停や裁判と、大きなエネルギーを消費することになります。それでも、すぐに離婚を考えたほうがいいパターンがあるのも、残念ながら事実。

次にあげるような状況の場合、あなたや家族の今後の人生を考えると、なるべく早く離婚の選択をしたほうがいいと、多くの離婚問題を見届けてきた中里弁護士は言います。

旦那からDVやモラハラを受けている!

旦那の「性癖」に問題が……生活にも支障が出てきた!

「性癖」とは、「性的な趣味嗜好」のことだと誤解されがちですが、正しくは「人の心理・行動上にあらわれる偏りや嗜好、傾向」のことです。

性癖に分類されるのは、収集癖・完全癖(完璧主義)など「趣味や性格」と言えるものから、虚言癖・窃盗癖・放火癖など「犯罪」と言えるものまでが含まれています。

後者の場合、あなたを含めた家族の暮らしに支障が出てしまうことも……。

旦那がギャンブル・アルコール・薬物依存を抱えている

なお、依存症の治療は、長く、苦しいものになります。専門家のサポートが必要です。

離婚する、しないに関わらず、できれば依存を抱える配偶者を専門医に診せ、治療のプログラムを受けさせるなどのサポートをしてあげることが望ましいでしょう。家族だけで抱えこんでしまうことのないよう、注意してください。

旦那と妊娠・妊活に対する意見が合わない

ズバリ、すぐにでも離婚に進むべきなのはこんな人たち

・命の危険にさらされている
・個人の尊厳が奪われている
・配偶者がいることで、心の安定を得られない

これらに該当する人は、すぐにでも離婚を考えてみましょう。毎日何かに怯えて生きるのは、とても苦しいことです。

また、「子どもを産むか、産まないか」というのは、時間的なリミットがある問題です。子づくりに関して意見が分かれるようであれば、先延ばしにせず、早いうちに離婚の検討を進めるのがよさそうです。

旦那と別れたい妻の理由②話し合ってダメなら、離婚も検討してみるべきパターン

次にあげるパターンの場合、対処方法によっては、夫婦関係に改善がみられる可能性もありそうです。話し合ってみる、いったん距離を置いて互いに冷静になれる環境を設けてみるなど、夫婦関係が改善する方法を探ってみましょう。

そのうえで、改善につながらないのであれば、離婚を考えてみては、と中里弁護士はアドバイスします。

旦那宛てに消費者金融から督促が!

怪しげな手紙、突然の見知らぬ番号からの電話。何だろうと思っていたら、なんと消費者金融からの督促だった!

借金を隠しているなんて! こんなケースでは、もしかして離婚したほうがいいのでしょうか?

旦那とのセックスレスや性の不一致が気になる

旦那はともかく、旦那の家族との間にトラブルが……。

旦那から親の介護を押しつけられてしまった!

夫婦で話し合って、夫婦の新しい形を模索してみても

自分の気持ちを押し殺したまま、一生を過ごすことが幸せとはいえません。でも、「離婚」だけが選択肢というわけでも、もちろんありません。

話し合って解決する余地がありそうな場合は、離婚への進む一歩手前で、2人にとってベストな夫婦の在り方を考えてみる価値がありそうです。

大事なことは、世間の考える「普通」「当たり前」という夫婦像に振りまわされないこと。夫婦の在り方に、誰にでも共通する「正解」なんて、ないんです。

「夫婦だからこうしなくちゃいけない、ダメなら離婚」と思いこまず、2人がよいと思える夫婦像を探ってみてくださいね。

旦那と別れたい妻の理由③もう少し考えて! 別れて後悔する可能性があるパターン

旦那の不倫(浮気)が発覚した!

旦那以外に好きな人ができちゃった……!

子どもと離れたくないが、子育ての大半を夫が担当している

「旦那がイヤで離婚したけど……」別れて失敗だった体験談

結婚生活に息苦しさを感じるようになると「離婚したら、今より幸せになる」とついついつい思えてしまうもののようです。

しかし、そうとは限らないのが現実……離婚をしてから「失敗したかも……」と後悔している事例を、いくつかご紹介しましょう。

「ご家族は?」の質問がつらい……思った以上の孤独に再婚相手を募集中

結婚後、すぐに出産。家事と子育てに追われ、うまくできないと責めてくる旦那との生活に耐えられず、家を出てしまったリョウコさん(仮名・23歳)。離婚が成立し、子どもの親権も失った今の心境を、こう語ります。

「離婚した友人もいて、「バツイチなんて今や当たり前」と思っていましたが、実際にバツイチになると、意外と引け目を感じるもの。社会的には家庭があることで「1人前」とされる風潮が残っていることを、ひしひしと感じます。

「ご家族は?」と聞かれるたびに「独身です」というのも違う気がして「バツイチです」と、聞かれてもいないカミングアウトをしてしまいます。

離婚してほっとできたのは束の間。押し寄せてくる孤独感には正直、耐えられなくて……。「結婚なんてこりごり」と思っていましたが、今は婚活中です。」

子どもは寂しがってる? 離婚が正しかったのかわからない……

家庭を顧みない旦那が許せず、息子を連れて離婚したアヤカさん(仮名・32歳)。子どものためにもなる、と思っていましたが……。

「離婚は自分が望んだもので「こんなパパならいない方がいい。ママのわたしがパパにもなる」と意気ごんでいました。でも、学校行事などで父親が参加しないことに、子どもがときおり、寂しい顔をしている気がしてなりません。

「パパなんて要らないもん」と子どもが言うたびに、大人の都合で父親がいない状態にさせてしまったと、子どもに申し訳ない気持ちになっています。」

離婚は失敗? むしろ遅すぎた? 子どもがほしかったけど……

結婚する前は、子どもはほしい、いつかできるだろうと、漠然と思っていたというマナさん(仮名・45歳)。子どもについての考えが夫と一致しないまま結婚生活を続け、38歳のときに離婚。しかし……。

「結婚して早々に、夫が子どもを望んでいないことを知りました。いつか気が変わるかもしれないと思ってのんびりしていましたが、やがてセックスレスに。30代後半になって「やっぱり子どもがほしい」と思い離婚しましたが、その後、いい相手に巡り合うことができませんでした。

今はもう、子どもを望むのは難しい年齢です。別に離婚しなくてもよかったなと思う一方、もっと若いうちに、離婚の決断をすべきだったと思うこともあります……。」

離婚してもしなくても、後悔することは多いもの……

離婚は、してもしなくても、後悔がつきものかもしれません。ここにあげたケースでも、離婚しなかったら後悔しなかったとはいえません。

一時の感情に流されて安易に決めることなく、親しい友人に相談したり、弁護士やカウンセラーなど専門家の力を借りたりして、熟考してから決断するようにしたいですね。

「旦那と別れる!」となったら考えておくべき7つのこと

さんざん悩んで、いよいよ離婚となったとしましょう。でも、まだまだ考えるべきことはたくさんあります。

ひとつずつ確認し、準備を進めていきましょう。

離婚をしても親は親。子どもの今後について

未成年の子どもがいる場合、親権をどちらがとるか考えなければなりません。裁判所は「どちらの親に養育されるのが子どもにとってよいか」を検討しますので、子どもの世話をよくしていた方に親権が渡ることが多いです。

保育園や幼稚園の送迎、学校行事への参加などは、裁判所の判断材料になります。また、子どもが意見を言える年頃に達している場合(小学校高学年以上)は、子ども自身の意見も尊重されます。

そのほかに考えるべきは「養育費」「面会交流」

養育費は最高裁判所の算定表[*1]を基準に計算されます。ちなみに、決定後でも増額・減額請求は可能です。

また、親権をもたないほうの親と子どもが面会交流をする方法や回数なども、あらかじめ決めることになります。

離婚すると、旦那と「お金」を分けることになる?

結婚している間にできた財産は、夫婦共有のもの。離婚することになれば、貯金や共有不動産など、半分の財産分与を受ける権利があります。また、合意があれば婚姻期間中の厚生年金の払込保険料も分割してもらうことができます。

もし、配偶者の不貞行為など、相手に原因がある離婚であれば、慰謝料の請求もできます。慰謝料の相場は150~200万円程度です。

旦那は離婚に同意しそう?

配偶者の一方の同意なしで、もう一方の都合だけで離婚できるのは、法律に定められる離婚原因に該当する場合だけ。代表的なのが「不貞行為」、いわゆる、不倫です。この場合、不倫をしていた配偶者が同意しなくても、離婚することができます。

このほか長期間の別居の事実があると「婚姻生活が破綻していた」とみなされ、相手方の合意がなくても離婚できる場合があります。

そうでないケースでは、相手の同意を得るか、裁判で離婚の訴えを認めてもらう必要があります。

離婚の種類は3つ

「協議離婚」……双方で話し合って離婚すること。弁護士や裁判所の関与は必要なく、夫婦2人が合意して、離婚届に判を押して提出することで成立します。ただし、養育費や財産分与が絡んでくる場合は、正しい決め方をして書類に残すことで支払いが保証されるケースもありますので、協議離婚であっても弁護士や行政書士に依頼し、公正証書を作成しておくほうが安心です。

「調停離婚」……裁判所で行う話し合いのこと。それぞれの言い分を調停人が聞いて、離婚するか、またその条件などについて話し合います。

「裁判離婚」……相手の同意が得られない場合に行われる最終手段です。相手がどんなに「離婚したくない」と言っても、法的に離婚に至る原因があると裁判所が認めれば、離婚できます。

離婚後に必要になる手続きって?

離婚をしたら戸籍を変えるだけでなく、以下のような変更手続きを行います

・住民票の異動(名前の変更も)
・国民健康保険への加入(夫の扶養に入っていた場合/自分で加入していた場合は健康保険の名義等の変更でOK)
・国民年金への加入(夫の扶養に入っていた場合/自分で加入していた場合は厚生年金の名義等の変更でOK)
・免許証の名義等の変更
・印鑑証明の名義等の変更
・パスポートの名義等の変更
・マイナンバーカードの名義等の変更
・銀行口座の名義等の変更
・クレジットカードの名義等の変更

子どもがいる場合は、これらの手続きを必要に応じて、子どもの分も行うほか「児童手当」の受け取り変更や「児童扶養手当」の申請なども行います。

市区町村によっては、離婚届けを出したときに「行うべき手続き」の一覧をくれることもあります。それらを参考に、もれなく手続きを行いましょう。

結婚前の姓に戻る? 引き続き結婚後の姓を名乗る?

離婚をすると「結婚前の姓に戻るか」「結婚中の姓を引き続き使うか」のどちらかを選ぶことになります。

もしその後、再婚して苗字が変わったとしましょう。残念ながらそこでまた離婚となったとき、法律上1つ前の姓にしか戻れない決まりになっています。

2度も離婚するなんて考えたくもないですが、姓の選択は慎重に行いましょう。

親権と戸籍は別物!子どもの戸籍はどうする?

戸籍と親権は別物なので、子どもを連れて離婚する場合、子どもの戸籍を異動するかどうかを考える必要があります。

結婚するときの戸籍の典型的なパターンは「夫を筆頭とする戸籍を作り、そこに妻や子どもの戸籍が入る」という形。この場合で、説明します。

離婚をすると夫の戸籍からはまず、妻だけが出ることになります。子どもの親権が戸籍を出ていく妻の下にあっても、子の戸籍は、この段階では夫の下に残っています。

そのまま暮らしていくこともできますが、一緒に暮らす母と子の苗字が異なることを嫌って、裁判所に申し立て子の苗字を親権者と揃えることが多いです。その後、健康保険や住民票などの苗字の変更手続きを行います。

会社への届け出やSNSの変更も忘れずに!

離婚したら、勤め先への届け出も必要ですし、実名でやっているSNSなどがあれば、いつかは変更しなければなりません。

慌ててする必要はないものもありますが、いつまでも旧姓を使用するのも、気持ちの上では落ち着かないことでしょう。名前を出しているものが他にないか、考えながら、もれなく行うようにしましょう。

「旦那と別れたい!」という女性たちへ、弁護士からのアドバイス

最後に、中里弁護士から、「旦那がイヤで別れたい!」と考えている女性に向けて、アドバイスをいただきました。

まとめ

離婚を躊躇してはいけないパターンや、立ち止まって考えた方がいいパターンなど、いくつか紹介してきましたが、あなたに当てはまるものはありましたか?

どんなパターンであったとしても、離婚をすれば、生活は大きく変化し、あなた自身も変わらなくてはいけない場面が出てきます。悩みに悩んで離婚を決めたのなら、なるべく後悔せずに「自分で自分を幸せにしてあげるんだ」と強い決意で、明るい未来に向かって進んでいきましょう。

(文:取材・文:暮らしのチームクレア 川口裕子/監修:中里妃沙子弁護士/漫画:ニタヨメ)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]最高裁判所「養育費・婚姻費用算定表」https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、弁護士に取材、および、その監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものです。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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