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2021年01月29日 14:09 更新

【医師監修】赤ちゃんのやけど! 応急処置の方法と受診が必要なとき

目を離すと何をするかわからない赤ちゃん。万が一、やけどをした時の応急処置や受診の目安、治療などについて知っておきましょう。

赤ちゃんがやけどしたとき、まずすべきこと

やけどをして泣いている赤ちゃん
Lazy dummy

やけどは範囲や深さによっては命に関わることも。まずすべきことを知っておきましょう。

やけどをしたら、とにかく「冷やす!」

やけどをしてしまったら、すぐに冷やしましょう。冷やすことで皮膚深部への熱の伝導を防ぎ、深い傷になることを防ぎます。また、痛みもやわらぎます。

冷やす時間はやけどの部位、年齢にもよるので一概には言えませんが、水道水で最低5〜30分くらいは冷やします[*1](赤ちゃんは、身体を冷やすことで低体温になりやすいので、冷やしすぎにならないよう意識の変化などに注意しながら行います)。

やけどが広範囲であれば浴室のシャワーで冷やします。その際、水圧は強くしないようにします。また、やけどの部分には触らないようにします。

服を着た状態でやけどをした場合は、脱がせる時に皮膚が剥がれることがあるので、服の上から流水をかけます。流水がかけられない耳や目などは、氷や保冷剤を包んだ冷たいタオルで冷やしましょう。市販の冷えるシートはやけどの冷却には使えません。

救急車を呼ぶ場合

以下のいずれかが当てはまる場合は救急車を呼びましょう。

□ やけどの範囲が広く、全身の約10%以上のやけど
 (片腕で全身の10%相当、おなか・背中は20%相当[*2])
□ やけどの状態が深い(皮膚の色が白く変化している)
□ 顔面や目のやけど
□ 気道の熱傷が考えられる場合(爆発などでやけどした時、鼻の穴にすすがついている時 )
□ 化学薬品での熱傷の場合

やけどの範囲が広い場合や、やけどが深い場合、気道のやけどは命に関わったり、後遺症を残したりする場合があります。また、顔面や目のやけど、薬品でのやけどは特殊な治療が必要になります。

すぐに病院(時間外診療所など)へ連れて行ったほうが良い場合

以下のいずれかが当てはまる場合は、急いで皮膚科か形成外科を受診しましょう。受診までの移動中も冷やし続けます。

□ 手や足の指(皮膚がくっついてしまうことがある)
□ 陰部のやけど
□ 水疱(水ぶくれ)ができたやけど
□ 赤みや水ぶくれが、本人の手の平より大きい
□ 手のひら以下の大きさだが水ぶくれがやぶけている
□ 痛みが強い
□ やけどが手首、足首などの関節や手のひらにかかっている

手足の関節にやけどをすると、拘縮(ひきつれ)により、動きが悪くなることがあります。また、陰部のやけどは特殊な治療が必要になることもあります。なお、水疱がつぶれると感染を起こす恐れがあるので、潰さないように注意しましょう。

受診したら、やけどの原因、普段飲んでいる薬、予防接種の状況を伝えられるようにしておきます。

診療時間内に受診する

以下が当てはまる場合は、よく冷やした後、皮膚科か形成外科を受診しましょう。

□ 受傷した範囲がとても狭い
□ 皮膚が赤くなっているのみ(水疱はない)

夜間であれば、翌日の受診でもいいでしょう。受診までの間に軟膏などはつけないようにします。また、やけどした部位を日光に当てないようにし、清潔なガーゼなどで保護して摩擦を避けます。また、やけど当日の入浴は控えます。

やけどはどんなに軽く見えても受診したほうが安心

冷やした直後は赤くなっていただけだったのに、翌日水ぶくれになっていたなど、やけどは次の日に深くなることがあるので、経過をよくみましょう。

やけどの重症度の判断はとても難しいため、どんなに軽く見えても受診しておいたほうが安心です。

子供のやけどの特徴と治療方法

やけどの重症度は「範囲」と「深さ」で決まります。やけどの深さと経過について解説します。

子供の皮膚は薄く、大人より深いやけどになりやすい

赤ちゃんの足
Lazy dummy

やけどは、熱によって皮膚とその下の組織に傷が起きることをいいます。その深さにより、以下のように分類されています。赤ちゃんの皮膚は薄いため、大人に比べて深いやけどになりやすいという特徴があります。

やけどの深さと経過[*3]

やけどの深さ 状態 経過
I度 赤くなって痛いが、水疱(水ぶくれ)はできていない状態 数日で痕を残さずに治る
Ⅱ度(浅いもの) 皮膚が赤くなって痛みを伴い、水疱(水ぶくれ)ができる 治るまでに1~2週間かかるが、痕は残らない
Ⅱ度(深いもの) 皮膚が赤や紫、または白っぽくなる。水疱(水ぶくれ)ができるが、あまり痛みはない およそ3~4週間で治るが、痕が残ることが多い
Ⅲ度 皮膚が黒、あるいは白色になり、痛みはあまりない 傷が盛り上がったり(ケロイド)、ひきつれ(瘢痕拘縮:はんこんこうしゅく)が残ったりする

やけどの治療

やけどをすると、I度以外は跡が残ってしまいます。また、浅いやけどであっても回復の途中に、紫外線に当たると色素沈着が起こることがあるので、やけどをした後は絆創膏やガーゼ、衣服で覆い、日に当たらないようにすることが大切です。

深いやけどは、皮膚の盛り上がり(ケロイド)やひきつれ(拘縮)が生じることがあるので、すぐに治療を始めることが大切です。特に、顔や手、ひじやひざなどの関節など、見た目や機能が重要な場所は、手術が必要になる場合もあります。

生活環境を見直してやけどをふせごう

電気ポットがある生活環境
Lazy dummy

赤ちゃんのやけどは、おうちの中で起こっています。危険なものは手の届かないところに置きましょう。

多いのはお茶、味噌汁、カップ麺などでのやけど

赤ちゃんのやけどで多いのは、食卓でのやけどです。お茶、味噌汁、カップ麺などは、赤ちゃんの手の届くところに置かないようにしましょう。

テーブルクロスを引っ張って上に乗っていたものが倒れることがあるので、テーブルクロスは外します。また、台所でフライパンなどを触ってやけどすることもあるので、台所の入り口にはベビーゲートを設置しましょう。

ストーブ、ポット、炊飯器、アイロンも注意

炊飯器の蒸気に手を出したり、ストーブを触ってやけどをすることもあります。これらは、赤ちゃんの手が届かない場所に置いたり、柵で囲ったりしましょう。電気ポットにはロックをする習慣を。

また、コードをひっぱったり、つまづいたりしてものを倒し、やけどをすることがあるので、ポットやアイロン、加湿器などは置き場所に注意し、使用後すぐに片付けるようにしましょう。

重症化しやすい低温やけどにも注意

44〜50℃程度[*4]の温度でも、長時間皮膚が接しているとやけどをすることがあり、「低温やけど」と呼ばれます。低温やけどはじわじわと皮膚の深部に達するので、気づきにくく重症化しやすい傾向があります。

湯たんぽや電気あんかを使う場合は、就寝前に布団をあらかじめ温めるために使い、寝床が温まったら布団から出します(就寝中に使用してはいけません)。また、電気カーペットの上に長時間寝かせたり、カイロを貼ったりすることも避けましょう。

低温やけどは、直後は赤くなっている程度でも、見た目よりも重症の場合があるので、その可能性があるなら皮膚科や形成外科を受診しましょう。

まとめ

診察を受ける赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんがやけどをしてしまったら、まず、冷やすこと! やけどの範囲が大きい、または、深い場合は救急車を呼びましょう。ケロイドやひきつれは外見だけでなく、体の動きを妨げるなどの後遺症を残すことがあるので、できるだけ早く専門医の診察を受けることが大切です。やけどは翌日深くなることもあるので、軽く見えるものでも受診すると安心です。

(文:村山真由美/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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