【医師監修】赤ちゃんが食物アレルギー反応を起こす原因と症状

【医師監修】赤ちゃんが食物アレルギー反応を起こす原因と症状

食事の後、気がつくと赤ちゃんの皮膚に湿疹ができている、そんな経験はありませんか? 今では約10人に1人の赤ちゃんが、食物アレルギーだといわれています。今回は食物アレルギーの原因と症状にはどんなものがあるのか、食物アレルギーの治療法についてもご紹介します。


そもそも“アレルギー”ってどんなもの?

食事をするアレルギーの赤ちゃん
Lazy dummy

※画像はイメージです

人間の身体には、外部からの細菌やウイルスが体内に入って来たときに、これを攻撃して排除しようとする免疫機能が備わっています。しかし、本来ならば身体に悪影響を及ぼさないとされる食べ物や花粉、ハウスダストなどに対して、免疫機能が過剰に反応。これによって引き起こされるのが「アレルギー」です。

アレルギーの原因

アレルギーを引き起こしてしまう「アレルゲン」が含まれるものを食べたり、また吸い込んだり、直接触れたりすることでアレルギー反応が起こります。食物をはじめ、ホコリなどのハウスダスト、花粉、ダ二、カビ、動物の毛など、アレルゲンとなるものは、私たちの日常生活の中にたくさん存在します。どのアレルゲンがアレルギーの原因になるのかは個人差がありますが、なかには1つだけに限らず、いくつものアレルゲンによって、何種類かのアレルギーになってしまう方もいます。

アレルギーの検査

アレルギーの有無を知りたいとき、または、アレルギーが疑われる場合には、原因となるアレルゲンを特定するために、さまざまな検査が行われます。主なアレルギー検査には次のものがあります。

・「血液検査」…抗原特異的IgE抗体検査
・「皮膚テスト」…スクラッチテスト、プリックテスト、パッチテスト
・「食物除去試験」…アトピー性皮膚炎や慢性蕁麻疹(じんましん)の疑いがある場合、1~2週間、特定の食物を食べないことで症状が改善されるか見ます
・「食物経口負荷試験」…疑いのある食物を、段々量を増やしながら食べることで、症状が出るかどうかを見ます

アレルギーの検査は、問診や症状などを考慮して、どの種類の検査を行うかが決められます。何らかの症状が出ているか、保険が適用されるかどうかで、その検査費用も異なります。

赤ちゃんにもっとも多い「食物アレルギー」

さまざまな種類のアレルギーの中でも、「食物アレルギー」は特に乳幼児に多いとされています。乳児の5~10%、幼児の3~4%が食物アレルギーともいわれています。[*2]

食物アレルギーの原因

消化機能や皮膚のバリア機能などがまだ発達していない赤ちゃんの身体は、アレルギーを発症しやすくなっています。赤ちゃんがアレルゲンを口に入れたり、アレルゲンが皮膚にくっついたりして、アレルギーを引き起こす原因となる「IgE抗体」を作り出します。これらによって、アレルギーとしてさまざまな症状が身体に出てきます。

最近では、皮膚にできた湿疹を介したアレルゲンの取り込みが食物アレルギー発症の原因として注目されてきており、赤ちゃんの頃からスキンケアをしっかり行うと食物アレルギーを発症しにくくなる可能性が示唆されてきています。

食物アレルギーの種類

1)新生児・乳児消化管アレルギー
食物アレルギーの中でも、新生児期からと早い月齢で起こります。主に粉ミルクが原因で、嘔吐・血便・下痢などの症状が出ます。2歳頃までには治ることがほとんどです。

2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
乳児期のアトピー性皮膚炎は食物アレルギーが関与して発症することがあると言われています。主に卵、牛乳、小麦、大豆などの食物が原因で、年齢が上がれば自然に良くなっていることが多いです。

3)即時型症状
原因となる食物を食べて30分以内に症状が出ることが多く、遅くても食後2時間以内には発症するものです。年齢によって原因食物が異なり、乳児期には、卵、牛乳、小麦などが多くなります。

4)食物依存性運動誘発アナフィラキシー
原因となる食物を食べ、数時間以内に運動をすると、アナフィラキシー症状が起きる特殊なアレルギーです。小麦やエビやカニなどの甲殻類が原因で症状が出ることが多く、乳幼児よりも小学生以降に見られるものです。

5)口腔アレルギー症候群
原因となる食物を口に入れて5分も経たないうちに、口の周りや口の中、唇が腫れたり、口の中がイガイガするといった症状が出ます。野菜や果物が原因で発症することが多いと言われています。花粉症の方に多く見られます。

アレルギーの原因となる食物

「卵」、「牛乳」、「小麦」の3つは三大アレルゲンと呼ばれ、食物アレルギーの代表的な原因食物です。中でももっとも多いのが卵で、食物アレルギーを持つ乳児の半数は、卵アレルギーだと言われています。それ以外にも、魚介類、エビやカニなどの甲殻類、大豆、そば、キウイやメロンなどの果物、ピーナッツ、イクラなどの魚卵によるアレルギーもあります。

現在、アレルギー反応を起こす原因となる「アレルゲン」として、加工食品への表示が義務づけられている特定原材料7品目と、表示が推奨されている20品目の計27品目が定められています。

・特定原材料7品目(表示義務あり):卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生
・特定原材料21品目(表示を推奨):アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

「食物アレルギー」の主な症状4つ

食物アレルギーの症状にはさまざまなものがあります。症状の出方には個人差がありますが、症状が現れる場所は身体全体という広範囲に及びます。

皮膚の症状

・かゆみ
・じんましん(発疹が出て、数時間で消える)
・皮膚の赤み
・湿疹

食物アレルギーの症状の中でも、もっとも症状が出やすい部位が皮膚で、食物アレルギーの患者のおよそ9割に皮膚症状が見られます。かゆみを伴うものが多く、眠れないほどかゆみが出て、とても辛い方もいます。

呼吸器系の症状

・くしゃみ
・咳
・喉の腫れや締め付け感
・呼吸困難
・呼吸をするとゼーゼー、ヒューヒューという音がする
・声がかすれる
・鼻水
鼻詰まり
・鼻炎

皮膚に出る症状の次に多いとされるのが、呼吸器の症状です。

消化器系の症状

・腹痛
・吐き気
・嘔吐
・下痢
・血便

腹痛や下痢、嘔吐など消化器の症状が出るものです。

全身性の症状「アナフィラキシー」

アナフィラキシーは、皮膚症状や呼吸器系症状、消化器系症状など、複数のアレルギー症状が同時に起きる重篤な病態をいいます。もちろん食物が原因になることもあります。中でも、急激な血圧低下にともなって意識を失うなどのショック状態に陥る「アナフィラキシーショック」が起こると、命にかかわることがあり、非常に危険です。

もしかして「食物アレルギー」!? と思ったら

食物アレルギーチェックをしてみよう!

まだ会話ができない赤ちゃんは、たとえかゆみや痛みがあったとしても、伝えることができません。食後に赤ちゃんの様子がちょっと変だと感じたときは、以下の項目をチェックしてみましょう。服を脱がせて、全身の様子もしっかり確認してみましょう。

■身体を掻いて痒がっている
■顔やお腹などにじんましんが出ている
■顔が腫れている
■目や口の周りが赤くなっている
■下痢をしている
■吐き気や嘔吐をしている
■呼吸を苦しそうにしている
■口をやたら動かして痒そうにしている

アレルギー科で診てもらう

赤ちゃんに食物アレルギーの疑いがある場合は、小児科の中でもアレルギー専門医のがいる医療機関で診てもらうのがもっとも安心です。もし命に危険性のあるアナフィラキシーであるならば、食物アレルギーにも精通しているアレルギー専門医からの的確な治療や指導が必要となってきます。

赤ちゃんのアレルギー検査

食物アレルギーの検査では、血液検査(血中抗原特異的lgE抗体検査)やプリックテスト、食物除去試験などが行われます。アレルギー検査は卵、小麦、牛乳、大豆など一度に何種類かのアレルゲンを調べることができます。

もし「食物アレルギー」と診断されたら

もしも食物アレルギーと診断が出ても、自己判断で食物の制限などをするのは控え、医師の指示をきちんと守って治療を進めましょう。日頃からアレルゲンを含む食物に対して、知識を身につけ、意識を高めておくことも大切です。

食物アレルギーの治療

食物アレルギーの治療では、原因物質を食べないようにしてアレルギー反応が起きないようにする「食物除去」が行われます。しかし、厳しい食事制限を行うと赤ちゃんの健康や成長に影響することがあるので、医師の正しい診断に基づいて、食べると症状が誘発される食物だけを必要最小限に除去することが重要です。

加工食品のアレルギー表示をチェックする

国の決まりで、加工食品や缶詰などには、卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生の「特定原材料」である7品目を表示するように義務づけられています。この特定原材料は、特に「アナフィラキシーショック」を引き起こす可能性があるものとして注意が必要です。加工食品を購入する際には、どういったものが含まれているか注意して見るようにしましょう。

まとめ

もしも食物アレルギーと診断が出ても、焦ることはありません。大人の食物アレルギーは、遺伝や生活習慣などが関係しているため、症状も重く、治りにくい傾向にありますが、乳幼児の食物アレルギーに関しては、成長と共に改善され、大半が6歳頃までには食べることができるようになります。あまりナーバスになりすぎると、せっかくの食事の時間も楽しくありません。医師の指示に従い、適切な治療を行いつつ、子供が喜ぶメニューを考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修ドクター
向洋こどもクリニック 梶梅 輝之先生
川崎医科大学 卒業後、広島市立 舟入病院小児科部長を経て向洋こどもクリニックを開院。子供の病気の診療や予防はもちろんのこと、心身の健全な発達を支援し、ご家族の皆様と子供の成長をともに喜び合えるクリニックにして行きたいと考えています。
http://www.mndcc.jp/index.html

参考文献
[*1] Ebisawa M, et al. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: AB215.
[*2]京都府医師会「保育所・幼稚園で役立つハンドブック」p12
https://www.kyoto.med.or.jp/child/allergy.shtml
日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2016」
https://www.dental-diamond.jp/conf/nakakohara/allergy_2016/html/index.html
日本アレルギー学会「アレルギーを知ろう」
https://www.jsa-pr.jp/html/knowledge.html#allergen
アレルギー支援ネットワーク「食物アレルギーの診断」
https://alle-net.com/allergy/allergy-food/allergy-food02/
環境再生保全機構「ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギーの基礎知識」
https://www.erca.go.jp/common/img/yobou/uploads/kanjazensoku/ap027.pdf
消費者庁「アレルゲンを含む食品に関する表示について」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/pdf/allergy_190925_0002.pdf

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.20)

※記事の修正を行いました(2019.11.28)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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